こんにちは、Johnです。
映画ライフ楽しんでますか?
こんにちは、リリヲです。
竹宮ゆゆこのスマッシュヒット小説を実写化。
映画「 告白 」や「ユリゴコロ」のようなイヤミスではありますが、愛に溢れたイヤミスです。
「 青春 」に始まり、ラブ→サスペンス→ラブファンタジーと加速度的に変化していく今作をレビューしていきます。
画像の引用元:公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
砕け散るところを見せてあげる

公開日
2021年4月9日
上映時間
127分
キャスト
- SABU(監督)
- 中川大志
- 石井杏奈
- 井之脇海
- 清原果耶
- 北村匠海
- 原田知世
- 堤真一
予告編
公式サイト
作品評価
[rate title=”5つ星”]
[value 4]映像[/value]
[value 3]脚本[/value]
[value 4]キャスト[/value]
[value 3]音楽(BGM)[/value]
[value 2]リピート度[/value]
[value 3]グロ度[/value]
[value 3 end]総合評価[/value]
[/rate]
感想レビュー

好きだった点
玻璃を取り巻くイジメや虐待という自分の力が及ばない現象を、得体のしれないUFOに例えているのが言い得て妙。
玻璃が受けているイジメは、殺人罪にもなりかねないほど酷いもので、もし自分が学生で同じ校内にいたら到底耐えられるものではない。
そんな人間の暗部を生々しく描きながらも、その暗闇から陽の当たる場所へ救いあげるのも、また人なのだと玻璃や清澄の強さに胸を打たれた。
嫌いだった点
原作では冒頭の「 僕 」が清澄であるかのように描かれるが、実は「 僕 」=清澄の息子であることがラストで判明します。
これは今作に散りばめられている伏線の中でも最大トリック。
しかし、映画は映像なので最初からモロバレで描かれ、清澄と息子が同室でヒーローポーズをする姿に観客は「?」となってしまう。
映画は親切心でナビゲートという名のネタバレをしてしまうことが多いが、もう少し観客を信用し大いに考えさせ、驚かせてもらいたい。
見どころ
中川大志が演じた清澄と石井杏奈が演じた玻璃のどちらもが特異なキャラクターであるにも関わらず、絶妙な匙加減で演じている。
さらに言えば玻璃の父を演じた堤真一もクレイジーなキャラだが、3人とも現実と地続きに本当に存在しそうな雰囲気をまとっている。
だからこそ、後半のサスペンスな急展開は恐ろしく悲しい。
考察レビュー

玻璃を支配する虐待の影響
壮絶な虐待を受けている玻璃は、当たり前の日常を生きているクラスメイトたちが「 境界線 」という言葉で線引きするほど、玻璃の周囲への反応が虐待を受けている子どもそのもので辛い。
つね日頃から命の危険を感じながら生きている玻璃は、突如自分のパーソナルスペースに入り、触れてきた清澄に対し「 攻撃されるのかも 」と感じ絶叫してしまう。
そんな玻璃にとって清澄は、そこにすがるしかないほどの一筋の光になるわけだが、玻璃の「 先輩といる時が一番幸せ。
ずっと一緒にいたい。」という台詞でさえ、孤独の中で愛に依存するしかない玻璃の現実を突きつけられているようで心がヒリヒリした。
父親が壊れたのはいつから?
玻璃の父がサイコパスになってしまったのは母親を殺してしまった時からなのか?
それとも元からの性質で身の危険を感じた母親が家を出たのか?
父親が元からサイコパスならば、母親が実母と娘を残して家を去るのは不自然なので、母親が家を出る時に何らかのハプニングがあり、父親が母親を殺めてしまったのではないかと感じた。
父親が清澄親子を狙ったのも、玻璃に近づいてほしくないという意図ではなく、母親と義母の殺人を隠匿したいがためだけの行動で、
常に神経を尖らせ愛する娘に手を上げ続ける人生は地獄だったのではないか。
父親を演じた堤真一は怖いだけでない苦しみや哀しみも感じさせる複雑な人物像を見事に作り上げていた。
清澄が撃ち落としたふたつのUFO
ひとつ目のUFOは言わずもがな玻璃の父親。
ふたつ目のUFOは玻璃の父親を撃ち落とした直後から2人の頭上に出現し続けたUFOである。
それをいつ撃ち落としたのか?分かりにくい描き方になっていた。
水の中で清澄が、あの日残してきた血まみれの玻璃の身代わりである少女を助けたとき、2人の頭上のUFOは撃ち落とされた。
清澄は時間も場所も超えて、どんな場面でも玻璃と息子を救える存在になったのだ。
めっちゃわかりにくいけど(笑)
まとめ

筆者は公開初週の大型シネコンで鑑賞してきたのだが、劇場は私を含めたったの2人!(驚)
私がイヤミスを評価するとき、「 何かしらの余韻がズシンとくるかどうか 」を基準にしているのですが、清澄の深い愛の余韻はあるものの、衝撃というほどではない。
けれど、ジャンルにとらわれない面白さがある作品だと思うし、主演2人の演技は今年の賞レースにノミネートされてもおかしくない名演だったので鑑賞しておくべき作品だと感じた。