「 キングスマン ファースト・エージェント」考察レビュー
キングスマン、それは単なるやんごとなき者御用達の高級テーラーに過ぎなかった。
そして、The Seclet serviceたるキングスマンの原初である。
「 Manner Makes Man 」1人の紳士の愛と哀しみと真なる勇気から生まれた!!
映画鑑賞において多岐に亘る知見は娯楽作品でも、ドラマ作品であっても作品を寄り深く理解するキッカケを与えてくれる。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
キングスマン ファースト・エージェント
公開日
2021年12月24日
原題
The King’s Man
上映時間
131分
キャスト
- マシュー・ボーン(監督)
- レイフ・ファインズ
- ハリス・ディキンソン
- ジャイモン・フンスー
- ジェマ・アータートン
- リス・エバンス
- トム・ホランダー
- チャールズ・ダンス
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
例えば、出張先のホテルで、例えば、夜に独りでグラスを傾けている時間。
ついつい観てしまうのが「 キングスマン 」
ストーリーが程良くエスプリもグロテスクを効かせ、併せ呑み発展するアクションは非常に小気味良い。
「 007 」しかり「 M:Iシリーズ 」しかり。
重厚な作戦遂行ドラマになるか?
アクション重視で軽めのストーリーになってしまうのかが昨今の潮流に思える。
何故なら、鑑賞側の知見が狭く、ネタバレありきでないと安心して鑑賞出来ない鑑賞者が増えている感が否めない。
今作はその状況に対するアンチテーゼを、マシュー・ボーン監督が楽しく示唆してくれているのだろう。
例えば、これはボーン監督の狙いではないけれど、邦題と原題の使われ方。
今作の原題は「 The King’s Man 」にも関わらず「 ファースト・エージェント 」と追記されている。
それは、第1作目の原題が「 Kingsman:The Seclet service 」に対して邦題が「 キングスマン 」だったことに起因していると推察できる。
今作は欧州の歴史的背景が大きく関係している。
第一次世界大戦の前日譚を描いているとも言える。
それは、20世紀の映画界の中で最も多く背景にされた「 東西冷戦 」の前日譚とも言えるだろう。
我々、亜細亜人として少々寂しいのは、亜細亜世界史は敢えてであろうが語られていない。
大英帝国と帝政ロシアとドイツ帝国が戦争に突入する背景に、帝政ロシアの極東政策の危機的状況ゆえの西部戦線に注力することになる。
それは、日本(大日本帝国)と名乗る極東の島国との「 日露戦争 」で敗北し、無敵を称していたバルチック艦隊も大打撃を受けてしまい、
「 満州国 」なる領土占拠もされてしまった時代である。
英国王に対して、各皇帝が英国を略奪により成り上がった蛮族の如きと揶揄する。
正に史実である。
欧州歴史においてブリテンは評価されない蛮族だった。
しかし、第一次十字軍遠征で先陣を斬り、大功績を挙げたのが「 獅子心王 」と賞賛されたブリテンのリチャード1世であり、欧州にブリテン在りと確固たる地位を得た。
しかし、その後の遠征でも事実は略奪と陵辱の進軍だった。
だからこそ、英国王ジョージ5世も今作の主人公たる公爵コンラッドの掲げる先祖の行いと、未来の子孫と世界に向けた自戒を強く心に向けて「 キングスマン 」として世界平和を思い描く。
政治に属さない超法規的組織となった魂の継承なのだろう。
まとめ
世界史上での王や暗躍し歴史を操作しようとしたグレグリオ・ラスプーチン、マタ・ハリ、エリック・ヤン・ハヌッセン、ガヴリロ・プリンツィプ等々のテロリストたち。
彼らが一同に会する都市伝説的なシチュエーションも実に面白い。
何故なら、歴史の真実と言われている事象の大半は、数文字の文献を集めて想像されたフィクションなのだから。
だからこそ、多くを知見し結びつかせることで、映画は深みを濃くして僕たちを愉しませてくれるのだ。