「 花と雨 」考察レビュー、原案はHIPHOPアーティストSEEDAの伝説的アルバム

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こんにちは、Johnです。

映画ライフ楽しんでますか?

今回は、ペンネーム(@mai)さんからの投稿レビューです。

映画ライターさんも40名ほどになり、データ管理も大変ですが、これもいい経験ですね。

改めてWindowsツールの使いにくさを実感しており、全てGoogleツールを使うようにしています。

Windowsツール全排除です。

はい、話がそれました。

ではサクッといきましょう。

画像の引用元:IMDb公式サイトより
  (アイキャッチ画像含む)

今作は、SEEDAの「 花と雨 」という同タイトルの曲が出来上がるまでを描いた作品です。

SEEDAが、自分自身の経験や考えを曲に落とし込むまでのエモーショナルな過程が描かれており、ファンに限らずとも突き刺さる作品となっています。

そんな今作の魅力を、HIPHOPファンではない私自身の目線でレビューしたいと思います。

目次

花と雨

©️花と雨

公開日

2020117

上映時間

114

キャスト

  • 土屋貴史(監督)
  • 笠松将
  • 大西礼芳
  • 岡本智礼

予告編

公式サイト

花と雨

感想レビュー

©️花と雨

好きだった点

とにかく映像と音楽がセンスの塊です。

HIPHOPといえば、どこかアンダーグラウンドな世界観のイメージですが、今作もまさにその通り。

夜の街を薄暗い明かりの中歩く登場人物。

HIPHOPの音楽のテンポとエモーショナルな歌詞が絶妙にマッチしています。

映像としても、階段を上り下りする主人公ひとつ撮るだけでも定点で撮影したりと、かなり工夫されてました。

嫌いだった点

主人公へのフォーカスが薄いというのがストーリーに対する感想です。

今作の位置づけが「 SEEDAの伝記的映画 」ではなく「 花と雨ができるまで 」です。

SEEDAの幼少期や姉との詳細なやり取りを取り上げる必要はないのですが、

「 花と雨 」という楽曲自体が彼の今までの人生を投影させたものに近いので、彼の生い立ちを知らない側からするとどうしても描写が足りないと感じるシーンがありました。

幼少期からいきなり高校生まで時間が飛ぶので、その間の彼にどんな事があったのか?

どんな思いをしてきたのか?

を想像する他なく、その後のモヤモヤとした環境を描いた展開を考えると、そこの期間への言及があっても良かったのではないかなと思いました。

見どころ

映画と音楽の融合というハイセンスさと、笠松将演じる吉田の鬱屈とした表情が見どころ。

音楽やアンダーグラウンドな世界を描いた作品は多くあります。

その中でも、今作はテンポも良く音楽の使い方もうまく、オシャレ映像のオンパレードでした。

そして、笠松将のポテンシャルの高さ。

反抗的な態度も巧ければ、その合間に見せる内からふつふつ湧くような鬱屈した表情。

そして、後半の涙を流しながら歌詞を書くシーン。

口数も多くなく、素直に言葉を紡ぐことが苦手な主人公の感情を、表情や態度ひとつで示せる演技力の高さが光っていました。

特に、ラスト近くの涙を流しながら履歴書に歌詞を綴っていくシーンは、彼の大きな変化を示すものでもあり印象的でした。

考察・疑問

©️花と雨

前半・後半での「 リアル 」の意味

今作のキーワードのひとつとして「 リアル 」というものが挙げられます。

劇中、吉田はよく「 リアル 」という言葉や意図を示してました。

しかし、その意味するところは前半と後半で大きく異なります。

前半では、「 リアルなストリート 」という意味で吉田はこの言葉を使います。

日本は生温くて、こんな環境や思考で作られたHIPHOPにはリアルさが足りないと周りに語るのです。

しかし、後半では「 自分の生きる世界に根差した 」という意味で使われます。

その変化に大きく影響を与えたのが、今作のキーパーソンでもある姉の「 でもこれがあなたの世界でしょ 」という言葉だと思います。

吉田自身でさえも、自分に何が足りてなくて周りに響かないのか分からずにいた時から、姉には彼に欠けているものや彼が気づいていない彼の魅力を知っていたのだと思います。

だからこそ、彼の音楽の本質を変えるようなセリフをさらっと言えてしまうのでしょう。

その時は響かなかった言葉でも、姉が亡くなって、彼女の持っていた履歴書に自分のことを綴るうちに、静かに涙を流すのです。

初めてに等しいくらい、彼は自分のことを歌詞に載せます。

イギリスでは日本人であることで差別され、日本ではイギリスにいたことでいじめを受ける。

そんなもどかしい環境への気持ちから、彼は常に日本を下に見て、海外こそが活躍すべき場所だと信じていました。

しかし、自分のリアルを綴れば音楽はどれだけでもエモーションになれるという心境になるのです。

そこが今作の大きな魅力でもあり、「 花と雨 」がやっと完成する場面でもありました。

まとめ

音楽好きならば勿論、音楽に興味がないよという人でも、主人公・吉田のもどかしさや葛藤に共感できてエモーショナルな気分になれる作品です。

▶︎ 音楽(レビュー)

そして、笠松将の主役としての存在感の大きさ。

その演技力の高さにも脱帽です。

笠松将の他の作品として、家族の温かさをユーモラスに描いた「 おいしい家族 」でのラフな弟役や、LGBTQ+の子がクラスにいるのでは?

というテーマを描いた「 カランコエの花 」でのクラスメイト役も素敵なのでそちらも是非ご覧あれ!

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