1960年代のハリウッドを最高の映像と音楽で堪能させてくれる。
レオナルド・ディカプリオとブラッド・ピットがW主演し、シャロン・テート役をスーサイド・スクワッドでハーレイ・クインを演じたマーゴット・ロビーが演じました。
本作は実話の事件(シャロン・テート殺害事件)を題材にしています。
この事件を知らないと理解が難しい作品かもしれません。
事件を調べてから見ると、面白さが3倍も変わります。
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

あらすじ
ブームが去ったTV俳優のリックと彼のスタントマンであり付き人で親友クリフ。ある日、リックが住むハリウッドの豪邸に時代の寵児ロマン・ポランスキーとシャロン・テート夫婦が引っ越してくる。
原題
Once Upon a Time… in Hollywood
公開日
2019年8月30日
上映時間
165分
予告編
キャスト
- クエンティン・タランティーノ(監督)
- レオナルド・ディカプリオ
- ブラッド・ピット
- マーゴット・ロビー
- エミール・ハーシュ
- ティモシー・オリファント
- ジュリア・バターズ
- デイモン・ヘリマン
- マーガレット・クアリー
- オースティン・バトラー
- ダコタ・ファニング
- マヤ・ホーク
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

1969年8月9日、妊娠中のシャロン・テートとその友人たちは、ハリウッドの豪邸で夫のロマン・ポランスキー不在の中、ホームパーティーをしていた。
そこにカルト集団指導者のチャールズ・マンソン信者の襲撃に合い、友人共々惨殺されてしまいます。
この映画は簡単に言うと、その隣の家に住む人の話です。
史実を元に作られているため、実在の人物が多く登場します。(リック・ダルトンとクリフ・ブースが架空の人物)
タランティーノは「 あの時、隣にこんな人が住んでたらなあ… 」という思いで作ったのでしょう。
ディカプリオ演じるリック・ダルトンのような俳優も、架空のキャラクターでありながら、「 きっとこういう人がいたんだろうなあ… 」と思わせてくれます。
僕はこの映画を見ている時、このリック・ダルトンが愛おしくてたまりませんでした。
かつては人気俳優だったリック・ダルトンは、人気のピークを超えてしまい、最近はもっぱらTVで悪役ばかりを演じています。
冒頭のシーンで、それを指摘されたクリフは、運転する帰りの車中でつい泣いてしまいます。
その直後、隣にロマン・ポランスキーが引っ越してきたことを知ると、すぐに機嫌がよくなるリック。
僕が一番好きなシーンは、リックがTVドラマ「 対決ランサー牧場(かつて本当にあったドラマ)」に出演したシーン。
撮影中リックはセリフが出てこず何度もNGを出してしまいます。
スタッフや演者に謝りながら楽屋に帰った途端、リックはFワードを連発しながら1人暴れます。
このシーンが凄く良いのです。
ディカプリオの神演技と言えるかもしれません。
鏡に向かって「 お前が昨日あんなに酒飲んでしまったからだろ!今日飲んだら脳天ぶち抜くぞ!」と自分に言い聞かせながらも、
「 ちょっとだけ 」と言い、飲んではすぐゴミ箱に捨てて愛くるしい。
その後、気を取り直して撮影に挑み、ベテラン俳優ならではの怪演を披露。
監督や子役に褒められたリックは、嬉しくてまたもや泣いてしまいます。
シャロン・テートは、休日のショッピング帰りに自分が出演した「 サイレンサー / 破壊部隊 」が上映されている映画館に足を運びます。
チケットを購入しようとしますが、ふいに「 私この映画に出てるんだけど。」と受付係に言うと入場を許可され、無料で映画を見ることになります。
これは過去にタランティーノ自身が、自身の映画を映画館で見ようとした際、実際に行った行為だと言われています。
映画館で「 これ自分が作った映画なんだけど。」と言ったら無料で入場できるのだろうか。
とデビューしたてのタランティーノは思い、受付係にそれを言うと、映画館のスタッフたちが握手を求めにきたのと同時に、無料で入場を許可してもらえた模様。
デビュー直後の自分が看板に載っているというワクワク感を、同じくデビュー直後のシャロン・テートにやらせたわけですね。
そして、シャロン・テートは、自分が出演した映画を見るわけですが、自分のアクションシーンで観客が湧いているのを感じ満足気な表情になります。
このシーンで使われているのは、実際の「 サイレンサー / 破壊部隊 」のシャロン・テート出演シーン。
過去一番タランティーノの映画愛が溢れた作品だと思います。

文・ライター:たかを

