【 香港映画 】「 淪落の人 」 アンソニー・ウォン主演、自由と不自由を描いた今作は幸せすぎて泣けるというお話

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映画ライフ楽しんでますか?

今回は、香港映画のレビューとなります。

サクッといきましょう。

「 淪落 」という言葉は聞き慣れないですが、辞書によると「 落ちぶれること、落ちぶれて身をもちくずすこと 」とあります。

そのタイトルからも示されるように、失意のうちに出会った2人がお互いを尊重し合いながら、また夢を応援し合いながら、少しずつ前へと踏み出していくという作品です。

心が温まること間違いなしの作品でして、この記事内ではその唯一無二の「 温かい世界 」を紐解いていきたいと思います。

画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)

目次

淪落の人

©︎淪落の人

公開日

202021

上映時間

112

キャスト

  • オリヴァー・チャン(監督)
  • アンソニー・ウォン
  • クリセル・コンサンジ
  • サム・リー

予告編

公式サイト

淪落

感想レビュー

©︎淪落の人

好きだった点

今作の魅力は「 幸せすぎて泣ける 」という点。

切なく悲しくて泣けることは多くても、幸せな光景すぎて泣けるというのは凄く珍しいと思います。

散髪や食事、散歩などの日常的なシーンで見せるチョンウィンとエヴリンの表情が本当に幸せそのもので心が温まりました。

嫌いだった点

エモーショナルさに富んだ作品なのですが、妹とのすれ違いを描く必要はあったのかな?と思いました。

チョンウィンが家族とは疎遠になっていることを描くためとはいえ、妹と仲違いしてしまってるという設定を最後までうまく活かせていなかったように思います。

その点だけが唯一、今作で気になった点です。

見どころ

魅力として挙げた「 幸せすぎて泣ける 」というのが、今作の見どころです。

幸せなシーンに、香港の素朴だけれど美しい四季を織り交ぜて展開するので、更にエモーショナルな画になっています。

事故により不自由を強いられ、家族とも疎遠になってしまったチョンウィンと、家族のためにカメラマンという夢を諦めて外国(香港)へと出稼ぎに来たエヴリン。

その2人の関係は雇い主と家政婦ですが、2人がお互いを尊重する気持ちを持つことで、その上下関係を越えた家族のような関係性へと変わっていきます。

そして、エヴリンのカメラマンという夢と、チョンウィンの離れた場所で暮らす息子との旅行という夢を、お互いが応援して実際に行動することで叶えていくというストーリーが本当に美しいのです。

他人への信頼、感謝、愛、家族、別れなど、誰しもが一度は抱いたり体験したりする事柄。

それをエヴリンとチョンウィンという2人を通して描くからこそ、その構築の過程がいかに大切で、時間がかかるものなのかを感じさせてくれる作品でした。

考察・疑問点

今作の「 温かさ 」はどこからやってくるものなのでしょうか?

もちろん、上記に記したような心での交流を描くことによるものというのも1つです。

更に私が挙げたいのが「 自由と不自由 」です。

チョンウィンは事故により下半身付随かつ手の感覚も曖昧という「 身体的な不自由 」を強いられます。

一方で、エヴリンも掴みかけていた夢を諦めて海外へと出稼ぎに出るという、チョンウィンとは違った意味での「 身体的な不自由 」を強いられます。

彼女は切羽詰まった家族の事情により、自由な行動ができない状況にありました。

そんな、自分ではどうしようもない「 不自由 」を抱えた2人ですが、その不自由さが他の自由さに影響を及ぼすわけではないというのが、今作の温かさを支える主張のように思えます。

身体的な不自由など、自分ではどうにもならない不自由によって、あらゆることが一気にできなくなるような感覚に陥ってしまうというのは無理もないことです。

今作は「 そんなことないよ 」と伝えてくれるかのように、不自由さを跳ねのけて自分らしい姿を求める「 精神的な自由 」を手に入れる2人が描かれます。

家族や大切な人の顔色を伺い、やりたいことから身を引くというのも優しさだけれど、自分の夢や願望をひとつ叶えてあげるわがままだって時には言っていいはず。

それをお互いがお互いに教えてあげるのです。

その一歩前へと踏み出す力強さこそ、今作の温かさの所以のひとつだろうと思います。

まとめ

©︎淪落の人

今作は話題の多い作品でして、その代表格が「 主演のアンソニー・ウォン 」にまつわるものです。

香港の雨傘運動を支持したことで、香港映画界から締め出されたアンソニー・ウォン。

彼をオリヴァー・チャンという新進気鋭の女性監督が起用します。

しかも、低予算映画であることを考慮したアンソニー・ウォンは、ノーギャラでの出演を決めます。

そんな、監督にとってもキャストにとっても、キャリアにおいて確実に象徴的な存在となり得る作品なのです。

しかし、そういう裏事情は一切見せず、とにかく心の洗われるような作品になっていました。

上映館が少ないことが寂しくもありますが、見る時には必ずハンカチを持参しましょう。

今回は、ペンネーム(mai)さんからの投稿レビューでした。

僕は、香港映画を見たりしますが、Blogにアップしたことはなかったので、たまには香港映画もアリですね。

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