ピクサーからのクリスマスプレゼント。
劇場公開予定だったピクサー作品がディズニープラスで独占放送。
嬉しいよな、悲しいような。
主人公は大人の黒人男性、しかも題材はジャズ。
地味すぎるけど大丈夫?
と心配しましたが、見事に大人・子供にも響く作品でした。
歴代ピクサー作品で一番良かったかも!
ソウルフル・ワールド

公開日
2020年12月25日
原題
Soul
上映時間
101分
キャスト
- ピート・ドクター(監督)
- ジョー(声:ジェイミー・フォックス、浜野謙太)
- 22番(声:ティナ・フェイ、川栄李奈)
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

- 「 インサイド・ヘッド 」⇨ 脳内の世界
- 「 リメンバー・ミー 」⇨ 死後の世界
- 「 ソウルフル・ワールド 」⇨ 生まれる前の世界
今作はディズニー、ピクサーとして、初の黒人文化を描いたアニメでもあります。
ホントかよ!
と思ってしまうのは、80年代からの「 美女と野獣 」「 ライオンキング 」「 アラビアンナイト 」など、
ディズニーアニメの楽曲ベースのほとんどがブラックミュージックにあるからでしょう。
ジョー(主人公)は、ジャズピアニストに憧れながらも夢叶わず、中学の音楽教師をしています。
と言っても非常勤扱いで、ようやく常勤に認められた当日。
憧れのライブハウスで目標だったサックスプレイヤーのステージに招かれます。
夢がかなって有頂天になっていると、開いていたマンホールの穴に落下。
気がつくと死後の世界へ‥。
やっと掴んだ夢を手放したくない彼は、天国への道を逆走。
たどり着いた場所は、まだ生まれる前の世界「 ソウルフル・ワールド 」でした。
好きだった点
ジョーはソウルフル・ワールドで何百年経っても、人間として地上に降りたくない魂22番と知り合いに。
22番は人生で「 楽しい・辛い 」を経験したことがないのに、社会はツマラナイと決めつけるキャラクター。
ひょんなことから、ジョーの魂と共に地上に降りてきます。
手違いでジョーの体に22番の魂が宿り、ジョーの魂は猫の中へ。
22番があれほど嫌がっていた地上の世界はすべてが新鮮。
「 食べる、走る、見る、触る 」全てにキラメキを感じ、元に戻るのがイヤになって逃げ出します。
22番の心情変化が、ジョーの心にも影響を引き起こす。
夢を叶えることが人生の目的だと信じて疑わなかったジョーですが、いざ夢を叶えてみると、本当に大事なのは「 日常を大切に生きる 」ことだと気付く。
今まで惨めだと思っていた音楽教師の仕事にも、生徒たちとの触れ合いなど大切な宝物があった。
ありがちな映画では成功を掴んで終わるところ。
本当の幸せとは?
生きるとは?
を感じさせてくれる深い内容でした。
嫌いだった点
大人には響く作品でしたが、子供や幼年にとってはどうかなと心配です。
子供の頃には分からなくても、大人になって見て理解してくれたら嬉しいです。
見どころ
ソウルフル・ワールドの世界は、現実世界を皮肉っていて面白い。
マザーテレサやモハメド・アリなど、歴代の著名人が登場してクスッと笑えシーンも。
なんと言ってもジャズの演奏のシーンですね。
今までCGアニメで音楽を演奏するシーンは多くありました。
大体デフォルメされていた世界ですけれど、今作は本当にジャズの演奏。
全く違和感なく、本当にジョーのライブに来ている感じ。
考察レビュー
ソウルフル・ワールドで魂になっている姿は、とても可愛くて抽象的な世界。
現実のジョーの暮らしているリアルな世界とのギャプが絶妙です。
現実世界は写実的というより、質感、ぬくもり・重みが伝わってくる(今作のキモの部分)
ピザの切れ端や、木漏れ日や落ち葉など、22番が「 生きたい 」と思えるキラメキを感じる重要なパーツです。
まとめ

落ち込んだとき、自分の原点を見つめ直したいとき。
何度もリピートしてしまう宝物のような作品になる気がします。
脚本を書いたケンプ・パワーズが、自身のルーツ=黒人文化を正確に伝えようとする真摯な姿は、ディズニープラスの「 ピクサーの舞台裏 」シーズン1の第1話で視聴可能。