「 スパイの妻 」考察レビュー、和製マリアンヌとでも言いましょうか
こんにちは、Johnです。
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@kaz)さんからの投稿レビューです。
日本が世界に誇る黒沢清(監督)が手がける歴史サスペンス。
夫が抱える「 国家の秘密 」を知ってしまった妻はどう行動するのか?
愛か正義か?
実力派俳優による緊張感あふれるドラマに注目です。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
スパイの妻
公開日
2020年10月16日
上映時間
115分
キャスト
- 黒沢清(監督)
- 蒼井優
- 高橋一生
- 東出昌大
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 5]映像[/value]
[value 3]脚本[/value]
[value 4]キャスト[/value]
[value 4]音楽(BGM)[/value]
[value 3]リピート度[/value]
[value 4]グロ度[/value]
[value 4 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー
好きだった点
今作を一言で言うなら「 和製マリアンヌ 」
「 マリアンヌ 」は、妻のスパイ疑惑をはらすため、ブラピ演じる夫が奔走する話でしたが、今作では旦那の疑惑に葛藤する妻が主人公となっています。
ただ、マリアンヌが妻の正体に迫るシーンがクライマックスでしたが、今作は夫の抱える秘密が判明後、物語が本格的に動き出します。
そのため、よりサスペンスとして楽しめる作品になっていると感じました。
さらに、独特の色合いを持つ画面作りにより、1940年代日本の重苦しさが表現され、重厚感溢れる映像となっています。
日本を舞台にした本格的な軍事サスペンスが見たい!
そんなあなたに自信を持ってオススメできる1本です。
嫌いだった点
終盤はかなり観客の想像に委ねる作り方をしており、夫の生死すら明示されません。
個人的には嫌いではないのですが、ハリウッドのスパイもの的な分かりやすい結末を期待していると、少し消化不良になってしまうかもしれません。
見どころ
随所で長回しが効果的に使用され、作品に緊張感をもたらしています。
特に夫・優作(高橋)の抱える秘密に聡子(蒼井)が迫るシーン。
実力派2人の息もつかせぬ舌戦は、物語中盤の1つのハイライトとなっています。
ドラマ「 半沢直樹 」ファンにもアピールしうるのではないでしょうか。
考察・疑問点
なぜ夫・優作は命に関わる重要機密を、妻が鍵の番号を覚えている金庫にしまったのでしょうか?
これはかなり違和感を覚える人が多いポイントではないかと思います。
未鑑賞の方に説明すると、優作は妻・聡子らを巻き込んで自主映画を作成しており、撮影の過程で金庫を何度も開けさせています。
なので、そんな所に機密を隠したら見つかるに決まってしまいます。
私はここに、優作が無意識に抱えている「 妻に秘密を暴かれたい 」という欲望が表れていると思います。
コスモポリタンを標榜し、人道主義の立場から国家機密を世界に暴露しようとする優作ですが、その行為が自分や妻の生命を危険にさらすことは承知している。
正しい行いをしても、それを妻に打ち上げることができない苦しみを背負っているわけです。
愛する人にこそ分かって欲しいが、愛する人だからこそ言えないという矛盾が、あのちぐはぐなシーンに描写されているのではないかと思います。
まとめ
第二次世界大戦における日本史の闇と、ラブ・ロマンスが高次元で融合した娯楽作品となっております。
「 鬼滅の刃 無限列車編 」大ヒットの影に隠れがちですが(私が見た回は8人程度でした…)、濃厚な映画体験を得られます。
ぜひ劇場で黒沢フィルムを浴びましょう!