「 日本の最前線 」感想レビュー(アジアンドキュメンタリーズ )

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文・ライター:UK

石垣島の自衛隊駐屯地建設を軸に、外国人ジャーナリストが日本の国防のリアルを取材したドキュメンタリー作品。

武力だけではない、意見のぶつかり合いの先にあるものは。

目次

日本の最前線

©The Japanese Frontline.

あらすじ

周辺国の脅威が増す中、防衛力の増強を始めた日本。南西諸島と領海を守るために、自衛隊内に水陸機動団を組織した。台湾有事を想定し、石垣島に自衛隊駐屯地を建設。島に自衛隊がいなければ「攻めやすい場所」になるという市長に対し、戦争の記憶がある高齢者は反対の声を上げる。自国の国境を防衛するために基地を設けようとすると国民からは反対運動が起きるという、平和国家日本ならではのジレンマだ。活動家でもある市議は、漁民として尖閣諸島海域で漁を行う。彼が尖閣諸島に向かう時は海上保安庁の臨検を受け、洋上でも常に監視されている。自国の領土とは思えないほどの権力の介入に、市議は異を唱える。外国人ジャーナリストが興味を持った日本の国防の現実。世界は日本国民の判断の行方を見守っている。

◆メリットとリスクで意見が割れる防衛拠点◆

石垣駐屯地は、南西諸島海域における日本の離島防衛態勢強化を目的として2023年3月に開庁。石垣島で最も高い山の山麓に設けられています。駐屯地開設の狙いは中国の台湾侵攻を視野に入れた、先島諸島の防衛力強化です。自衛隊は2016年に与那国島、2019年には宮古島や奄美大島と、南西諸島の防衛を重視。すでに空母が宮古島周辺海域を航行する中国に対する抑止力を高めようとしています。石垣島住民の声は「駐屯地ができれば狙われやすくなる」というものと「駐屯地がなければすぐに占領されてしまう」というものとに二分され、対立が生まれています。

(公式サイトより引用)

原題

The Japanese Frontline.

上映時間

30分

予告編

キャスト(制作スタッフ)

  • 取材:ジェームズ・オーテン  
  • エグゼクティブ・プロデューサー:モラグ・ラムゼイ  
  • プロデューサー:浅田裕美子、リサ・マクレガー  
  • 撮影:ミッチェル・ウールノー  
  • 編集:ピーター・オドナヒュー

公式サイト

日本の最前線

作品評価

  • 映像 
  • 脚本 
  • キャスト 
  • 音楽 
  • リピート度 
  • グロ度 
  • 総合評価 

感想レビュー

©The Japanese Frontline.

本作の見所は何といっても、日本の最前線に立たされた異なる立場の人々への取材を通して浮き彫りになる意見の主張、

対立といった多様性について考える機会があることです。

国防という問題から、日本の防衛を担う自衛隊員の視点、行政の長である市長の視点、その地に根差す島民の視点、と、

異なる視点から気付きを得て、学ぶことがありました。

ある市議会議員は尖閣諸島の現状を周りに知らせるために、そのときだけは島民という立場として活動したり、

ある市民は過去のバックボーンを通して抗議活動をしたりと、マイノリティーであったとしても

自分の信念をもって軸をぶらさず、問題の解決に向けて取り組む姿勢を貫きます。

一方で、島民をまとめて自衛隊や国など行政との橋渡しをする市長においては、これは国全体の問題なんだと、

特定の地域だからというわけではなく広い立場に立った上で最適解を選択して行動する、

そしてそんな市長の姿勢を評価する島民たちがいるのも事実。

この作品を鑑賞して、今一度多様性とは何かを知るよい機会となりました。

もちろんどうしても埋めることのできない壁、一線はありますが、そうした中でも最後は必ずどこかで皆で

一つの方向性に向かっていかなければいけない、決断しなければいけないときが来ると思います。

そうしたときにある程度違いを理解し、落としどころを付けるところはつけて、協力して問題解決に向けて向き合っていく、多様性を乗り超える、

これが今後の日本の最前線において重要となるピースだと思いました。

まとめ

ちょうど今、アメリカでは分断されてしまった国内の内紛を描いたA24の新作「 シビル・ウォー アメリカ最後の日 」が話題を攫っていますが、

本作を通して、日本の最前線で今後私たち国民一人ひとりがお互いの価値観や主張をある部分では譲歩し、

多様性を認め合わないと同じように分断してしまうと思いました。

そして、これは自分とは遠いことで無関係と考えている私たち一人ひとりが、より真剣に自分事として向き合って考えていかなければいけません。

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