「 名も無き世界のエンドロール 」考察レビュー、dTVで残りのストーリーが描かれる
こんにちは、Johnです。
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@リリヲ)さんからの投稿レビューです
過去と現在を行き来する幼馴染ラブ×サスペンス。
ラスト20分の真実とは?
何も考えずに楽しめるラノベっぽい作風なので、複雑なサスペンスは苦手という方におすすめ。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
名も無き世界のエンドロール
公開日
2021年1月29日
上映時間
101分
キャスト
- 佐藤祐市(監督)
- 岩田剛典
- 新田真剣祐
- 山田杏奈
- 中村アン
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 2]映像[/value]
[value 2]脚本[/value]
[value 4]キャスト[/value]
[value 3]音楽(BGM)[/value]
[value 1]リピート度[/value]
[value 1]グロ度[/value]
[value 2 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー
好きだった点
どんな権力者もSNS社会には敵わないという現代ならではの復讐劇になっているのが面白い。
一度、ネットの世界に名前が出てしまえば、完全に消し去ることはほぼ不可能と言えよう。
ヨッチが恐れていた「 忘れ去られる 」ということは永遠になくなるわけだ。
ヨッチが消えた後も彼女の願いを叶えようと、人生を懸ける2人の男の姿は切なさで溢れていた。
太陽と月のような関係のマコトとキダ。
その実は表社会を生きる太陽のようなマコトがダークサイドに堕ち、裏社会に生きる月のようなキダがマコトの暴走を止めようと奔走する。
この構図も興味深く、人間が善と悪を兼ね備えた表裏一体の生き物であることをよく表している。
今作に限ったことではないが、圧倒的権力者がSNSひとつで「 終わった 」と呆然とする姿は滑稽さがある。
民衆の力で雲の上の存在に勝てるなんて夢があるじゃないか(ニヤリ)。
嫌いだった点
登場人物の性格と行動がブレブレ。
十年越しの「 プロポーズ大作戦 」を決行するマコトだが、貧乏時代に買ったはずの指輪にダイヤがつき過ぎている。
むしろ、マコトの精一杯の一粒ダイヤをリサが貶し、「 これはおまえのモノじゃない 」とした方が盛り上がったのではないか?
リサに自白させるやり方も、ヨッチが信号を守ったことまで自白させないと、大衆に公開する意味が半減してしまう。
完璧な悪役として登場するリサにしても、それまでに描かれる彼女の激しい性格から、マコトの経歴詐称を嫌がるはず。
「 私と釣り合いたくて、ここまでするなんて凄いよ!」とはならない。
リサの事故を秘密裏に抹消するリサパパにしても、娘の恋人の身辺調査をしないのは不自然。
見どころ
予定調和なストーリー展開だが、クライマックスの新田と岩田の演技で一気に感情をもっていかれる。
マコトの深い闇からは、ヨッチを失った哀しみの年月が感じ取れるし、世界の最後のパーツを失ってしまったキダの喪失感が胸に突き刺さる。
中盤、山田が唇を震わせながらある告白の返事をするシーンも、過ちを犯しても進むしかない切なさが伝わってきて、恋愛あるあるな共感ポイントになっている。
考察レビュー
完璧主義
このワードが今作のネック。
3人の小さな世界は完璧だった。
完璧を維持するために、キダもヨッチも自らの気持ちを殺して頑張っていた。
しかし、ヨッチがいなくなったことで彼らの世界は壊れ始めてしまう。
完璧でないなのであれば、エンドロールに向かうだけという彼らの生き方は観客の心にどのように響くのか?
真実につながる伏線
今作は過去と現在と行き来しながら、
- 犬
- 3人が通った小中高校の廃校
- 自動車修理工場の突然の廃業
など、時系列のズレや違和感を抱えたままラスト20分の真実へとなだれ込む。
しかし、昨今の若者層は「 イニシエーション・ラブ 」のように食傷気味になるほど、分かりやすくネタバレをしなければ、もしや理解できないのではないか?と心配になった。
マコトはキダの気持ちを知っていて後押ししていたはずなのに、なぜ突然出し抜いたのか?
いつ気持ちを切り替えたのかも定かではないが、恩のある工場を突然辞めたり、キダを強引に計画に巻き込む辺り、マコトはかなりのマイペース&オレ様キャラだと感じた。
新田は天然系オレ様キャラを演じるのがとても上手い。
観客はあのパーフェクトなスマイルで、すべて煙に巻かれてしまうのだ。
まとめ
空中分解。
鑑賞後、そんな言葉が頭に浮かんだ。
映画的にも物語で残されたキダの人生的にもだ。
最後に独り残されたキダは、これからどう生きていくのだろう?
衝撃のラストカットを見た後もそう思えてならない。
ツッコミどころの多い作品ではあるが、登場人物の行く末を案じさせることができれば、映画としては成功なのではないだろうか。
リサの安否も気になる。
できるなら、ハンムラビ法典的に爆破で大怪我をし服役する人生を歩んでいただきたい(残酷で申し訳ない)。
映画で描かれなかったキダの半年後の物語がdTVで描かれているので、最後「 え!」となった方は是非。