2024年12月3日に行われた、映画「 大きな家 」先行公開記念舞台挨拶では、
竹林亮監督と企画・プロデュースの齊藤工さんが登壇し、司会の伊藤さとりさんナビゲートのもと、
制作秘話について詳細に語ってくれました。
※一語一句まで正しく聞き取れていませんことをご了承ください。
SOSは希望の光
――伊藤さん:既にもう反響や感想が届いていると思います。お二人が、何か印象に残っている感想や、こんな風に届いているんだと感じていることを教えてください。
竹林監督:
色んな嬉しい感想をいただき、試聴者の皆さんに応援してもらっているのを感じます。
齊藤工さん:
児童養護施設のドキュメンタリーというのを見ると、非常に教科書的なものを想像してしまうんですけど、
この作品は全くそんなことがなく、彼らが呼吸するように自然でした。
遠くて近くて遠かったものが近くなるような感覚を覚えました。
この作品は子どもたちに捧げるもの
――伊藤さん: お二人がずっと温めてきた作品、そして撮影期間もあって、やっと公開が近付いてきました。もうすぐということになるんですけど、改めてどんなお気持ちですか?
竹林監督:
非常に個人的な、すごく大事な映画になっていて、これをたくさんの人に見ていただくことに緊張しています。
12月は寝られない(笑)すごく楽しみです。
齊藤工さん:
監督が仰る気持ちは僕も共有しているんですけど、はじまりとしては、
この映画は広く多くの人に届けるという以前に、登場人物、そしてその養護施設の方たち、
全国の養護施設を支える方たち、子どもたちに捧げるものだというはじまりでもありました。
子どもたちと、その日だけではなく、点を線にしていくということが、自分の一つの役割なのかなと。
彼らにそういう眼差しを感じたので、たった一度しか来ない大人の一人って思われたくなかったんです。
竹林監督:
まず児童養護施設という社会的養護のことは、僕はお恥ずかしながら何も知らなかったので、
そこから一緒に入ってみてほしいと言われまして、一緒に訪ねたんですね。
そこにいらっしゃる職員の方々が、本当に心から子どもたちと向き合いながら働いている方々で
そういう魅力的な方々を見て、ここはもう一度ぜひ撮らせていただきたいなという風に思ったんです。
伊藤さん:
児童養護施設って考えてしまうと、児童養護施設の現状だったり、
状況っていうものを見るのかなって勝手に思ってたんですよ。
そうじゃなくて、子どもたちの今、子どもたちの心をずっとカメラが寄り添っている感覚を覚えたんですね。
子どもたちとの距離感、関わり方
竹林監督:
子どもたちからしたら、大人たちが一方的に機材とか持って話してみたいなことを言って。
めちゃくちゃ話しづらいだろうなというのはもちろんあったので、子どもたちとお話しするときは、
できるだけ録音部のカメラマンとか、皆できるだけ自分たちのことをお話ししながら距離を縮めていきましたね。
できるだけ我々の話をしながら、皆の話を聞くというやり方が、もしかして彼らにとって話しやすかったかもしれません。
齊藤工さん:
僕は、結局子どもたちの撮影には立ち会いませんでした。
僕がこの作品の顔になってはいけないと思っていますし、
見た方がそれぞれこの作品の顔、そうなっていってもらえる作品だとも思っているんですね。
※今回、フォトセッションがなかったのは、斎藤さんがあくまでも制作側という考えのもとです。
「 家族 」という言葉の裏に隠された気持ち
――伊藤さん:まもなく上映ですが、お二人はこの作品を作ったことでどんなことを視聴者の皆さんに感じ取ってほしいと思っていますか。
竹林監督:
「 家族 」という便利な言葉の裏にある、言葉では言えないような繋がりというものが世の中にたくさんあると思うんですね。
皆さんはきっと分かる感覚だなと思うんです。
一緒に感じることを通して、人に対して何が大事なんだろうということを、改めて考えるきっかけになれたらいいなと。
本人たちにも振り返りとして、いつか見返してほしいという気持ちもあるので。
齊藤工さん:
そうです、この作品が誕生しなければ、関わらなければ、
見て見ぬ振りをしていた日常がそこにあったと今でも思っております。
近いのに近付こうとしなかった、奥に置いていた子どもたちの時間がそこにあって、そこにまず出会っていただくという。
竹林監督:
映画的な何かを求める方に、お金として見合う作品かは分からないんですが、僕は見終わったあとに、
自分の日常の景色に彼らの子どもたちの日常が重なるという世界観が繋がるというような本当の作品でした。
配信などのない映画になるので、ぜひ関係者の皆さんも一つチームの一員となっていただいて、
この映画を一緒に守りながら、一緒に育てていただけたらなと思っております。
齊藤工さん:
今日ご覧いただいた監督のお人柄がそのまま作品になっていると思います。
(この映画は)心が動くような何かであると僕は確信していますので。
困ったときに相談することも自立だという言葉があったんですけど、それは本当にハッとする言葉でした。
*今回は18時入場に対して、13時からいらしていた都内の女性お二人もいらしていました。
普段、私が行く試写会とは趣の違う華やかなものでしたが、監督はとてもお茶目な感じで、
齊藤さんはとても落ち着いている方だという印象でした。
文・写真:栗秋美穂
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