超話題作「 TENET 」を見てきました。
面白かったのか?
面白くなかったのか?
結論、1度目はあんまり面白くなかった。これには理由があります。
クリストファー・ノーランは、時系列シャッフルオタクとして有名でして「 メメント 」「 インセプション 」が分かりやすい例です。
僕が歴代ノーラン作品で最も難解だと感じた作品は「 インターステラー 」でしたが、今作はその上を行く超難解作品。
これはいくら何でもやりすぎ(笑)
1度で理解する作品ではなく、少なくとも3回は見ないと楽しめない作品だと感じました。
ノーラン作品だから面白い!
傑作だ!
と言えばそれまでなのですが、僕は自分の感情を素直に文章にしたい人間なので、SNSで「 TENETヤバイ最高!」とかですね、
そういうのを見て便乗して「 TENET傑作じゃん!」とはならないんですよね。
一晩明けてTENETがどうなったのか?
と自問自答したらですね、
つまらなかった
という結論に至りました(笑)
「 お前はノーランを分かっていない 」と思われるでしょう。
誤解されたくないので説明すると「 つまらなかった 」というのは、あくまでも1度目を見た後の感想ですよ。
超難解すぎて理解不能なり、作品を感じようとしましたが、色々考えすぎて感じる間もなく終わったというのが本音です。
2、3回と見ていくうちに面白い作品だと思える作品ですよこれは。
テネットよりもノーラン作品の「 ダークナイトシリーズ 」の方が好きだけど。
恐らくノーランは、観客が今作を1度で理解してくれる想定はしていません。
何度も見る前提で「 テネット」を製作しているはずなので、2度目はIMAXで見てきました。
これ程のレビューを書いたのは、去年の「 ジョーカー 」以来。
本記事を読んで少しでも多くの人が「 TENET テネット面白いじゃん! 」となれば嬉しいです。
TENET テネット
あらすじ
ウクライナ・キエフのオペラハウスにて発生したテロ事件。ロシア人に捕らえられたCIA工作員の男は、テロそのものがテストであったことを告げられる。彼に与えられたミッションは、第三次世界大戦の勃発を防ぐことだった。迫り来る敵は未来人、ミッションの合言葉は「 TENET 」。壮大なタイムループ戦争に巻き込まれる主人公の運命はいかに。
公開日
2020年9月18日
上映時間
151分
キャスト
- クリストファー・ノーラン(監督)
- ジョン・デヴィッド・ワシントン
- ロバート・パティンソン
- エリザベス・デビッキ
- ディンプル・カパディア
- クレマンス・ポエジー
- ヒメーシュ・パテル
- マイケル・ケイン
- ケネス・ブラナー
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
複数回みないことにはレビューしようがないという珍しい作品ですね。
という意味でリピード度は5にしました。
クリストファー・ノーラン作品(一覧)
ノーラン作品は、過去にレビュー記事を書きましたので是非チャレンジを。
どの作品もノーランスタイル炸裂って感じです。
「 TENET テネット 」を見る前にノーラン作品を全て制覇している人にとっては、今作がノーランの集大成だと実感することでしょう。
- Following(2001)
- メメント(2001)
- インソムニア(2002)
- バットマン ビギンズ(2005)
- プレステージ(2006)
- ダークナイト(2008)
- インセプション(2010)
- ダークナイト ライジング(2012)
- インターステラー(2014)
- ダンケルク(2017)
- TENET(2020)
- オッペンハイマー(2024)
考察・感想レビュー
好きだった点
今までに見たこともないような斬新な映像でした。
「 理解するより感じろ 」がノーラン作品なので、1度目は感じる間もなく映画が終わってしまいました(笑)
エリザベス・デビッキ可愛すぎました。
彼女は、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーVol.2で女王アイーシャを演じていました。
渋谷のTOHOシネマズで見たのですが、終わった後にエスカレーター逆行している人いましたよ。
嫌いだった点
難解すぎて目と頭が疲れてしまった。
これほど難解にする必要が果たしてあるのだろうか?
ノーランの伝えたいメッセージがあるのだろうけれど、楽しむにはハードルが若干高いと感じました。
苦手な人は苦手なのかなとも。
恐らく、1度見てまた劇場へ!
もう2回目はいいかな!
というパターンに分かれる作品ですね。
過去のノーラン作品を制覇している人は、また見たいと思うんじゃないですかね。
見どころ
やはり時間逆行でしょう。
現在軸と過去軸で進むタイムライン。
過去軸に行った人間は、全てが逆行に見えるという。
今作のような映画が過去にあったかと聞かれたら恐らくない。
それほど斬新な作品であったのは間違いない。
IMAXで見るべし
1度目は通常の劇場で、2度目はIMAX劇場にて観賞。
通常の劇場でも楽しめますが、感じるならIMAX一択。
臨場感や迫力が全然ちがいます。
IMAXで見るのであれば、中央の後方がベスト。
是非IMAXで「 TENET テネット 」を楽しむべし。
レビュー ❷
< 好きだった点 >
公開前から「 時間逆行 」で難しい作品と言われていた今作。
全てを理解するためには何十回も見なくてはならないでしょう。
なので、最初から私はクリストファー・ノーランらしさを楽しもうと映画館に向かいました。
クリストファー・ノーランといえば、やっぱりCGを使わない凄さです。
物語の中にある飛行機の爆発も、本物の飛行機を買って爆破したと話題になっていました。
そんなクリストファー・ノーランらしい、本物にこだわって作品を見ました。
もちろん途中「 時間の逆行 」に囚われそうになりますが、それを忘れて映像に集中しました。
「 TENET テネット 」は151分もある映画ですが、全く時間の長さを感じません。
映像とその世界観にどっぷりはまってしまいました。
あっという間の151分で、見終わったとは凄いものを見てしまったという感覚になりました。
< 残念だった点 >
とにかく難しい。
「 時間逆行 」がなければストーリーは単純なはずなのに、「 時間逆行 」が全てを難解にしています。
何度も観なくては理解できないし、途中で止めながらちゃんと理解しながら見たい作品でもあります。
< 見どころ >
時間の逆行によるストーリー展開、それは全ても物事が逆再生状態になります。
こんな映画は今まで見たことがない!が「 TENET テネット 」の最大の売りになっています。
ストーリーは理解できなくても、この映像を大画面で見ることができたことだけでも「 TENET テネット 」を見てよかったと思います。
コロナによって映画館が閉鎖され、配信で映画を楽しむ人も増えています。
しかし「やっぱり映画館だよね!」と思わせてくれるのが、「 TENET テネット 」です。
物語自体も分かりにくいけど、分かりやすいです。
主人公たちが何が目的で何をやっているのかだけは理解できます。
それさえわかっていれば時間の流れが理解できなくても、楽しめるのもこの作品の凄さです。
理解できない部分を理解したい人は映画を何度も見て楽しめばいいし、このままでいいと思った人はあえて理解しないのもOKなのかもしれません。
とにかく絶対に映画館で見るべき作品それが「 TENET テネット 」です。
映画を見終わった時点からずっと考えている「 TENET テネット 」の時間逆行。
ゆっくり考えれば理解できそうだけど、理解できないもどかしさがあります。
それは考えれば考えるほど、タイムパラドックスにハマってしまうからです。
タイムトラベル作品やループ作品にも起こるタイムパラドックス。
「 過去が変わると未来の自分は? 」という闇にハマってしまいます。
きっとそれを理解するためには、時系列をおって整理する必要があるので1回見ただけだと正直無理な気がします。
それでも未来の自分が、過去の自分に世界を救わせた。
そして過去の自分の相棒が未来の人物だった。
ということは理解できます。
残りの部分は、もう少しゆっくり考えたいと思います。
きっと何回か見ると疑問が解けてくるのでしょう。
レビュー ❸
< 意味不明がゆえに見る価値あり >
作品の公開初日に劇場へ足を運ぶのはいつぶりか思い出せないほどですが、レイトショーで鑑賞に間に合いました。
予習として「 メメント 」「 インターステラー 」を見直してから今作に挑みました。
時間の逆行や、科学SFの追求という共通点がありながら、過去作をどんどん更新していくノーラン作品の「 新しさ 」に、ブッ飛びました。
その新しさとは?
他の映画作品とも比べながら考えてみたいと思います。
< 好きだった点 >
最初から最後まで目が離せない点。
冒頭のオペラ劇場のシーンで、のっけからクライマックスのようなアクションが展開され、映画館の劇場ごとスクリーンの中に入り込むようでした。
それからも、ずーっとジェットコースターに乗っているような感覚であっという間の2時間半でした。
(しかも、今作では5時間分の追体験ができます)
監督の壮大な仕掛けはさておき、スパイ映画として、普通に楽しめる内容となっていました。
< 嫌いだった点 >
テロリストたちが、オペラ楽団の楽器を倒したり踏んづけたりするシーンが嫌でした。
ジャンボ旅客機さえも実際に爆破させるのは「 さすが! 」の一言ですが、
コントラバスやチェロも実物を破壊しているのだろうな、と余計な心配をしてしまい落ち着かない気分になりました。(楽団長を5年務めた経験があるため)
< 見どころ >
何と言っても時間逆行の映像体験です。
SF小説の世界では、タイムパラドックスや「 時間 」を題材にした実験的な作品はそれほど珍しくはありません(星新一、小松左京、筒井康隆など)
それを映像として、しかもCGやテープの逆回転に頼らずに撮ったのは凄いとしか言いようがありません。
俳優たちも、逆行シーンでは動作を反対にして演技したそうです。
さらに、IMAXカメラによる撮影、回文的な物語を支える音楽、撮影日の天気( 晴れよりも曇り )にも、こだわっていたようです。
クリストファー・ノーラン監督ならではの、細部へのこだわりが見どころであるのは言うまでもありませんが、
監督の、映画の力を信じる「 テネット(信条)」が、最大の見どころでしょうね。
では、今作の新しさとは何でしょうか?
それは、「 何度も何度も繰り返し見られること 」を前提にしているところだと考えます。
「 ユージュアル・サスペクツ(1995)」や「 シックスセンス(1999)」のように二度見られることを前提に作られた名作はありますが、
「 オール・ユー・ニード・イズ・キル(2014) 」の主人公が何度も生き返るように、何度も反復して観賞することで、その度に新しい発見ができるでしょう。
まずは、作品のありのままの世界を受け入れて楽しみ、それから謎解きをしながら、細部を確認しながら、何度でも楽しむことができます。
ニール役のロバート・パティンソンでさえ
「 完璧に理解するには物理学の博士号が必要かもしれない 」と話すほど難解でもありますが、監督自身は「 そんなに分析しなくてもいいよ 」と、主人公役のデビッド・ワシントンに言ったそうです。
レビュー ❹
< 好きだった点 >
いかにもクリストファー・ノーラン的な鈍色の空気感からのスタートで違和感なく入り込めた。
彼が描く厭世(えんせい)的な「 終末思想 」が濃縮されている。
地球上の人類は?
生命は消滅すべきなのか?
その引き金は、20世紀末には起きなかった最終戦争=第3次大戦なのだろうか?
人類は、生命は、その悪意が描く定義を阻止できるのだろうか?
そんな「 終末思想 」はちょっとした「 希望 」が凌駕することを教えてくれる。
< 嫌いだった点 >
宣伝手法は、ノーラン独特の「 拗らせ科学論 」とエッシャー的な「 拗らせ映像 」から「 難しい印象 」をアピールしすぎ。
故に、先入観が先行したイメージを蔓延させ過ぎだと感じざるを得ない。
< 見どころ >
「 時間逆行 」「 タイムパラドックス 」もエッシャー的な騙し絵のヴィジュアル効果も素晴らしく、視点も感情も持っていかれるけど、それは多くの評論で語り尽くされていくだろう。
人物の「 心 」の行方はとてもシンプルなのではないか?
TENET=定義とすれば、定義に心を加えれば「 信念 」になる。
信念に「 情 」が加われば「 友愛 」になる騙し絵的な「 心の行方 」を感じて欲しい。
< エントロピーの法則 >
「 拗らせ科学論 」で時間逆行でエントロピーが語られる。
科学や物理の一般的定義ならば問題なく、不可逆性を表現するならば反証が必須になるが、その面倒くさい部分を敢えて排除することで物語は進展。
しかし、熱力学を統計的に加速し増大する法則が語られ、逆行時間では炎は氷にかわる等あるが。
それでは逆行時間に存在する生命は呼吸不可だけなのだろうか?
< ネゲントロピーの法則 >
エントロピーに反するネゲントロピーとう言う法則がある。
エントロピーの加速増大はシンプルに例えれば老化現象。
反対に、エントロピーが低下すると時間事象に則さず生命の自己組織化を散逸構造を維持できる。
これは「 名も無き男 」の年齢不詳で表現されている。