「 インセプション 」考察レビュー、コマのシーンは夢か現実か?
職業 → 他人の夢に入りこむこと。
鬼才クリストファー・ノーランが潜在意識を映像化!
「 夢 」という相手の潜在意識に入り込み、考えを自在に変えられるスパイを描く衝撃SFスリラー作品です。
インセプション
公開日
2020年8月14日
上映時間
148分
キャスト
- クリストファー・ノーラン(監督)
- レオナルド・ディカプリオ
- 渡辺謙
- ジョゼフ・ゴードン=レビット
予告編
公式サイト
感想レビュー
夢をコントロールしたいとは誰しもが考えたことがあると思いますが、その夢の中で他の人をコントロールするという発想の映画は素直に面白いと思いました。
次から次へと物語が展開し、夢の話なので現実ではありえないことが起こるのが最高です。
好きだった点
クリストファー・ノーラン監督が007の大ファンらしく、雪山での乱闘シーンは迫力満点でした。
夢の中での潜在意識を守るボディーガードがいることには笑いました。
要人は、夢の中まで気を張っていなければいけないのです。
ターゲットを油断させるために、ターゲットが一番信頼している相手になりすまし、相手の情報を聞き出そうとするシーンは必見ですね。
サイトーのミッションのために「 航空会社を買う 」という規格外の富豪ぶりも最高でした。
夢が終わりそうになると周りが爆発していくシーンがありますが、冒頭の町が爆発していくシーンはCGではなく実際に爆発させたそうです。
他にもホテルのシーンで重力がなくなっている状況で乱闘する場面がありますが(もちろん夢の中の話です)
こちらは美術スタッフがホテルの内装を施した箱を作り俳優に箱の中に入ってもらい、ゆっくり回転させながら撮影したという話には驚きました。
嫌いだった点
嫌いとまではいきませんがあえて言うならば、話の構造が少し複雑で「 夢の中の夢 」とか「 夢から覚めたと思ったらまだ夢だった 」など、
「 夢の層 」が存在しているので少しわかりにくく感じる人もいるかもしれません。
見どころ
夢の中の任務だけではなく、コブの心情の変化も注目してみるとさらに面白いです。
実際自分の夢の中に入り込まれたら自分ならどうするだろうと考えながら見るのも良いでしょう。
色気たっぷりの渋い名俳優たちのスーツ姿も見どころの1つですね。
コブの夢の中で亡くなった妻と今は会えない子供に会うシーンがありますが、そのシーンをエレベーターで下に下がっていくという演出は必見です。
この演出によってコブの潜在意識に入り込んでいることや、一番トラウマになっていることが一番下の階の地下になっていることからコブの心の傷が深いことがわかります。
考察・疑問点
コブが夢に入り込んで仕事をしようとする時に、自殺した妻に妨害されるシーンがあります。
これはコブにとって妻を守れなかった、自分のせいで死んでしまったという罪悪感を作る原因となった妻が夢にでてくるということです。
人は忘れたいと願うことに限って忘れられず、潜在意識にこびりついて離れないものだと感じました。
辛いことがあると、眠れなくなったり逆に眠りすぎたりする人がいますが、コブにとっては夢の中に入ることが一番の「 現実逃避 」で最愛の妻に会える手段なのです。
コブが「 潜在意識は感情に左右されやすい。感情に訴える動機を考えるんだ 」と言っています。
亡くなった妻が夢の中の任務にでてきて仕事の妨害をしてくるのをコントロールできないコブには、特大ブーメランです。
夢の中で他人をコントロールするという仕事ですが、コブ自身自分をコントロールできていないことを考えると皮肉な話ですよね。
コブの妻はずっと夢の中にいたいと思ってしまい精神を病んでしまいますが、自分だったらどうだろう。
夢の中は完璧な世界で完璧な自分だったら現実に戻りたくなくなってしまうのではないかと思いました。
夢のなかでコブが自殺した妻に「 あなたのせいよ 」と責められるシーンがあります。
それもまたコブが作り出した幻想で、コブ自身が自分に対してそう思っている、自分を責め続けているということです。
結局人は弱くて「 自分を一番責めてしまうのも自分 」「 一番の敵は自分 」で「 何かを頑張ろうとするときに一番邪魔をしてくるのも自分 」なのかなと考えました。
ラストシーン
最後コブが子供たちに再開するシーンでは、コマが周り続けるシーンで終わりますが、あれはコブがまだ夢の中にいるということを指しているのでしょうか?
想像が膨らむばかりです。
どこからが夢でどこからが現実なのか?
見る側を惑わす作品でした。
まとめ
ただのSF映画のように感じますが、物語の中には深いメッセージが込められている148分間全く飽きない映画です。
映画館から出てくるあなたは今が夢か現実か分からなくなっているかもしれませんよ。