「 ザ・バットマン 」続編&三部作決定、DCEU打ち切りで新たなDCUの世界へ
昼は大富豪、夜はバットマンとして犯罪者を一掃するブルース・ウェイン。
彼の探偵としての一面を際立たせた新たなシリーズ「 ザ・バットマン 」
THE BATMAN ザ・バットマン
公開日
2022年3月11日
原題
The Batman
上映時間
176分
キャスト
- マット・リーブス(監督)
- ロバート・パティンソン
- コリン・ファレル
- ポール・ダノ
- ゾーイ・クラビッツ
- ジョン・タトゥーロ
- アンディ・サーキス
予告編
公式サイト
考察レビュー
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3年前に劇場公開されたヒット作「 ジョーカー 」を彷彿とさせるような、社会への反抗心を剥き出しにする凶悪犯リドラー。
終盤までずっと伏せられていたその素顔が明るみになったとき、ポール・ダノ以上にサイコ役が似合う人っていないのでは?と思うほどゾクゾクし引き込まれていった。
彼が出演する作品は今まで何作か鑑賞している「 リトル・ミス・サンシャイン 」の頼りないお兄ちゃんや、「 スイス・アーミー・マン」でボロボロになりながら、
無人島脱出を試みる青年など、癖のある多彩な役を演じているが「 プリズナーズ 」や今作のような凶悪犯を演じる彼は、観客を惹きつける特別な何かがあるように思えた。
個人的にとても楽しみに待っていた作品であり、鑑賞前に何度も予告編を確認しては「 絶対にIMAXで観るんだ 」という強い意志のもと公開を待ち望んでいた。
実際に鑑賞して予告でも出てきたシーンになると「 きた!」という高揚感と、ここに繋がっていくのかという更なる期待で想像以上に楽しめる作品だった。
両親を殺された過去を持つブルース。
その復讐のためにバットマンとなった彼だが、今回リドラーによって殺されてしまった役人の子供が、第一発見者になってしまうという悲しいシーンがあった。
お通夜に参加したブルースは、その子供を見つけるが、私はその悲壮感漂う背中から幼少期のブルースを思い出してしまった。
その息子がバットマンのような存在になることは、あまりにも悲しいことだ。
だからこそ、どんな理由であれ親を殺したリドラーのことを許してはならないと彼の姿を見て思った。
作品全体を通して、暗いからこそ映える銃撃戦のシーンや車のライト。
圧巻のカーチェイスのシーンは瞬き厳禁だ。
あまりの迫力に「 これ何回もテイクできないよな••• 」「 予算いくらなんだろう 」と考えてしまうほど。
バットマンが夜の街中を飛ぶシーンはとても綺麗で、大きなスクリーンで鑑賞してよかったと絶好の映画体験にワクワクが止まらなかった。
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今作はバットマン好きにとって踏み絵になりはしないか?
バートン版の公開時も賛否が巻き起こった。
なぜなら原作を知らない者にとってバットマンはエンタメコメディだった。
しかし、ティム・バートン版はダークヒーローであり、期待した成果は上がらず、ワーナーはシューマッカにエンタメ路線で派手派手で製作した。
その後のリアルヒーロー路線のクリストファー・ノーラン版ダークナイト。
スーパーヒーロたるスナイダー版。
ではマット・リーヴス版は?
流石「 猿の惑星 」を回顧的に拘らずに再生させた手腕だけに、見事としか言えない作品に!
バットマンのコミックとしての原点は、ディテクティブ・ストーリーである。
迷走しかけたバットマンを本質的なダークナイトに舞戻したのは、フランク・ミラーのバンド・デシネ的な表現演出だ。
映画界のヒーローに押上げ、エンタメから陰鬱とした漆黒のヒーロを顕現させたティム・バートン。
数々のスタイルを表現するバット・モービルに他のギミックの数々。
こうやって多岐多様な嗜好に派生していしまう「 BATMAN 」の過去作品に固執しているならば、踏み絵に挑むことになるだろう。
反対に構えることなく柔軟に挑めば、今作はあなたを至福に導くだろう。
陰々鬱々とし、呪わずにはいられなかった澱みからの解放と言う羽ばたきを得るだろう。
明確に言ってしまえば、映画界の単体ヒーローとして「 スーパーマン 」後、
改めて単体ヒーロー路線の確立を為し得た「 バットマン(1989)」
リアル鑑賞世代の映画好きならば、映画としての多様多岐のリスペクト・オマージュを感じるだろう。
かく言う僕も「 バットマン(1989)」は、現ヒカリエパンテオンの初日初回上映鑑賞の為に深夜並びをした世代。
要するに、今作は80年代後期から90年代のフィルム・ノワール的なクリミナル・サスペンスが散りばめられている。
先ず感じることは見えない雨天と曇天は「 セブン 」
ゴッサムシティの雰囲気は「 チャイナタウン 」
コリン・ファレル演じるペンギンに至っては「 アンタッチャブル 」の彼なのか?
街並みや車両、基本的なギミック内での現代的なハイテク技術との絶妙なバランス。
主題にも等しいニルヴァーナの「 サムシング・イン・ザ・ウェイ 」が導く世界観。
このコラージュが素晴らしい。
だからこそバットマンは「 人 」なのである。
いや、両親を失い愛を喪失・拒否し、復讐の闇に生きた「 恐怖蝙蝠男 」は…
THA BATMANになった。
DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)」打ち切り
監督は前作と同じく「 クローバーフィールド / HAKAISHA 」、「 猿の惑星 / 新世紀(ライジング)」のマット・リーヴス。
DCスタジオは、「 マン・オブ・スティール(2013)」から始まるDCコミックスのヒーローを映画化し、世界観を共有させることで共演を可能にした「 DCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)」を打ち切りました。
そして、DCスタジオの共同CEOに就任した「 ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー 」で有名なジェームズ・ガンとピーター・サフランは、新たなDCシリーズ「DCU(DCユニバース)」を製作することを今後の方針としました。
このDCUは、映画シリーズに留まらず、アニメやゲームにまで世界観が共有されます。
DCUでは第1章「ゴッズ・アンド・モンスターズ(Gods and Monsters)」として、リブートや新たなヒーロー映画の製作が行われます。
それに伴い、DCEUとして製作されていたスーパーマンやワンダーウーマンは続編が中止。
シャザムやフラッシュ等のヒーローは、DCUに組み込まれ、今後も続編が製作される見込みです。
「 ザ・バットマン(2022)」は、DCEUの時代に製作された作品ですが、独立した世界観のシリーズとして打ち出されました。
このように独自のシリーズを持つ作品は、DCUにおいて「 DCエルスワールズ 」と位置づけられ、他のシリーズと並行して展開されることになります。
バットマンの悪役を主役に据えた「 ジョーカー(2019)」もその1つです。
ピーター・サフランは、DCUをこれまでのシリーズと区別するために、マルチバースの1つであるとしています。
2023年公開予定の「 ザ・フラッシュ 」では並行世界、つまりマルチバースの概念が描かれ、「 バットマン(1989)」のティム・バートン演じるバットマンが登場することも決定しています。
そのため、「 DCエルスワールズ 」の「 ザ・バットマン 」シリーズも、いずれDCUのシリーズにマルチバースからの使者として登場するかもしれません。
そして「 ザ・バットマン 」は、現段階で三部作になることが決定済みです。
さらには、バットマンが活動するゴッサム・シティにある精神病院「 アーカム・アサイラム 」や、コリン・ファレルが演じた裏社会の悪役 ペンギンを扱ったスピンオフドラマ等、
「 ザ・バットマン 」から派生した作品群が次々と製作予定となっています。
マット・リーヴス監督は「 DCエルスワールズ 」における、「 ザ・バットマン 」と関連する作品群を「 バットマン・クライム・サーガ 」や、
「 バットバース 」と呼称し、これからのシリーズの規模をさらに拡大させることを予感させています。
「 ザ・バットマン 」続編の原題は、「 The Batman Part II 」
バットマンことブルース・ウェインの内面にさらに焦点を当てた物語となり、ペンギンを主役に据えたスピンオフドラマと直接的に繋がる模様。
続編の悪役については明言されていませんが、ペンギンが悪役として再登場する可能性は高いです。
また、ポール・ダノ演じる最凶の知能犯・リドラーも生存している為、物語に関わってくるかもしれません。
マット・リーヴス監督自身は、ミスター・フリーズとトゥーフェイスを続編の悪役の候補として挙げています。
しかしファンにとって最も登場が期待されている悪役はジョーカーです。
ジョーカーはバットマンの宿敵で、これまで「 バットマン(1989)」や「 ダークナイト(2008)」でメインの悪役として登場し、バットマンを苦しめてきました。
ジョーカーは、「 ザ・バットマン 」の本編には未登場でした。
しかしワーナー・ブラザーズ公式のリドラーのサイト「 rataalada.com 」でバリー・コーガン演じるジョーカーの映像が公開されたのです。
そこにはバットマンがアーカム精神病院でジョーカーと面会する様子が映し出されています。
内容はバットマンがジョーカーにリドラーの正体を尋ねるという「 ザ・バットマン 」と地続きの未公開シーンとなっています。
つまり「 ザ・バットマン 」の世界にはジョーカーが存在しているのです。
マット・リーヴス監督は、未公開シーンでジョーカーを登場させたにも関わらず、彼の続編での再登場を明言していません。
しかし、Varietyのインタビューでマット・リーヴス監督は、ジョーカーを再登場させることについては前向きに検討していると語っています。
まとめ
このように「 ザ・バットマン2 」には、ペンギン、ジョーカー、トゥーフェイス、ミスター・フリーズと様々な悪役の候補が噂されていますが、結果的に全く予期せぬキャラクターが登場する可能性もあります。
約2年後の公開日まで、スピンオフドラマを楽しみながら、気長に待ちましょう。