社会風刺や人間の複雑な感情を、シリアスかつ濃厚に描写することの多い韓国映画。
そんな韓国映画の実話を元にした作品は、リアリティと強い描写で大きな衝撃を与えます。
時として韓国の実話映画は、作品を通じて心からの怒りや恐怖、悲しみの感情を湧き上がらせることもあるのです。
今回は、韓国で実際に起きた事件をベースに製作された、実話映画の名作を5つ紹介します。
想像を超えるような刺激を味わいたい方は、ぜひ紹介作品をご覧ください。
殺人の追憶
アカデミー賞受賞作「 パラサイト 半地下の家族 」で知られるポン・ジュノ監督、韓国の名優ソン・ガンホが初めてタッグを組んだ、韓国屈指のサスペンスドラマ映画です。
10〜70代の女性10人が被害に遭った連続強姦殺人事件「華城(ファソン)連続殺人事件」を元に製作されました。
当時の未解決事件を舞台に展開される、スリリングなストーリー展開が、観客の心を物語へと引き込みます。
また、サスペンスだけではなく、韓国の社会が抱える闇や正義の問題を考えさせられる要素が随所に散りばめられているのも、作品の魅力です。
過去に本作を取り上げた考察記事もありますので、ぜひご覧ください。
チェイサー
2003〜2004年に発生した「 ソウル20人連続殺人事件 」をベースに製作されたクライムスリラー映画。
「 哭声 コクソン」で有名なナ・ホンジン監督のデビュー作であり、韓国で観客動員数500万人以上を動員した大ヒット作品です。
連続殺人を犯すサイコキラーの猟奇性と感情の振り幅がす凄まじく、終始背筋の凍るようなショッキングなシーンが続きます。
一方で、国家財政危機によって生じた貧富格差や、社会に翻弄される弱者についても描かれており、社会派映画としても素晴らしい作品です。
本作を特集した記事もありますので、そちらもご覧ください。
悪人伝
2005年に発生した、9名が犠牲となった「 天安連続殺人事件 」に基づいて製作されたクライムサスペンス映画です。
ヤクザと警察がタッグを組み、連続殺人犯というストーリーとなっており、暗黒街の犯罪と復讐劇をスリリングに描いています。
また、「 悪人を自らの手で復讐を下す 」か「 法の下で裁くか 」という思考の対立構造から、善悪のジレンマについても考えさせられることでしょう。
悪をもって悪を制する、強烈な韓国ノワール映画です。
本作を特集した記事もありますので、興味のある方はぜひご覧ください。
カエル少年失踪事件
「 カエルを捕まえに行く 」と言った5人の少年が失踪し、11年後に白骨遺体が見つかったという事件を題材に製作されたサスペンス映画です。
この事件は、韓国三大未解決事件のうちの一つに数えられるほど、韓国国内外で話題になりました。
作中には、単に犯罪の真相を追うだけではなく、愛する子供を失った遺族の疲弊や、警察捜査の杜撰さ、マスコミの無責任さを感じ取れるシーンがたくさんあります。
作品を通して、正義や報道姿勢のあるべき姿が見えてくるかもしれません。
この作品を取り上げた記事も、ぜひご覧ください。
韓国三大未解決事件「 カエル少年失踪殺人事件 」考察レビュー、事件は神隠しだったのか?
トガニ 幼き瞳の告発
光州市のろうあ者向け教育施設・仁和(ニンファ)学校にて、複数の教職員が児童に対し数年間にわたって性的暴行を加えたことや、事実に対する施設や周辺地域ぐるみの隠蔽の事実を題材に製作された社会派ドラマ作品です。
本作では現代社会における教育格差問題や、虐待などの社会問題に切り込んだ作品となっており、虐待シーンなども生々しく描写しています。
お金と権力に溺れた大人たちに痛めつけられる、弱い立場にいる子供たちの姿に、心を強く痛めたという映画ファンも続出しました。
「 胸くそ悪くて二度と観たくない 」と思う方も多い作品ですが、実際に起きた社会問題をモチーフにした作品だからこそ、多くの方に知って欲しい名作です。
まとめ
今回は、実際の事件を元に作られた韓国映画を5つ紹介しました。
どの作品も実在の事件を題材にしたというリアルさと、韓国映画独特の、人間に潜む悪意を濃厚に描く手法が重なり合い、非常に刺激の強い物となっています。
しかし、作品を紐解いていけば、日本にも共通するような人間社会の課題を垣間見ることができるでしょう。
かなりの精神力と体力を消耗する可能性もありますが、ぜひ一度はこのような作品と向き合ってみるのはいかがでしょうか。