【 アジアンドキュメンタリーズ 】「 馬ならし、タイガを駆ける 」感想レビュー

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ロシアの国境に近いダハルト渓谷で、馬ならしをしている男・シュフルトを追った作品。

目次

馬ならし、タイガを駆ける

©Le cavalier Mongol

あらすじ

ロシア国境に近いダルハト渓谷で“馬ならし”を生業とする男、シュフルトの日々を追った作品。遊牧民たちは毎年一時期、馬を自然に戻し、本能を取り戻させる。自然の状態に戻った荒れ馬を訓練して飼いならすのが、馬ならしの仕事。彼が手懐けられなかった馬の多くは、持ち主に殺される運命だ。シュフルトは遊牧と狩り、夏場は相撲の賞金で収入を得る。最大の脅威は、国境を越えて侵入してくるトゥバの盗賊だ。盗賊たちはシュフルトがいない間に、群ごと馬を盗んでいった。愛馬を取り返すべく、雪の平原を一人行くシュフルト。孤独なサバイバルのような捜索が始まった。馬への愛情と敬意が感じられ、ヒューマニズムにあふれたドキュメンタリーだ。

公式サイトより引用

原題

Le cavalier Mongol

(英題:Horse Tamer)

上映時間

86分

予告編

キャスト

  • ハミド・サルダール(監督・脚本)   

公式サイト

馬ならし、タイガを駆ける

 解説・考察

©Le cavalier Mongol

モンゴルの広大な土地と音楽にたくさんの馬。これだけでもう最高に癒される。

湖を馬が泳いで渡るシーンが特にお気に入り。湖面に映る山や木も綺麗だし、気持ちよさそうに泳ぐ馬もかわいらしかった。

馬ならしとは、毎年一定の時期に馬を自然に戻して本能を取り戻してもらい、自然の状態に戻った馬を訓練して飼い慣らす仕事のこと。

彼が手懐けられなかった馬は持ち主に殺されてしまう。

モンゴルの冬はとても寒く、その寒さを凌ぐために馬の皮で作られた衣類はとても貴重なのだという。

悪い人たちが馬の群れから馬を盗み、殺して解体し不当に売買する事件が後を絶たないそうだ。

馬はとても筋肉が発達しているので、捕らえられそうになったら蹴散らすくらいのことが簡単にできると思っていた。

でも実際は、犯人たちはものすごい手際のよさとスピードで、持ち主がいない隙を狙ったり脅して盗んだりする。

たくさんの馬を飼っていたとしても一頭ずつにちゃんと愛を持って、家族のような関係性を結んでいる持ち主にとっては屈辱的なことだと思った。

特に白い馬が凶暴らしく、狼の背骨を砕いて殺したなんてエピソードもあった。

私の勝手なイメージだと、白馬は美しく孤高の存在のように思っていたから驚きだ。

自分の身を守るために力を身に付けて生きているんだと感じた。

モンゴルは相撲にも関心があって、実際に日本の大相撲で活躍している力士も、モンゴル出身で実力も確かな人が多い。

今回の作品にも相撲の話は出てきて、馬を相手にしてトレーニングをしたり「 馬ならしほどいい練習はない 」と言っていたりして驚いた。

馬相手に練習をしているのだから、強くて当たり前だ。

ドキュメントの終盤、一頭の馬が盗まれてしまう。

家族同然にかわいがり、パートナーともいえる絆があった馬なので許せるはずもなく、後を追いかけることを決め、仕返しをしようと考える描写もあった。

しかし、その馬が森の中でバラバラになっていた。

あまりにも悲しく残酷だった。

その体の一部を持って帰って、朝日に向かって頭を置いたり、皮の一部は縫って身近に置いておけるようにした。

「 天でまた会えたら 」という気持ちとともにまた前に進む姿は、悲しいけどとても勇敢に見えた。

私は動物が大好きなので、動物が傷付く映画はあまり好きではない。つらい気持ちになるからだ。

モンゴルの冬はこんなにも馬の死体で溢れているのかと思うと胸が締めつけらる。

まとめ

モンゴルという国も、こんなに広大でどこまでも続く草原も、今の自分が生きている世界と全く違くてとても惹き込まれたし、

こんな世界があるのかと驚いた。

馬と持ち主がずっと幸せに暮らす毎日を願いたい。

執筆者

文・ライター:小松糸

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