
ボリウッド発イヤミス!?ボリウッドに深く根づく母娘の愛憎を丁寧に描いた心理ドラマ。
「 ブーブル 」に続き、アンヴィダー・ダット監督は、鬱3部作でも作るつもりなのだろうか?(汗)
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
QALA / カラ


あらすじ
公開日
2022年12月1日
原題
Qala
上映時間
119分
キャスト
- アンビータ・ダット(監督)
- トリプティ・ディムリ
- スワスティカ・ムカルジー
- バビル・カーン
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー


物語の始まりは1940年代。
インドの歴史や文化に詳しい方であれば、当時の古典音楽や映画音楽が再現されていることに気づき、一気にノスタルジックな世界観に引き込まれるだろう。
しかし、インド文化に詳しくない方には「 ガンジー 」というワードくらいしか、1940年代と分かるものがなく、インド映画の大半が世界より国内に向けて作られていると感じた。
古典音楽の一家に生まれた一人娘のカラは、よくいるステージママ=毒親から、「 才能がない 」と言われながらも、歌手になる為のスパルタ教育を受けており、
幼少期から母親の矛盾した言動に振り回され苦しみながらも必死についていこうと努力する。
冒頭の音楽賞受賞をキッカケに、カラが心に封印していた母にまつわるトラウマが噴出しだす。
トラウマとは恐ろしいもので、傍目には喜ばしい音楽賞受賞でも、本人にとってはそのことが引き金となり、追い詰められることがある。
一般に喜ばしいことなので、世間からは理解されず、ますます本人の孤独が深まっていく。
成功と心の豊かさは比例しない。
だからこそ、軽視してはならず、病気として治療するべき問題なのだ。
母に認めてもらいたい一心で目標だった賞を受賞するが、それすら拒絶されたことでカラの心は限界を迎えようとしていた。
カラは「 母親は子どもを無条件に愛するものでしょ 」と訴えるが、むしろ無条件に愛し続けるのは、子どもの方ではないだろうか。
カラのように純粋であればあるほど、親を捨てようとは微塵も考えず、自ら刃を受けにいき、傷つき続けるのだ。
どんなに邪見にされても、母の愛を求めるカラの姿が無垢な子どものままで、切なくて胸が痛んだ。
カラがひたすら追い詰められ続ける展開なので、ずっとキリキリ痛いのだが、カラの柔らかく甘い歌声が物語全体を優しく包み込んでいて、辛い展開を中和してくれていて心地良い。
芸能界という華やかな世界と、カラが関わる多くの人々が登場するが、物語はカラの内面描写に特化しているので、とても丁寧に描けていると感じた。
まとめ
歌って踊ってハッピーエンド、もしくは、スタイリッシュな作風が増えてきたボリウッドにおいて、幻想的なのに鬱レベルの高いイヤミスを生み出すダット監督はある意味、貴重な存在。
彼の作品がどうなっていくのか、今後も注目していきたい。