ブラッド・ピットは、一にポーズ、二にポーズ、三、四がなくて五にポーズという、スクリーンに映ると誰も目を逸らすことのできないハンサムっぷりをアピールし、その存在感を示してきました。
一方で、鼻持ちならない、彼の演技はいかがなものか、という嫉妬まじりの批判もあったものの、数々の主役、脇役を演じ続け、依然変わらぬオーラを放っています。
昨今では、熟練された渋みが増しイケメンからイケオジへ。
さらにユーモアとペーソス(哀愁)さえも身に纏い、「 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド 」(2019)ではアカデミー賞助演男優賞を受賞。
ブラピ出演の数々の名作からピックアップするのは至難ですが、初期からのテイストの変化を確認しながら、4作を厳選して紹介します。
ブラッド・ピット出演作品一覧
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ブラッド・ピット出演の映画は、以下の通り。
- 追いつめられて(1987)
- リック(1988)
- テルマ&ルイーズ(1991)
- リバー・ランズ・スルー・イット(1992)
- トゥルー・ロマンス(1993)
- インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア(1994)
- レジェンド・オブ・フォール 果てしなき想い(1994)
- セブン(1995)
- 12モンキーズ(1995)
- スリーパーズ(1996)
- セブン・イヤーズ・イン・チベット(1997)
- ジョー・ブラックをよろしく(1998)
- ファイト・クラブ(1999)
- スナッチ(2000)
- スパイ・ゲーム(2001)
- ザ・メキシカン( 2001)
- 「 オーシャンズ 」シリーズ(2001~)
- トロイ(2004)
- Mr.&Mrs. スミス(2005)
- バベル(2006)
- ジェシー・ジェームズの暗殺(2007)
- バーン・アフター・リーディング(2008)
- ベンジャミン・バトン 数奇な人生(2008)
- イングロリアス・バスターズ(2009)
- ツリー・オブ・ライフ(2011)
- マネーボール(2011)
- ワールド・ウォー Z(2012)
- 悪の法則(2013)
- それでも夜は明ける( 2013)
- フューリー(2014)
- マネー・ショート 華麗なる大逆転(2015)
- 白い帽子の女(2015)
- マリアンヌ (2016)
- デッドプール2(2018)
- ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)
- アド・アストラ(2019)
- ブレット・トレイン(2022)
- ザ・ロストシティ(2022)
- バビロン(2022)
- ブルー きみは大丈夫(2024)
- ウルフズ(2024)
※「 F1 」…全米公開日:2025年6月27日
テルマ&ルイーズ(1991)

原題(英題)
Thelma & Louise
公開日
1991年10月19日(日本初公開)
上映時間
129分
キャスト
- リドリー・スコット(監督)
- スーザン・サランドン
- ジーナ・デイビス
- ハーベイ・カイテル
- マイケル・マドセン
- クリストファー・マクドナルド
- スティーブン・トボロウスキー
- ブラッド・ピット
- ティモシー・カーハート
- ルシンダ・ジェニー
- ジェイソン・ベギー
- マルコ・セント・ジョン
- ソニー・カール・デイビス
- ケン・スウォフォード
コメント
俳優デビュー作「 追いつめられて 」(1987)はクレジットなしで、また映画初主演作「 リック 」(1988)は編集中にユーゴスラビアが紛争となりフィルムが紛失したという幻の作品であるため(現在TSUTAYAでレンタル可)、
「 テルマ&ルイージ 」でブラッド・ピットと初対面という方が少なくない、という点でも本作を代表作の一つとして紹介します。
男性性に抑圧された女性2人が夫を出し抜いて逃避行という名のバカンスに出掛けるうちに、トラブルに見舞われるという筋ですが、道中でブラピの甘いフェイスに心が奪われるという追体験は、多くのファンが共有したに違いありません。
好青年そのものの役を演じているのですが、その好青年っぷりにコロッと騙されるのは、テルマとルイージだけではありません。
ブラピがチラッとスクリーンに映ると、作中人物だけでなく、視聴者もハッとしてしまうのです。
筆者は以前「 トゥルー・ロマンス 」(1993)を見ていて、ブラピが登場したときは、前情報がなかったので「 あっ 」と声が出ました。
当時「 リバー・ランズ・スルー・イット 」(1992)でジェームス・ディーンの再来とも謳われ、だからこそキャリアは長く続かないだろうと予測されたブラピでしたが、その結果は、30年以上経った現在では、誰もが知っています。
そうです。予想は外れたのでした、いい意味で。
スナッチ(2000)

原題(英題)
Snatch
公開日
2001年3月10日
上映時間
102分
キャスト
- ガイ・リッチー(監督)
- ベニチオ・デル・トロ
- デニス・ファリナ
- ビニー・ジョーンズ
- ブラッド・ピット
- ラデ・シェルベッジア
- ジェイソン・ステイサム
- エイド
- ウィリアム・ベック
- ジェイソン・フレミング
- アダム・フォガティ
- アラン・フォード
- ロビー・ギー
- スティーブン・グレアム
- レニー・ジェームズ
- マイク・リード
- ジェイソン・フレミング
コメント
ブラピの出世作といえば、デヴィッド・フィンチャー監督の「 セブン 」(1995)「 ファイト・クラブ 」(1999)が挙げられるでしょう。
ただのイケメン俳優ではないことを証明し、悲壮感(セブン)とカリスマ性(ファイト・クラブ)を獲得したブラピは、本作でも主役を乗っ取るほどの魅力を炸裂させています。
ブラピが演じるミッキーの「 ファイト・クラブ 」のタイラーを連想するような、引き締まった肉体美と戦闘力の高さが魅力です。
全体的にシリアスとコミカルが絶妙な塩梅で彩られていて、伏線を回収していく後半は、後年にブラピが主役を演じる「 ブレット・トレイン 」(2022)とも通じるものがあります。
ボクシングのファイトシーン、クライマックスで流れるオアシスのBGM「 ファッキン・イン・ザ・ブッシーズ 」は、否が応でも高揚感を高めてくれて、控えめに言っても最高です。
脇役のはずであるミッキー(ブラピ)が、おいしいところを全て持っていくという代表的な一例ですね。
余談ですが、語り部でもある主役のジェイソン・ステイサムは、大暴れキャラという印象が強いので、本作での大人しさがむしろ新鮮でした。
Mr.&Mrs.スミス(2005)

原題(英題)
Mr. & Mrs. Smith
公開日
2005年12月3日
上映時間
118分
キャスト
- ダグ・リーマン(監督)
- ブラッド・ピット
- アンジェリーナ・ジョリー
- ビンス・ボーン
- アダム・ブロディ
- ケリー・ワシントン
- クリス・ワイツ
- ミシェル・モナハン
コメント
ジョン(ブラッド・ピット)とジェーン(アンジェリーナ・ジョリー)の運命的な出会いと電撃結婚、そしてお互いが隠している重大な秘密と、それが暴かれてからの壮絶な夫婦喧嘩は、見応えありです。
凄腕暗殺者同士が正体を知らずに結婚し倦怠期を迎えるという設定もおもしろいですが、とことんエスカレートしていくアクションは、見ているだけでスカッとしますよ。
結婚生活と夫婦円満の秘訣をユーモア交じりに学ぶこともでき、カップルで観賞するのにうってつけの一本です。
実際に、ブラピとアンジーは本作が馴れ初めとなり10年以上の交際を経て結婚までしちゃいましたね(ただし「 白い帽子の女 」(2015)の共演の後には、破局を迎えてしまいます)。
ブラピ(とアンジー)の美しくて、色気たっぷりな姿を見られるのも魅力の一つです。
作中人物がさりげなく「 ファイト・クラブ 」のTシャツ(ピンクの石鹸にタイトル)を着ていたのがちょっと嬉しかったです。
ところで、ブラピが同様に殺し屋を演じる「 ブレット・トレイン 」では、女性の殺し屋仲間と再会するシーンがありますが、もしもその女優がアンジーだったら、懐かしさと嬉しさに、間違いなく落涙していたでしょう。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019)

原題(英題)
Once Upon a Time… in Hollywood
公開日
2019年8月30日
上映時間
161分
キャスト
- クエンティン・タランティーノ(監督)
- レオナルド・ディカプリオ
- ブラッド・ピット
- マーゴット・ロビー
- エミール・ハーシュ
- マーガレット・クアリー
- ティモシー・オリファント
- ジュリア・バターズ
- オースティン・バトラー
- ダコタ・ファニング
- ブルース・ダーン
- マイク・モー
- ルーク・ペリー
- ダミアン・ルイス
- アル・パチーノ
- カート・ラッセル
- ゾーイ・ベル
- マイケル・マドセン
コメント
初期から中期にかけて二枚目っぷりが際立っていたブラピですが、コーエン兄弟の「 バーン・アフター・リーディング 」(2008)では、ひたすらに三枚目キャラ(ジムのトレーナー)を演じており、
そこでユーモア要素が加わったことで演技に広がりが出てきたように感じました。
「 イングロリアス・バスターズ 」(2009)のイカれたナチス狩りハンター役でも、その要素が見られましたね。
そこに、さらにおバカ要素に渋みを加えて洗練されたブラピを楽しめるのが本作なんです。
主演はレオナルド・ディカプリオで、ブラピはそれを支える助演スタントマンのような立ち位置ですが、毎度お馴染みの、主役乗っ取りのおいしいとこいただきパターンです。
撮影所でブルース・リーに喧嘩を売ったりとおバカなシーンもあるのですが、徐々に抑制の効いた渋さが、スルメのようにじわじわと香り立ってきます。
タランティーノ監督の前作「 イングロリアス・バスターズ 」では、ヒトラーの死に様を大胆に脚色していて驚かされました。
本作でも、とびきりにセンチメンタルな優しい歴史改変が、映画を愛する人たちへのプレゼントのように用意されています。
監督の映画への情熱と愛情が、選りすぐりの音楽とともに伝わってくる名作ですね。
タランティーノの初期作品「 トゥルー・ロマンス 」でブラピはまだチョイ役でしたが、いよいよ監督9作目で、アカデミー賞を受賞したのも感慨深いですね。
まとめ
今回は、ブラット・ピットのおすすめ作品を紹介しました。
まだまだ紹介しきれていない名作がほとんど。
筆者も、過去の作品を再観賞しながら選ぼうとしましたが、結局選びきれず、会う人たちにブラピ作品のおすすめを聞いて回って、最終的に上記の4作に絞ったのでした。
個人的に好きなブラピ作品は、記事の中に忍ばせておきました。
ぜひ皆さんも、好きなブラピ作品を探してみてください。

文・ライター:ジョナ
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