ストップモーション・アニメ「 JUNK HEAD 」考察レビュー、人類の未来は人工生命体マリガンに託された
監督である堀貴秀が7年の歳月と、総カット数14万コマをかけて制作したストップモーションアニメーション。
JUNK HEAD
公開日
2021年3月26日
上映時間
99分
キャスト
- 堀貴秀(監督・脚本)
- 三宅敦子
- 杉山雄治
予告編
公式サイト
解説・考察レビュー
好きだった点
少々グロいけど会話の節々が面白くて笑える。
でも最後は泣ける。
感情の起伏が激しすぎる101分間。
最初は気持ち悪いなと思ってしまうキャラクターたちも、だんだん愛着が湧いてくる。
そして、音楽のクセが強すぎる。
巨大迷路のような地下空間で、主人公と一緒に冒険するような体験が味わえる作品。
嫌いだった点
特にないですが、怪獣やグロい映像が苦手な人は途中でギブアップするかと思います。
考察レビュー
設定としては、地上は人間が住めないほど環境が汚染された世界。
人類は地下に人工生命体マリガンを作り労働を強いてきたが、その人工生命体たちが自我を持ちはじめ、地下を乗っ取ってしまう。
その頃の人類は永遠に近い命を手に入れたが、その代わりに繁殖能力を失った。
人類絶滅を救う道は地下で進化を遂げた人工生命体マリガンにあり、研究のために地下に潜りこむというお話。
地上で暮らす人類たちは、環境汚染ということもあり、ほぼ家の中で過ごしている。( リモート )
主人公がマリガンたちに「 地上では思えなかったけど、今は生きてるって感じがするんだ 」と言うシーンにて。
何でも機械に頼って生活できてしまう世界で、人間たちは「 生かされてる 」 という感覚になるのだと思った。
これからの社会で人工知能が活躍していく世界に近づくと思うが、今作で人類が感じるような孤独と向き合う可能性も必要だと思った。
しかも劇中での人類は永遠の命を手に入れてるのでなおさら。
劇中のニュース番組で「 ウイルスにより2億人の死者 」という報道があった。
7年も前に制作がスタートした作品なのに、今のコロナ渦を表現しているような設定に、思わず監督は予言者か?
と思ってしまう。
永遠に近い命を手に入れても死ぬときは死ぬ。
今のコロナ渦の中で人間たちがどうウイルスと共存するべきなのか?
この作品はそれを描いている気がした。
地下に住む怪物たちと、マリガンが共存する世界のミスマッチ感。
人間の世界で言うと、住宅街でライオンが放し飼いになっているような設定だ。
普通に歩いてても食べられて死ぬ可能性は十分にあるし、マリガン側はどう対策をしながら日々暮らしているのか気になった。
まとめ
観賞後は爽快感で満たされるような作品。
コロナ渦の今だからこそ劇場で見てほしい。
3部作構想とのことなので、この第1作目が大ヒットして2作目や3作目の費用が少しでも潤うようにと願っている。