究極の自主製作映画「 JUNK HEAD 」日本が生んだ狂気のストップモーションアニメがカルト的な人気に【 続編も期待 】

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堀貴秀という人物がほぼ1人で作り上げたストップモーションアニメがカルト的な人気を呼び、ギレルモ・デル・トロからも絶賛が寄せられている。

通常の映画業界とはかけ離れた世界で、一体何が起きているのか?

目次

JUNK HEAD

©︎JUNK HEAD

公開日

2021年3月26日

上映時間

99

キャスト

  • 堀貴秀(監督・脚本)
  • 三宅敦子
  • 杉山雄治

予告編

公式サイト

JUNK HEAD

究極の自主製作映画

©︎JUNK HEAD

堀貴秀がほぼ1人で完成させたSFストップモーションアニメ。

堀は、内装業のかたわら絵画や彫刻などのアート制作をしていたものの、通常の映画業界とは無縁な人物。

2009年から独学でストップモーションアニメを作り始め、2013年に「 JUNK HEAD 」の30分版を完成させる。

これを上映したところ好評で出資者も現れたため、短篇に追加・修正を加える形で2017年に長編版の「 JUNK HEAD 」を完成。

2021年に公開されると興行的にも好調で、カルト的な人気を獲得することになった。

監督・脚本・キャラクターデザイン・美術・撮影などのプロダクションワークから声の出演まで、ほとんどの部分を堀貴秀が1人でこなしている、そのためエンドクレジットでは「 堀貴秀 」の名前が数十回出てくるのに笑える。

長編化の際には助手も何人か入ったそうで、もちろんその人たちもクレジットされているが、それにしても究極の個人製作映画と言っていいプロセスだ。

そのような作品が商業映画として陽の目を見て、国内はもとより海外からも大きな支持を集めたのは奇跡のような出来事と言っていいだろう。

映画製作の通常のセオリーからかけ離れたところで生まれた異色のストップモーションアニメ。

その出来映えだが…

世界の映画史に残るセンス・オブ・ワンダー

一から十まで驚愕する他ない大傑作。

ストップモーションアニメとしての技術もさることながら、世界観の設定・ストーリー・美術などに溢れるSF的なセンス・オブ・ワンダーが超絶的だ。

核戦争で生態系が崩壊した地上を捨て、地下に文明圏を築いた人類は、労働力として人工生命体マリガンを生み出した。

しかし進化したマリガンは人類に対して反乱を起こし、120年にわたる戦争が勃発。

地下3000m以上を人類が、それより下をマリガンが支配することで停戦となる。

戦争の勃発から1600年後、生殖能力を失い滅亡の瀬戸際に立たされた人類は、その打開の道をマリガンの世界に見いだし、パートンという人物を調査員として送り出すが、最初から予想もしないトラブル続き。

ポンコツの体を与えられ記憶も失ったパートンの、勇敢なのか滑稽なのかよく分からぬ珍道中が始まる…という物語。

設定やストーリーは本格的なディストピアSFだ。

映像はデヴィッド・リンチの「 イレイザーヘッド 」やフランスのカルトアニメ「 ファンタスティック・プラネット 」を思わせる、悪夢のような世界。

そこにとぼけたユーモアと派手なアクションが加わり、もっと動的な物語になっている。

見る者を何よりも惹きつけるのは、登場するキャラクターたちのキモ可愛さだ。

ハルキゲニアとエイリアンが混ざったようなマリガン変種も、人型マリガンも、すべてが不気味さと奇妙な可愛さを併せ持っていて魅力的。

筆者がとりわけ好きなのはアレクサンドル / フランシス / ジュリアンの3バカ兄弟だ。

バカだけど純粋、どう見えても弱そうだが実は…と意外性の連続。

クライマックスがあそこまで盛り上がったのは、彼らの得がたいキャラクターゆえだ。

そんな濃すぎるキャラばかりなので、観客は、思わぬ運命に翻弄され続けるパートンの薄いキャラに感情移入し、彼と共にこの珍妙な地獄巡りを楽しむことになる。

この作劇もなかなか考えられている。

なお、声の演技も大部分は堀貴秀が1人で担当している。

ただし台詞はすべて言葉ならざる言葉で、意味は字幕で伝えられる。

おそらくそれらしい台詞を喋り、その音声を機械的に加工して原形をとどめない形にしているのだろう(実はあれで単語や文法まで作り上げていたらと考えると恐ろしい…)。

何と三部作の第一章

大きなスタジオによる人海戦術ならともかく、これほど複雑で壮大なストップモーションアニメをほぼ個人で制作してしまうとは、まさしく狂気のなせる技だ。

堀貴秀は、他に生業を持ちつつ、ここが自分のもう1つの人生の場だと言わんばかりに、この世界(だけ)を延々と創作し続けているのだろう。

次回作「 JUNK WORLD 」は本作より1000年以上前の前日譚と聞き、「 いや、この物語の続きが見たいのだが 」とガッカリしたのだが、あらためてHPを見ると、元々そういう構想だったようだ。

ならば物語の芯がブレることはないだろう。

しかしよく見ると3作目の「 JUNK END 」は、「 JUNK HEAD 」よりさらに55年後の設定!? 

つまり3作目もストレートな続編ではないということだろうか?

堀貴秀は、もっと若い人かと思ったらそうでもなく、1971年生まれなのですでに50歳を超えている。

「 JUNK WORLD 」の公開予定は2025年だが、そうなると最終作「 JUNK END 」は2030年頃だろうか。

このシリーズは堀貴秀という一個人に徹底的に属する創作物で、他の人では替えが効かないと思うので、くれぐれも健康に気をつけて、三部作を無事に完成させてほしいものだ。

本作は劇場公開を見逃しAmazonプライムビデオの配信で見たのだが、「 JUNK WORLD 」は必ず劇場公開初日に駆けつけて応援することにしよう。

執筆者

文・ライター:ぼのぼの

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