「 帰らない日曜日 」考察レビュー
「 匂いたつ官能 」というほどの高尚さには欠けるが、俳優の豊かな表情をたたえた演技が際立つ人間ドラマ。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
帰らない日曜日
公開日
2022年5月27日
原題
Mothering Sunday
上映時間
104分
キャスト
- エバ・ユッソン(監督)
- オデッサ・ヤング
- ジョシュ・オコナー
- ショペ・ディリス
- グレンダ・ジャクソン
- オリビア・コールマン
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
好きだった点
名家の人間たちのエレガントな衣装や、高価ではないものの、ジェーンのバランスが取れた彩りや洗練された着こなしには好感が持てました。
嫌いだった点
やや「 官能 」という線を打ち出しすぎな気がします。
官能というのであればもう少し丁寧に奥深く、成熟した大人のやり取りを思い浮かべるものです。
今作は、むしろ若者たちの青くさく、未熟な性のやり取りといったほうが現実に近いと感じました。
彼女が一糸まとわず、婚約者のもとへ去ったポールを思いながら、お屋敷を歩き回る姿が、いわば今作の「 売り 」となっている。
そのシーンが、果たして本当に全裸である必要があったのかどうかは甚だ疑問です。
そのたった1日の出来事が、メイドであるジェーンを小説家にしたと描かれる。
愛しながらも結ばれることのない名家の息子ポールの死により、ポールが愛でた自分の感性に強く突き動かされたということであれば、全裸のシーンが長時間も必要だとは思えませんでした。
つまり、ヒロインが性的に売り物にされていると感じます。
しかも、少女のような主人公ゆえ、ロリータコンプレックスの趣もあり、違和感が否めません。
レビュー
名家の息子とメイドの「 秘密の恋 」が清らかな愛のように描かれる。
「 心の友だ 」と、心を開いたように見せながら、結局はジェーンを性的対象とする。
妊娠させないよう留意し、その秘密を保ちながら、自分と自分の婚約者に平然とワインを注がせるポール。
これが搾取でなくて何なのだろうと思います。
1920年代という大昔を起点としており、現代ですら、イギリスの階級社会の根強さや有色人種への差別意識が根強いのに、
ジェーンがメイドから小説家になり、哲学者の黒人の恋人と結婚する設定には、かなり無理があると感じました。
まとめ
「 孤児であり、生まれながらに全て失っているのは強み 」という名家の婦人の言葉のように、社会のリアルや痛みは全く描かれないファンタジーです。
アンティークが好きな方は、きっと楽しめる映像の美しさはありました。