ピクサーアニメ初の恋愛ドラマ。
主人公はごみ処理ロボット。
人間らしさを失った人類に未来はあるのか?
鋭い文明批判もあります。
ゴキブリだけが友人のおんぼろロボットが、最後には愛しくてたまらなくなるピクサーマジックの金字塔です。
ウォーリー
公開日
2008年12月5日
原題
WALL-E
上映時間
97分
キャスト
予告編
公式サイト
感想レビュー
西暦2105年、環境汚染が悪化し人類は宇宙へ脱出した。
残ったのゴミ処理ロボットは、廃棄物処理を続けて700年。
2805年、地球に残されたのは1体のロボウォーリーとゴキブリのハルのみです。
ウォーリーはお気に入りの映画「 ハロー・ドーリー 」を見るうちに、感情というバグが発生。
恋への憧れを募(つの)らせます。
オープニング場面が「 ウェストサイドストーリー 」のように、俯瞰した都会の町並みから始まりますが、明るい歌声とは裏腹に町は廃墟。
でも、ウォーリーの心の中だけは、ずみずしい人間的な感情を持っています。
そこへEVEというロボット宇宙から飛来。
ウォーリーはEVEに一目惚れしてしまいます。
待ち焦がれていた恋の相手に出会えました。
ウォーリーと出会った頃のEVEは、完全に事務的なロボットでして、常に何かあるとブラスターをぶっ放すアブナイ存在。
この頃のウォーリーは、EVEの性格をあまり気にしていない様子。
むしろ、ウォーリーの心の温かさがEVEに伝播した感じですかね。
次第にEVEが変化して、ウォーリーに対する感情が芽生える様子がシビれます。
植物を採取して帰ったEVEを探しにウォーリーは宇宙に飛び出します。
そして、人類が暮らしている宇宙船「 アクシオム 」へ侵入。
アクシオムに暮らす人類は、仕事も労働も勉強もありません。
動かないから、全員メタボ体型。
1日中ベッドで生活して、まるで巨大な赤ちゃんのように一生を過ごします。
アクシオムをコントロールしているコンピューター・オートが、人類を家畜化して、現実から目をそらすように仕組んでいました。
EVEが持ち帰った植物の苗は地球に人類が住める環境になったという証拠です。
人類が地球に戻ったら、アクシオムは用済みになるので、オートは全力でEVEと苗を排除しようとします。
オートの陰謀に気がついた艦長は、ウォーリーとEVEと共にオートに立ち向かっていきます。
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好きだった点
冒頭からの数十分は地球に取り残されたウォーリーの日常が丁寧に描かれています。
ほぼ台詞がないのにもかかわらず、ウォーリーの仕事ぶり・孤独・憧れが伝わります。
そこから、一気にストーリーに引き込まれていきます。
見どころ
家畜化された人間はタブレット端末から流れる情報にとらわれて、すれ違った人の顔さえ見ません。
これを見て笑える人がどれ程いるでしょうか?
スマホに依存している現代人を皮肉っていますね。
ウォーリーやEVEの方がよっぽど人間らしいです。
考察・疑問点
ウォーリーがより楽しくなる2つの映画「 2001年 宇宙の旅 」「 ハロー・ドーリー 」
人類を宇宙に留めておくため、700年間マインドコントロールしていたコンピュータ・オート。
ビジュアルや設定は、スタンリー・キューブリックの名作「 2001年 宇宙の旅 」のオマージュがたっぷりです。
感情を排した無機質な映像がディストピア的な雰囲気を醸し出しています。
映像内容と裏腹の音楽で対比を見せているのもキューブリック演出の影響が見られます。
映画「 2001年 」と対をなすのが「 ハロー・ドーリー 」です。
こちらは人生バンザイ、恋バンザイの人間讃歌。
ウォーリーは、画面が擦り切れるほど見ていました。
映画「 ハロー・ドーリー 」は、1969年にバーブラ・ストライサンドの主演映画でした。
主人公のドーリーはじめ、仕事一筋に生きてきた登場人物全員が、恋に目覚め1日のうちに恋が成就するハッピーエンドの物語です。
ウォーリーがリピートしていたマイケル・クロフォードの「 日曜日は晴れ着 」は、生きる喜びがあふれる楽曲ですが、廃墟に流れるとその対比で皮肉な色合いになりました。
でも、のちのEVEとの恋を暗示させます。
まとめ
ピクサーアニメ「 ウォーリー 」は、荒廃した未来を描きながらグルっと回って心が温かくなる愛の物語です。