【 韓国映画 おすすめ 】「 マルモイ ことばあつめ 」考察レビュー、「 創氏改名 」の歴史を知る
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@mai)さんからの投稿レビューです。
「 創氏改名 」という言葉自体は歴史の授業で習ったことがあると思います。
私もその1人です。
しかし、それがどのような影響をもたらすのか、どのような感情を引き起こすのか?
こういった他国の「 生活や文化に根差した見方 」を学ぶ機会はそう多くありません。
この映画では、創氏改名を含む「 朝鮮語(韓国語)の使用を禁止し、日本語の使用を強要した 」
という歴史の中で、その朝鮮語を守ろうとした人々の姿を描いています。
本記事では、この作品が持つ意義や力について深掘りしたいと思います。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
マルモイ ことばあつめ
公開日
2020年7月10日
原題
말모이
上映時間
135分
キャスト
- オム・ユナ(監督)
- ユン・ゲサン
- ユ・ヘジン
- キム・ホンパ
- ウヒョン
- キム・テフン
予告編
公式サイト
感想レビュー
好きな点
言語の研究や伝承というと、どうしても学者たちが行うという印象です。
今作では「 言語は民衆のものである 」という立場の下、市民や前科者にいたるまでを取り上げているという点が好きでした。
読み書きや知識の有無にかかわらず、
自分たちのアイデンティティとしての言語を大切にしようとする姿が、学者にとどまらず市民にも見られる点が印象的でした。
微妙な点
これは作品の本筋とは直接的に関係はしませんが、日本のやってきたことを描いた作品として、日本もこの作品の製作に関わっていてくれたらと思いました。
今作の配給を決めた会社があるのですから、きっとこの製作に携わりたいと思っている人も日本にいるはずです。
日本と韓国が相互理解をするための橋渡しが「 映画 」になればなお良いのに、と思わずにはいられませんでした。
日本人官僚が典型的な悪役として描かれていた点は、少し残念でした。
見どころ・考察
学者だけでなく市民に至るまでが一致団結する姿です。
朝鮮語辞典の制作を試みていたジョンファンは、盗みを働いたパンスのことを信用しようとはしませんでした。
そればかりか、パンスのような貧しい生活を送る者が、朝鮮語をはじめとする韓国文化をダメにしてしまうのだという偏見まで持っていました。
しかし、実は誰よりも純粋なパンスに触れるうちに、その考えは誤りだと気づくのです。
「 私の国 」ではなく「 私たちの国 」と一般的に言うことが、韓国が共同体に重きを置く性質を備えていることを示しているように、
朝鮮語に代表される朝鮮文化は、自分たちのアイデンティティを示すものであり、その担い手は学者だけではなく、市民であると知るのです。
例え、読み書きや朝鮮語自体への知識がなかったとしても、言語は方言として彼らの生活に深く結びついているのです。
その彼らと手を取り合うことで、ジョンファンたちの辞典の制作が前へと進む様子は感動しました。
私たちが観る「 戦争 」を取り扱った作品の多くは「 されたこと 」を取り上げはしますが、
「 日本がしたこと 」を取り上げることは稀だと思います。
もちろん「 されたこと 」が多く取り上げられる要因として、それが一番国民生活に深く関わっているからに他ならないのですが、
「 日本がしたこと 」という日本の暗い歴史についても学ぶ必要は同様にあるはずです。
そういった歴史は共感が得られにくく、また、その歴史に関わってきた多くの人たちが口を重たくする話題です。
しかし、この作品を通して、一個人として生活に与えられた戦争の歴史と、国という共同体の一部として他国や多民族に与えた戦争の歴史のどちらも学ばなくてはいけないと感じました。
そのような、侵略の歴史を学ぶという意味でもこの作品は意義深いものになっていると思います。
まとめ
今年は外出がなかなか叶わずで、戦争についてのテレビ番組の特集などを目にする機会が多く、戦争について考える機会が必然と増えたなと感じた人もいたのではないでしょうか。
そんな時に、映画や読書を通して、過去の歴史に思いや考えを巡らせるというのも良いのではないかなと思います。
この作品に関連して「 金子文子と朴烈 」という作品をオススメします!
関東大震災に際して発生した、朝鮮人への迫害に抗った人々と金子文子という日本人女性の姿を描いた作品で、ここでも言葉の尊さを知れます。
この作品が何かを学ぶきっかけの1つになればいいなと思います。