古典名作「 ロミオとジュリエット 」の他視点世界。
世界観は14世紀を踏襲しつつも、感性は現代的なフェミニズムを魅せる。
今作の楽しみ方を知れば、古典の楽しみ方も見えてくる。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ロザライン
あらすじ
公開日
2022年10月14日
原題
Rosaline
上映時間
97分
キャスト
- カレン・メイン(監督)
- ケイトリン・デバー
- イザベラ・メルセド
- カイル・アレン他
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
今作の主人公の「 ロザライン 」はウィリアム・シェイクスピアによる、世界的に有名な恋愛戯曲「 ロミオとジュリエット 」をベースにしている。
映画作品なら1968年公開作品もあまりにも有名な名作。
「 ロザライン 」では上記作品同様に、14世紀イタリアの美術観が踏襲されている。
私見ですが、1996年公開のバズ・ラーマン監督、レオナルド・ディカプリオ主演の「 ロミロ+ジュリエット 」が大好きなんです。
さてここで、重要なのは本でもオペラでも映画でも「 ロミオとジュリエット 」を経験していないと、本当に楽しめず、薄く軽いハイスクール・コメディー古典劇に下落してしまうってこと!
↑ ココ!真剣に重要!↑
しかし…Disney+だと、バズ・ラーマン版の現代劇リブート版のみになってしまいます。
悪くはないけれど古典を知る方が理解度は高まります。
んん!!今更だけどロザラインって誰??
ロミオの元カノなんです!!
今作冒頭では既視感半端なく「 ロミオとジュリエット 」なロザラインとの恋愛展開しています。
14世紀のイタリアのヴェローナでは、モンタギュー家とキャピュレット家が歴代で権力対立をしていた。
モンタギュー家の跡継ぎロミオはキャピュレット一族のロザラインとの恋を楽しんでいた。
しかし、ロミオは同じキャピュレット家の娘ジュリエットに出会い、新しい恋が始まってしまう。
今作だと、ロミオは口説き文句がロザラインとジュリエットに対して同じというダメンズ扱いされていく。
また、演出手段も類似していて「 俺ってイケてる 」と、勘違いして思考がお花畑のボンボンに成り下がっている。
得てして人は成功体験の法則を繰り返すけれど、薄っぺらいと残念な結果を招いてしまう典型。
ロザラインと恋愛中の結婚話題でも、彼女に退かれてしまう言動の数々が悲哀を感じる。
14世紀の時代なら成り立った家長制度や男性上位社会なら成り立つ。
しかし、今作は現代的な女性として、ロザラインをブラッシュアップし物語を発展させている。
要するに、男の思考は旧いままという揶揄を交えてる。
近年のディズニー作品で多く散見される旧きステレオタイプの姫の在り方。
そこからの脱却しようとして多様なアプローチを展開しており、実写版「 ムーラン 」では、同様の古来女性の在り方に対して女性同士で対峙も描いている。
今作の本懐は海外のハイスクール・ラブ・コメディの如く、彼氏を盗られた元カノがヒロインに嫌がらせと略奪展開ぽいのだけど。
ロザラインのジュリエットに対する妨害行動の全てが本来の戯曲物語の展開に導き、蝶よ花よで育てられたジュリエットを女性としての自立観を教えてくことになる妙がある。
さてさて…結末は古典名作「 ロミオとジュリエット 」とは逸脱しているけれど…。
一見するとハッピーエンドなんだけれど…。
アンハッピーなフラグが立っていると思うのは僕だけではないはず。
まとめ
今作はコメディーなので、原典との比較から批判は不要だ。
それこそ、大きなお世話ってもんでしょ!?
そもそもがシェイクスピアの戯曲って大いに真面目に語ってる大茶番劇なのだから!