英ウエストエンド発。
日本でも上演されている青春ドラァグクイーン・ミュージカルの映画化。
派手なドタバタ劇や大げさな感情表現ではなく、登場人物の心情に丁寧に寄り添った本物(実話)の映画です。
こういう良作が日本では劇場公開されないの!(怒)
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
Everybody’s Talking about Jamie ジェイミー
公開日
2021年(Amazon Prime Video配信)
原題
Everybody’s Talking About Jamie
上映時間
121分
キャスト
- ジョナサン・バターレル(監督)
- マックス・ハーウッド
- ローレン・パテル
- ショブナ・グラティ
- ラルフ・アイネソン
- アディール・アクタル
予告編
公式サイト
Amazon Prime Video参照
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
ジェイミー(主人公)は学校でゲイであることを公表しているし、家族である母親も友人もそんな彼を肯定しており、それだけみればLGBTの中では恵まれているように見えるのかも知れない。
しかし、そんなジェイミーもイジメっ子に自我を傷つけられるのを恐れパニックになるし、プロムで女装すると決めてからもドレス屋に入るのが怖い。
人間の人格形成で最も重要な核は、最初のコミュニティである家族で形成される。
ジェイミーの核は、幼い頃から繰り返し父親に言われ続けた些細な言葉たちにより、すり減り血を流し続けていたのだ。
恐らく、ジェイミーは両親の離婚の原因が自分だと気付いているし、会ったら傷つけられることも分かっている。
それでも父に会いたい。
自分という人間を認め受け入れてもらいたい。
積年の想いを込めて、ジェイミーが歌う2曲目の楽曲に激しく胸を突かれる。
「 ミーミーがいないと僕は醜い 」
学校や父親とのことで傷つき涙するジェイミーに対し、親友のプリティは「 あなたは美しい 」と繰り返し励ます。
きっと彼女はジェイミーに出会った瞬間から彼の虜で、望んだポジションでなくとも、彼の一番の理解者になると決めたのだろう。
もう連ドラでじっくり掘り下げたいレベルの切なく素敵な関係性で、プリティの歌声は鳥のさえずりのように可愛らしく、透き通った水のように心に沁みた。
そんな2人の友情は周囲を変え、クライマックスでの声援に溢れる涙が止まらない。
大人がこだわる古い慣習を、子どもは手を取り合い一足飛びに乗り越えていくのだ。
母子の関係性も最高で、母親は息子が自分を満たし傷つける「 最愛 」にして唯一の存在だと分かっており、ジェイミーを心配しつつも、我が子を信じて果報を待つ姿がわかり味が深すぎた。
まとめ
物理的距離が分断されがちな現代社会。
家族に会いたくなるし、困難を前にしたとき、踏み出す力になる1本です。
ままならない毎日の中で、カッコイイ自分になれる時間があり、それが大人になっても在り続けることは、何にも代えがたい価値がある。
その時間さえあれば人生はいつだってスペシャルだ。