ノルウェー版「 ゴジラ 」と話題の本作。
トロールは北欧、特にノルウェーの伝承に登場する妖精の一種。
伝承によって様々な描写があり、巨人だったり小柄だったりと一定しませんが、本作のトロールは岩と土で構成された巨体で怪力を振るい暴れ回る、まさに怪獣。
国内配信後まもなく映画部門のデイリーランキングで1位に輝くなど注目度は高い。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
トロール
あらすじ
公開日
2022年12月1日
原題
Troll
上映時間
103分
キャスト
- ローアル・ユートハウグ(監督)
- アイネ・マリー・ウィルマン
- キム・S・ファルク・ヨルゲンセン
- マッツ・ショーグルド・ペターソン
- ガード・B・エイズヴォルト
予告編
公式サイトを参照
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
本作は怪獣映画愛に満ちていました。
たとえば、人間の身勝手さによって呼び起こされた怪物・トロールの哀切。
あるいは序盤、空撮された山岳地帯の巨大な“くぼみ”に対する足跡ではという推測を「 まさか 」と笑い飛ばす首相に象徴される人間の愚かしさ。
他にも、たった一人、トロールの存在を唱え続け狂人として学会から追放された民族学者。
迎撃しようと周囲を旋回していたヘリコプターを薙ぎ払い爆散させる怪物・トロールの怪獣アクション。
そして、トロールと人の心が通うクライマックス。
ここまでの列挙した内容は、怪獣映画に親しみがある方ならばどこか親近感を抱くでしょう。
それもそのはず。
本作は怪獣映画のお約束を丁寧になぞった、王道作品なのです。
しかし単なるテンプレではないところが、最大の特徴だろうと筆者は思います。
人間の業の深さという怪獣映画においては古典的とも言えるテーマを主題に据えながらも、安易な美談に頼らない結末。
それは、いい意味で王道のレールを踏み外していて、意外性のある切ない余韻を私たちに感じさせてくれました。
まとめ
王道のプロットに沿いながら、迫力のある映像で魅せ、結末にオリジナリティある余韻を生み出していく。
長い眠りから目を覚ました巨大な怪物・トロールが人類の脅威になり暴れる――という字面だけ見れば大味なB級感満載ですが、その中身は、緻密なストーリーと愛に溢れる演出が印象的で予想外に楽しめる1本でした。
ちなみに、本作は実際に劇中のニュース報道で「 ノルウェーのゴジラ 」とトロールが言及されるシーンがあります。
そんな日本の怪獣映画ファンに向けたようなクスリと笑えるシーンなど、端々から怪獣愛と日本の特撮映画への愛(オタク心と言い換えてもいい)が感じられる良作でした。