今回は、韓国映画界を代表する巨匠、パク・チャヌク監督の作品をまとめていく。
パク・チャヌクとは
1963年、韓国・ソウル特別市生まれ。
大学在学中に映画評論家として文壇に登場し、約9年間にわたり評論家として活躍した。
大学卒業後、映画制作会社の演出部として経験を積み、1992年に「 月は…太陽が見る夢 」(※日本未公開)で長編映画監督デビューを果たす。
デビュー2作品は興行的に振るわなかったが、3作目となる「 JSA 」(2000)が興行、批評の両面で大成功を収め、A級監督に仲間入りした。
長編5作目の「 オールド・ボーイ 」(2003)がカンヌ国際映画祭で最高賞次点のグランプリを受賞すると、以降は国外からも監督として呼ばれるようになり、
「 イノセント・ガーデン 」(2013)、TVドラマ「 リトル・ドラマー・ガール 愛を演じるスパイ 」など英語作品も手掛けている。
2024年末現在での最新作「 別れる決心 」(2022)では、カンヌ国際映画祭の監督賞を受賞している。
「 パラサイト 半地下の家族 」(2019)でアカデミー賞の監督賞を受賞したポン・ジュノと並ぶ、国際的に最も名前の知られた韓国人映画監督である。
パク・チャヌク作品一覧
パク・チャヌクの長編映画監督全作品は以下の通り。
- 月は…太陽が見る夢(1992)
- 3人組(1997)
- JSA(2000)
- 復讐者に憐れみを(2002)
- オールド・ボーイ(2003)
- 親切なクムジャさん(2005)
- サイボーグでも大丈夫(2006)
- 渇き(2009)
- イノセント・ガーデン(2013)
- お嬢さん(2016)
- 別れる決心(2022)
月は…太陽が見る夢(1992)
原題(英題)
달은・・・해가 꾸는 꿈
公開日
1992年2月29日
上映時間
103分
キャスト
- イ・スンチョル
- ナ・ヒョンヒ
- ソン・スンファン
- パン・ウニ
- イ・ギヨル
- キム・ドンス
- パク・チュニョン
- イム・ユンギュ
- パク・チョンソル
- キム・イェリョン
- キム・ヒョンチョル
- ソ・ドンジェ
- キム・サンヨプ
- チョン・ウジン
- イ・サンジン
- イム・フン
- チェ・ソナ
- キム・ソンジュン
- ユ・ドンイル
- パク・ソクヒ
- ハン・ヨンス
- キム・ヨンテ
コメント
パク・チャヌクの記念すべき長編監督デビュー作である。
闇社会を舞台にしたパクらしい硬派なシリアス作品だが、興行的にも批評的にも成功はしなかった。
今や世界的な大物監督になったパクだが本作は日本未公開、ソフト化や配信もされていない。
3人組(1997)
原題(英題)
3인조
公開日
1997年5月2日
上映時間
102分
キャスト
- イ・ギョンヨン
- チョン・ソンギョン
- キム・ミンジョン
- ト・グンボン
- チャン・ヨン
- キム・ブソン
- ユ・トゥン
- オム・チュンベ
- アン・ギルガン
- キム・ソゴク
- ソ・グォンスン
- イ・インチョル
- イ・ギヨル
- パク・ミニ
- カン・スンヨン
- チョン・ミョンヨン
- パク・ソンフン
- イ・サンジン
- イ・ギョンソン
- ソン・セグァン
- カン・ヘジョン
- キム・ソンミ
- イ・スンチャン
- キム・ヨンジュ
- パク・ヨンパル
- ペ・ジャンス
- ソン・ジュニョン
- キム・ヤンウ
- シン・サムボン
- チョ・ギョンフン
- イム・ジュンファン
- イ・ヒョンジュ
- クォン・ナミ
- キム・ボックン
- キム・セジン
- リュ・スンワン
- パク・ソンビン
- チョン・ジンテ
- イ・ファジン
- イム・チェリ
- イム・ジンテク
- チェ・イルスン
- リュ・ヒョンチョル
- ソン・ヨンタク
- チョン・スホ
- イ・ミンハ
- カン・ソンフン
- ヨム・ホリム
- チュ・ミニョン
- キム・ギョンフン
- イ・チュニョン
- ソ・ギョンソク
- イ・ユンソク
コメント
デビュー作に続き、こちらも闇社会が舞台の硬派な作品である。
残念ながらこちらも興行、批評両面で成功せず日本未公開かつ、ソフト化や配信もされていない。
JSA(2000)
原題(英題)
JSA: Joint Secury Area
公開日
2001年5月26日
上映時間
110分
キャスト
- ソン・ガンホ
- イ・ビョンホン
- イ・ヨンエ
- キム・テウ
- シン・ハギュン
コメント
パク・チャヌクが大出世を果たした作品。
パク・サンヨンの小説「 JSA―共同警備区域 」を原作としている。
大韓民国国軍(韓国軍)を筆頭とした国連軍と、朝鮮人民軍(北朝鮮軍)の兵士が共同で警備に当たるJSA(共同警備区域)において、
ふとしたきっかけから許されざる友情を育むことになった南北の兵士たちの交流とその顛末を描いている。
事件後に関係者からスイス軍法務科将校という第三者を介して、事の顛末が語られる「 羅生門 」に代表される、
いわゆる「 藪の中 」形式(「 藪の中 」は「 羅生門 」の原作だが)で、ミステリーとしての要素も含んでいる。
同じく現代の韓国を代表する大物監督でも、ポン・ジュノがコメディもこなす広い作風なのに対し、パクは基本的にシリアスの人である。
彼の硬派な芸風が本作でも活きている。
大鐘賞、青龍映画賞など韓国国内の主要な映画祭で作品賞を含む数々の賞を受賞し、ベルリン国際映画祭のコンペティション部門にもノミネートされた。
興行的にも大成功し、公開当時、ソウルでの入場者記録を塗り替えるほどの社会現象となった。