映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@映画ケーン)さんからの投稿レビューです。
荒廃したゴッサムシティを救うバットマンの誕生譚。
「 人はなぜ落ちる? 這い上がるためさ 」
名言と共に振り返ります。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
バットマン ビギンズ

公開日
2005年6月18日
原題
Batman Begins
上映時間
141分
キャスト
- クリスチャン・ベール
- マイケル・ケイン
- ケイティ・ホームズ
- モーガン・フリーマン
- ゲイリー・オールドマン
- キリアン・マーフィー
- リーアム・ニーソン
- 渡辺謙
予告編
公式サイト
考察レビュー

好きだった点
- ハラハラするカーチェイス
- ラストのアクションシーン
- 伏線の回収
嫌いだった点
今作では、バットマン登場に1時間を要しました。
登場までの描写に必要性が感じられない、アクションシーンのカット割りが多すぎる。
ブルース・ウェインの修行シーンは、正直無駄だと思いました。
「 人はなぜ落ちる? 這い上がるためさ 」という名言について。
わざわざ這い上がるために落ちる必要はありません。
考察レビュー

ノーラン作品は良くも悪くも話が複雑になる傾向にあります。
それを「 頭が良い 」と感じられる人は楽しめて、そうでない人は楽しめない作品だと思います。
なにかと旧バットマンシリーズと比較されるダークナイトシリーズ。
クリストファー・ノーラン(現実主義)
クリストファー・ノーランは現実主義者であり、ティム・バートンは非現実主義者です。
分かりやすいようにバットモービルとバットスーツの例を見ていきましょう。
- コウモリのシンボルがない現実的で機能的なデザインを (前者)
- 現実的で説得力のあるものを(後者)
上記から分かるように、ノーランは現実的な発想をする人物です。
さらに彼は「 バットマンが悪党を倒せる理由 」についても言及しています。
そのリアル志向は「 頭が良く見える 」ことにも繋がります。
「 インセプション 」での夢描写、「 インターステラー 」での科学的描写など。
その説明がダルく感じるか、そうでないかで感想が分かれるのではないでしょうか。
ティム・バートン(非現実主義)
非現実主義とは、建物や風景が人の感情を表現するといった考え方です。
例えば、悲しい=雨、怒り=炎
といった具合に。
映画「 シザーハンズ 」では「 人と仲良くなりたいけれど傷付けてしまう 」というバートン自身の内面が、ハサミの手として表現されています。
彼特有の世界観ですよね。
科学的説明ではなく「 こういう感情だから 」という考え方。
バットマンも「 コウモリ姿で夜の街を徘徊する中年のオッサンは少しオカシイのでは? 」という考え方。
現実(リアリティ)にスポットを当てたものなのか?
感情(内面)にスポットを当てたものなのか?
「 現実ありき 」と「 感情ありき 」と正反対の描き方です。
よって、「 正義 」という現実の問題を扱うノーランに対し、バートンはそれ自体に興味がありません。
バートン版バットマンでは「 両親を殺した 」「 顔を滅茶苦茶にした 」などの憎しみ合う人間模様が描かれています。
ゴッサム・シティ(描写)
ゴッサムは犯罪が横行する荒廃した街、少し歩けばチンピラに絡まれ警察機関も機能しません。
よって、殺伐とした雰囲気を醸し出す必要があります。
その要素は、バットマンの存在意義に説得力を持たせるために必要不可欠です。
バットマンはなぜ存在するのでしょうか?
それは、治安が悪いゴッサムに「 悪 」が蔓延し、警察機関が機能しないからです。
警察機関が機能していれば問題ありませんが、そうでない以上、彼が正義を遂行する必要がありますよね。
バットマンの存在は犯罪の抑止力です=犯罪を減らす目的
ゴッサムのような荒廃した街があるからこそ 「 バットマン 」が生まれるのです。
そういう視点で言えば、ビギンズは一定の成功を治めたと言えるでしょう。
主人公のブルース・ウェインは「 治安の悪いゴッサムにはバットマンが必要だ 」と言います。
しかし、ビギンズには物語と関連性のない犯罪者は登場しません。
これでは説得力がありませんよね。
バットマンが倒す悪党はラーズ・アル・グールの部下であり、彼らは治安を決定的に悪くしているとは言い切れません。
よって、バットマンの存在意義に説得力がないのです。
これは、ダークナイトシリーズに共通することでもあります。
まとめ

1度目は「 イマイチ 」と思っていたのですが、2度目は「 意外と楽しめた 」という印象です。
面倒な描写を省くと90分で済む作品です(カーチェイスはお気に入りですが)
悪を恐れていては意味がない。
「 悪に打ち勝つ、自分に打ち勝つ 」という成長プロットも◎◎