「 ジョン・F・ドノヴァンの死と生 」考察レビュー、文通する大スターと少年の物語を描く
映画ライフ楽しんでますか?
今作は、幼少期のドラン(監督)がレオナルド・ティカプリオにファンレターを送った経験をもとに着想した作品です。
「 Mommy 」「 たかが世界の終わり 」などで知られるグザヴィエ・ドラン監督。
今作の一般的な評価はそれほど高くないのですが、個人的には素晴らしい作品だと感じています。
文通する大スターと少年の物語とは?
以下、ネタバレを交えつつの感想です。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ジョン・F・ドノヴァンの死と生
公開日
2020年3月13日
上映時間
130分
キャスト
- グザヴィエ・ドラン(監督)
- キット・ハリントン
- ジェイコブ・トレンブレイ
- ナタリー・ポートマン
予告編
公式サイト
感想レビュー
好きだった点
やはり映像の美しさは絶対に外せない要素でしょう。
そのままポストカードにして飾っておきたくなるような美しい画面が数多くありました。
殴られて芝生に倒れ込むルパートを枝葉の上から映すカット、アパートを名残惜しげに見上げるジョン。
特にダンスホールのシーン。
ジョンが「 許されない友人 」つまり、同性愛関係にあるウィルとダンスホールで踊り、濃密な視線を絡ませるカットは必見です。
照明の鮮やかな色が2人を隠すように照らすシーンは、息を呑むような美しさ。
キャスト陣の演技が驚くべき高水準であることも、ストーリーに没頭できる要因です。
中でもルパート役のジェイコブ・トレンブレイの演技は、抜きん出た才能を感じます。
終盤、カフェでジョンの死を報道するテレビを見上げる彼の表情は、とても撮影当時まだ11歳とは思えない繊細な表情でした。
挿入歌とシーンとの組み合わせ方も最高です。
アデルのRolling in the Deepから始まるオープニング映像もそうです。
ジョンの撮影風景が描かれるシーンですが、床を見つめ、いつか必ず来る破滅を思うようなジョンの表情。
そして、ひたひたと心の中に何かを溜めていくような歌声。
顔を上げて微笑むジョンとサビでの決定的解放が、既にこの話が向かう先を暗示するかのように絡み合っているのです。
全てが終わってしまう時が来る予感を感じながら、私はこのストーリーの結末を見届ける決意をさせられたと言っても過言ではありません。
全てを見届けた後、エンドロールを飾るThe VerveのBitter Sweet Symphony
どこか物憂げな歌声には、決していい部分ばかりではない社会と、人の心の様を感じます。
嫌いだった点
強いて挙げるとするならば2点。
- 台詞の文字量が多く画面と字幕が追つかない
- 全てカットされたベラ・ソーンの出演シーン
前者は、複数回の鑑賞で充分カバーが可能です。
良作は何度見てもいいものですよね。
見る度により深く作品を理解する満足感を得られます。
後者は、本作を配給しているファントム・フィルムのYouTube公式チャンネルで一部シーンを視聴することができます。
劇場で見られないことを残念に思いました。
バットを振り下ろすジョンからは、作中では保身のために迎合するばかりで、メディアに対する怒りを感じられます。
見どころ
着目するシーンにより、画面の美しさや音楽とストーリーそのものなど、多くの見どころがある今作。
見逃せないものを1つだけ選ぶのであれば、やはりジェイコブ・トレンブレイでしょう。
彼の演技の巧みさや深み、見せる感情の幅広さには目を見張るものがありました。
これから躍進していくであろう彼の演技を見るためだけに劇場へ足を運ぶ価値アリです。
まとめ
今作は、人を勇気づけ、そっと背中を押す優しい力を持った作品でした。
何となく元気がない時に見たい1本としてお薦めします。
また、今年の9月25日には同監督による新作映画「 マティアスとマクシム 」が上映予定です。
こちらも楽しみですね!
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今回は、ペンネーム(@ponitaponikichi)さんからの投稿レビューでした。
文通とはまた意外な設定でしたね。
ジェイコブ・トレンブレイ君と言えば、映画「 ルーム 」でブリー・ラーソンと共演していましたね。
その当時から彼の天才的演技は凄いと感じていました。
彼の今後の活躍に期待しましょう。