今回は、ペンネーム(@amo)さんからの投稿レビューです。
こんにちは、amoと申します!
今回私が紹介するのは、戦時下でタップダンスを通して自由と幸せを掴もうとした人々を描いた韓国映画、「 スウィング・キッズ 」です。
タップダンスがメインの楽しいイメージがある本作ですが、実は歴史と戦争の闇について深く考えさせられました。
本記事では、個人的に映画のハイライトだと思ったシーンに焦点を当てながらネタバレ感想をご紹介させていただきます。
読み終わった方が、「 スウィング・キッズ 」への理解を深められれば嬉しいです!
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
スウィング・キッズ

公開日
2020年2月21日
上映時間
133分
キャスト
- カン・ヒョンチョル(監督)
- D.O(EXO)
- ジャレット・グライムス
- パク・ヘス
- オ・ジョンセ
- キム・ミノ
予告編
感想レビュー

好きだった点
タップダンスのシーンと劇中の台詞が印象に残りました!
血気盛んな北朝鮮の青年、ロ・ギス。
元ブロードウェイダンサーの黒人兵士、ジャクソン。
戦争で両親を亡くした満州出身の4ヵ国語話者、ヤン・パンネ。
戦争中にはぐれてしまった妻を探す韓国人、カン・ビョンサム。
天才的なダンスの実力を持った栄養失調の中国人捕虜、シャオパン。
それぞれ異なったバックグランドを持つ4人がタップダンスを通じ、人種やイデオロギーの壁を乗り越え、
生きる喜びを見つけていく姿はキラキラしていて、見ている私まで楽しくなりました。
また、映画の中盤でヤン・パンネが、
「資本主義、共産主義。そんなもの知らなければ殺し合わずにすんだのに」
「Fucking Ideology!(イデオロギーなんてクソくらえ!)」
と、ジャクソンに話すシーンはとてもグッとくるものがありました。
資本主義や共産主義がなければ、ロ・ギスは、もっと伸び伸びと好きなタップダンス踊れていたかもしれない。
ジャクソンはブロードウェイダンサーとして舞台の上で輝き続けていたかもしれない。
ヤン・パンネは両親を亡くすことなく幸せに暮らしていたかもしれない。
カン・ビョンサムは、最愛の妻と離れ離れにならずに済んだかもしれない。
シャオパンは栄養失調になることもなくダンサーとして活躍していたかもしれない。
シンプルな台詞ですが、イデオロギー戦争は人々の幸せな未来を奪う恐ろしいものだ、
ということを改めて実感させられる深い台詞でした。
嫌いだった点
嫌いな点は特にありません。
ただ、予告の楽しそうなイメージだけに期待して本編を見るとかなりギャップを感じると思います。
見どころ
本作の見どころは、なんといっても物語のクライマックスともいえる、クリスマス公演でのダンスシーン!
舞台上で、軽快なスウィングジャズの音楽に合わせ4人がタップダンスを披露する姿はとても輝いていて、重苦しい時代背景を忘れさせてくれます。
舞台の上の4人も、観客である米軍と捕虜の人々も、この瞬間だけはイデオロギーや人種を忘れて純粋にパフォーマンスを楽しみます。
その場面が個人的にエモかったです。
考察・疑問点

本作は一見、青春ダンス映画のように思えますが、本編を見終えると実は戦争映画だったということが分かります。
物語の前半では、激動の時代を生きる4人がタップダンスを通じて希望を見つけ出すキラキラとした姿が描かれています。
後半になるにつれ、資本主義VS共産主義の部分が色濃くなっていき「 戦争の意味とは? 」について考えさせられました。
タップダンスという愉快なテーマに乗せて戦争の悲惨さを伝えることで、見る人が重苦しさを感じることなく歴史の闇について理解することができます。
それが本作の巧妙な点だと思いました。
▶︎ ポン・ジュノ作品(まとめ)
まとめ

本作の監督カン・ヒョンチョル氏は、これまで「 タチャ~神の手~ 」、「 サニー 永遠の仲間たち 」といった名作を生み出したヒットメーカー。
それだけあって、本作の演出も素晴らしかったです。
ジャズの名曲に乗せて繰り広げられるタップダンスと演技を是非、劇場で見てみてください!