文・ライター:@リリヲ
自己肯定感高めのダメンズ現代っ子が、愛犬捜索を通じて将来の道を模索し始めるまでのハートフル・ファミリー・ムービー。
1時間半でサクッと観られるシンプルストーリーが◎
「 101 」のスティーブン・ヘレク監督作。
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あらすじ
公開日
2023年1月13日
原題
Dog Gone
上映時間
95分
キャスト
- スティーブン・ヘレク(監督)
- ロブ・ロウ
- ジョニー・バーチトールド
- キンバリー・ウィリアムズ=ペイズリー
予告編
公式サイト参照
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

犬には帰巣本能があるので、自分で戻ってくると言われている。
しかし、いなくなったのが山や森だったら?
猛獣が近くにいたら?
病気だったら?
1%の確率でも戻ってきてくれることを祈り続けると思うが、普通のそれと比べると絶望感は計り知れないだろう。
ペットは家族であり、守らなければいけない存在=我が子同然なのだ。
本作の主人公フィールディングは、お世辞にも良い飼い主とは言えない。
ビアボングを舐めさせちゃうし、世話も仕事中の父親に丸投げ、エサやりも母親に任せているから、ゴンカーが前日の夕飯を翌日の昼になっても食べていないことに気づきもしない。
山へ入るのにリードすらつけない。
見事にパーフェクト・ダメンズなのは、実話ベースだからなのだろうか。
「 いつもは大丈夫だったのに、こんなことしないのに 」
事故で病院に駆け込む飼い主の大抵が言う台詞だ。
つまり、起こるべくして起こった事故なのだが、飼い主が優秀でどれだけ手を尽くしたとしても、ペットとの別れには後悔がつきもの。
「 もっと出来ることがあったはず。あのとき気を付けていれば 」と。
その日を想像して胸が苦しくなった。
フィールディングの両親が早々にゴンカー捜索本部を立ち上げたことで、ゴンカー探しの和は警察、新聞社、ボランティア、暴走族やヒッピーにまで拡がっていく。
アメリカの善意のムーブメントの爆発力は日本人も見習うべきところだ。
日本だと拡散のワンクリックすら無関心に押し流されてしまう。
かつてオジという犬を事故で亡くしている母親は、ゴンカーが帰ってきたことで初めてオジに別れを告げることが出来た。
「 さよならを言うのがこんなにも辛い相手がいるなんて、僕はなんて幸せなんだろう 」byくまのプーさん。
一生があっという間に過ぎ去ってしまうペットといると色濃くそれを実感する。
まとめ

これは持論だが、人生には経験しなくても良いこともある。
あまりに辛く心が壊れるような経験だ。
辛い経験から得たものがあっても、心が壊れてしまえば、その先の人生はお先真っ暗だ。
しかし、フィールディングと家族にとって、この経験は辛いけれど必要な時間だった。
ゴンカー探しの中で様々な土地や人に触れ、進むべき道を見つけ、家族とも理解し合えた。
この経験がなければ得られなかったものばかりだ。