タランティーノ初の歴史映画「イングロリアス・バスターズ」です。この映画も大ヒットし、クリストフ・ヴァルツやメラニー・ロラン、ダイアン・クルーガーなど英語圏ではない俳優を世界に知らしめました。
第二次世界大戦時のナチス・ドイツをテーマにした本作は主演にブラッド・ピットということで話題を呼びました。この映画からタランティーノは後に歴史返上映画を作っていきます。
イングロリアス・バスターズ
あらすじ
物語の舞台は1944年 – ナチス占領下のフランス。一家を皆殺しにされたユダヤ人の娘(ショシャナ)は、パリで映画館主のエマニュエルとして身を潜めていた。ある日、ナチスの狙撃兵(フレデリック)に気に入られ、自身の映画館でナチスのプレミア上映会を開催することになる。そこでショシャナはナチスに復讐を計画する。
原題
Inglourious Basterds
公開日
2009年11月20日
上映時間
153分
予告編
キャスト
- クエンティン・タランティーノ(監督)
- ブラッド・ピット
- クリストフ・ヴァルツ
- マイケル・ファスベンダー
- イーライ・ロス
- ダイアン・クルーガー
- ダニエル・ブリュール
- ティル・シュヴァイガー
- メラニー・ロラン
- B・J・ノヴァク
- アウグスト・ディール
- ジュリー・ドレフュス
評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
本作はタランティーノ曰く、1978年のイタリア映画「 地獄のバスターズ 」に影響を受けたと語っています。
本作には他のタランティーノ作品と同じく、様々なオマージュが散りばめられています。
タランティーノが長年温めていた脚本だったそうで、執筆に10年以上かけたと言われています。
その間ハリウッドでは「 タランティーノが歴史大作を作ろうとしている 」と噂になっていたそう。
そんな時間をかけたからか、ストーリーは今までにないほど壮大であり、見応えあるものになっています。
僕自身もとても大好きな映画です。
僕が思う見どころは「 ナチスとバスターズの対比 」
これが最高です。
規律正しくビシッとしているナチスに、それを笑い、楽しみながら虐殺するバスターズ。
このバスターズがいい感じにバカな集団なのです。
ナチスの拷問シーンでは、ショーのように歓声を上げ、プレミア上映での作戦を練る際、バカすぎて女スパイのハマーシュマルクが呆れるほど。
ナチスの緊迫したシーンからバスターズのシーンになると肩の荷が下りた感じがして楽しかったです。
脚本も最高ですが、出てくるキャラクターが何より最高です。
バスターズの野蛮なキャラも最高ですが、一番最高なのはやっぱりクリストフ・ヴァルツ演じるハンス・ランダ親衛隊大佐。
こんな最高な悪役いますか?
礼儀正しく物腰柔らかな態度で接しますが、性格は残忍かつ冷酷であり、ずば抜けた洞察力と推理力を持つ、今までのタランティーノ映画には出てこなかったタイプの知的な悪役です。
ハンス・ランダはマルチリンガルであり、プレミア上映会でイタリア語を話し始めた時のバスターズの焦り具合はもう笑っちゃいます。
そして、それを演じるクリストフ・ヴァルツの演技力。
それはタランティーノ自身も今まで作り上げたキャラクターの中で最高かもしれないと述べています。
クリストフ・ヴァルツは元々ドイツのテレビ俳優でしたが、本作で数々の賞を総なめし世界的なハリウッド・スターとなりました。
この映画はナチスをテーマにした戦争映画であるにもかかわらず、暗い雰囲気はなくとても痛快な映画であり、世界中の人々の憎しみの対象であるナチスを痛快に殺害・爆破させるシーンはとてもスカッとします。
恐らくタランティーノはこれに手応えを感じ、後の「 ジャンゴ 繋がれざる者 」「 ワンス・アポン・タイム・ハリウッド 」のような歴史返上物と呼ばれるシリーズを作りました。
最後にこの映画は吹き替えで見ることをおすすめします。
この映画は英語・フランス語・ドイツ語で構成されており、途中でドイツ語から英語になったりするのがとても楽しいので、それが分かりやすい吹き替えだと楽しいです。
文・ライター:たかを