兵庫で唯一上映されている劇場に足を運ぶと、場内はほぼ満席で、ほとんどが女性客であることに驚きました。
韓国版「 コンスタンティン(フランシス・ローレンス 1973 )」とも呼ばれ当の監督にも称賛された本作。
「 エクソシスト(ウイリアム・フリードキン 1973)」のヒット以降、約半世紀、さまざまなエクソシズム映画が生まれました。
本記事では幾つかの作品を挙げながら、本作の魅力について考えたいと思います。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ディヴァイン・フューリー 使者

公開日
2020年8月14日
原題
The Divine Fury
上映時間
129分
キャスト
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

好きだった点
過去のエクソシズム映画をリスペクトしながら、どの作品の二番煎じにもなっていないのが見事でした。
つまり、独りよがりでないオリジナリティがありました。
監督自身、実際にイタリアへ足を運びラファエロの「 悪魔に憑依された少年 」の絵を参考にし、あるシーンを作り上げたそうです。
劇中でも飛び抜けて迫力のあるシーンでした。
なかでも、特にオリジナリティを感じたのは、主人公ヨンフが総合格闘技の世界チャンピオンでありながら
エクソシスト(悪魔祓い)である点。
右掌に聖痕があり悪魔をやっつける際に、それが特別な効果をもたらす以外は、ほとんどが肉弾戦によるというもの。
格闘家を演じるパク・ソジュン自身が過去のドラマ「 サム、マイウェイ~恋の一発逆転!~(2018)」で
格闘技選手を演じたこともあり、堂々とした切れ味のある動きを披露していました。
ちなみに、聖痕については、「 スティグマータ / 聖痕(ルパート・ウェインライト 1999)」で詳しく描かれています。
嫌いだった点
嫌いというよりももったいなく感じた点は、闇の司教ジシンの過去の掘り下げがなかった点。
例えば、大ヒットアニメの「 鬼滅の刃 」では、悪役の鬼の過去のエピソードを挿入することで、
善と悪の対比をより鮮やかに描いています。
ジシンをベールに包まれた人物として終わらせるには、惜しい気がしました。
その欠点を補う形でウ・ドファンがミステリアスな魅力を存分に発揮していましたが。
あと、エクソシストといえば、あのポーズ!と言い切れる、身体をそり返した蜘蛛のような動き。
一箇所、申し訳程度に(ホントにエクソシストファンでなければ見逃すほど)登場しましたが、
ここはこれみよがしにドーンと登場してほしかったです(笑)
きっと、監督なりの元祖エクソシストへのリスペクトとして登場させたのでしょう。
見どころ
見どころは俳優陣の演技ですが、父親のような温かな魅力とカリスマ性を備えたアン神父を演じるアン・ソンギは、存在感たっぷりでした。
アンソニー・ホプキンスがエクソシスト(神父)を演じる「 ザ・ライト(ミカエル・ハフストローム 2011)」も、
格別の存在感を示していました。
しかし、本作でのアン神父は人間味の溢れる存在として浮き立っていました。
もう一つの見どころは、音響効果と音楽です。
車の走る轟音やナイトバーでのクラブミュージックの響きなど直接的に感じるものもそうですが、
音楽監督のグ・ジャワンのこだわりが、本作の魅力を引き立てていました。
胸を高鳴らせれる楽曲は、スロヴェキアで録音されたそうです。
80名のスロヴェキア交響楽団を指揮したのは、アラン・ウィルソン。
彼はハリウッド映画の「 アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 」「 フューリー 」などの楽曲も手掛けています。
考察・疑問点
では、本作の魅力とは何でしょうか?
一つには、製作陣のこだわりにあると思います。
先に挙げたオリジナリティや音楽のみならず、小道具(悪魔祓いのアイテム)や舞台(格闘技場、闇の司祭の井戸など)の作り込み、
CGと特殊メイクのバランスも絶妙でした。
アクションあり、スリルあり、人間ドラマありで最初から最後まで楽しめました。
作品として楽しめたかどうか。
これは、大事ですよね。
続編を期待させるエンディングでしたが、より多くの人に見てもらいたいですね。
監督も興行成績次第で続編を撮りたいと、インタビューで話していましたから。
まとめ

劇場を後にしながら、女性客たちの感想が耳に飛び込んできました。
「 梨泰院(クラス)よりカッコよくなっていたね 」
「 髪型もよかったわ 」
なるほど、女性客の皆さんは、パク・ソジュンがお目当てだったようです。
俳優の色気は、同性でも見惚れるほど。
これも本作の魅力でしょう。