文・ライター:リリヲ
キャスティング時期から韓国映画&ドラマ班の豪華キャスト共演が話題になっていた本作。
コン・ユが特別出演のわりに、最初から最後まで物語にガッツリ絡んでいる(笑)
オムニバス形式で綴られる愛と喪失を描いた珠玉のSFファンタジードラマです。
ワンダーランド: あなたに逢いたくて

あらすじ
人工知能により、亡くなった人と残された人の対話が可能になった世界。キャビンアテンダントと一児の母、2人の女性がそれぞれに現実と仮想のはざまで人間性の本質を探る。
(公式サイトより引用)
原題
Wonderland
公開日
2024年7月26日
上映時間
115分
予告編
キャスト
- キム・テヨン(監督・脚本)
- タン・ウェイ
- ペ・スジ
- パク・ボゴム
- チョン・ユミ
- チェ・ウシク
- パウ・ヘイチン
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽(BGM)
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
解説・考察レビュー

「 ワンダーランド 」のサービスがあったら、あなたは使いますか?
本作を見て、誰もが最初に浮かぶのはこの問いだろう。
この点も踏まえ、本作の魅力と考察を語っていこうと思う。
本作はテーマ勝ちしているわりに、オムニバスのエピソード自体が少ないのに各々のエピソードを深掘りできていないので、
全体的にふわっとした平凡なSFファンタジーになってしまっている印象を受けた。
韓国お得意の見応えの深さやどんでん返しがないので、拍子抜けしてしまう方も多いのではないだろうか。
このようなドラマは、いかに登場人物たちに共感できるか否かで出来が決まるが、
残念ながら感情面の攻めが甘すぎて、自身の経験にフィードバックするまでのケミストリーは生まれなかった。
本作を見て、「 ワンダーランド 」のような人の死に関わるサービスは、全て、別れを受け入れる準備をするためにあるのではないかと感じた。
突然の別れではなくても、人の人生は短く、後悔がないなんてことはまずないだろうから、
やり残した後悔の回収や、「 もう大丈夫 」と前へ進むためにあるサービスなのだろう。
精神的強さは人それぞれだから、「 もう大丈夫 」な時期はすぐかも知れないし、一生来ないかもしれない。
けれど、虚構の中にリアルを感じたとき、人は“ 愛 ”は失われず、今も目の前に存在していることを知り、生きる糧へと繋げていくのだと思う。
とはいえ、ジョンイン&テジュカップルのような状況では難しく、好きな人が2人に分かれたら、自分の愛も2つに分かれてしまう気がした。
そしてそこから2つの人生がスタートしてしまう。
それは虚構ではなく、ジョンインにとってはリアルだから。
だからこそ、テジュはジョンインが自分の偽物と人生を進めてしまったことにショックを受けたのだろうし、
ジョンインもまた「 ワンダーランド 」のテジュの気持ちを慮り、別れがたく感じた。
人間でもAIでも、大切な人と気持ちを交わすとはそういうことなのだろう。
まとめ
最後に、冒頭の問いかけに対する私の答えはというと。
私はお墓参りで大切な人に語りかけるのと似た感覚で利用すると思う。
そして、気持ちの整理がつき前進できるようになったら、アルバムのような感覚で時々出して使うくらいになるだろう。
困難を乗り越えようとすれば必ず壁にはぶつかるものだし、本物の困難を乗り越えた先にしか本物の安住はないはずだから。