【 Netflix 】「 グッド・ナース 」ネタバレなし考察レビュー
某実録番組に出てきそうな犯罪ものをエディ・レッドメイン×ジェシカ・チャンステインの匠タッグが「 上質な映画 」にまで底上げしたシリアルキラー・サスペンス。
名演過ぎて寝られなくなるので、ホラー苦手な方は覚悟して観て。
画像の引用元:IMdb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
グッド・ナース
あらすじ
公開日
2022年10月21日
原題
The Good Nurse
上映時間
123分
キャスト
- トビアス・リンホルム(監督)
- ジェシカ・チャステイン
- エディ・レッドメイン
- ンナムディ・アサマア
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
元々、友人同士だったエディとジェシカが演じるキャラの境遇や性格は似ており、だからこそ、道が違えてしまった時の衝撃が如実に感じられる。
エディは彼の持つ“異質さ”が多くの人々を魅了しており、それが放っておけないキュートな魅力として映る時と、何を考えているのかわからない異分子として存在している時がある。
今作は言わずもがな後者で、「 HICK ルリ 13歳の旅 」で演じた犯罪者の数百倍怖かった。
エディは余りに見事な演技から憑依型だと思われがちだが、実は綿密なリサーチをする努力型だ。
それは今作でも発揮されており、冒頭からチャーリーの瞳の奥が空虚で何を考えているのかわからず、それだけで底なしの恐怖を感じさせられる。
些細な目線の先や揺れ、体勢にまで気を配り演じているのもよく分かる。
ジェシカもまたエディに負けず劣らず凄まじい。
登場シーンから看護しているエイミーの方が病人と言われても納得してしまうほどのやつれ具合だ。
ジェシカはこれまでも数多くの精神状態がギリギリの役を演じてきたが、ここまで追い込まれた演技は初めて観る。
それはエイミーが私たちの共感できる、ごく普通の一般女性だからかも知れない。
病を押し働き続けても保険に入れず、食べさせなければならない子どもを抱え、人知れず車の中で涙するシーンが昨今、他人事とは思えず、わかりみが深い。
息をするだけでお金がかかる。
これが世界と私たちの現実なのだ。
チャーリーのモデルとなったチャールズ・エドモンド・カレンはいまだ明白な殺人動機を明かしていない。
今作でも「 君を助けたかった 」「 誰も止めなかった 」と語るのみ。
「 誰も止めなかった 」については、チャーリーが渡り歩いてきた多くの病院が、彼の犯罪に気づきながらも保身のため隠ぺいしてきたせいでアメリカ史に残るシリアルキラーが生まれてしまったという警鐘の意図を感じた。
鍵になるのは尊厳死、母親の死な気がするが、真実はチャーリー本人が語らない限り、何もわからないままだ。
とはいえ、チャーリーが本性を見せた際のエディの演技は、ソン・ガンホ並の急速ギアチェンジをしており、「 I can’t! 」と叫ぶエディはチャーリー本人とは似ても似つかないのに、
チャーリーそのものにしか見えないほど、おぞましい気迫を放っている。
まとめ
理由が明かされない、理解出来ないものはそれだけで怖さが倍増する。
ソン・ガンホの「殺人の追憶」と同ジャンルの、良質だけど怖すぎて二度と観たくない類の作品だ。