「 ザ・コール 」のイ・チュンヒョン監督最新作。
バイオレンス・ノワール・アクション…と、韓国映画らしくジャンルてんこ盛りだけど、引き算を突き詰めたシンプルで完成度の高い本格復讐劇。
バレリーナ
あらすじ
元警護員のオクジュは、親友を救えなかったことに苦しむ。彼女の遺した最後の願いを叶えるべく、壮大復讐計画が始まる。
原題
Ballerina
公開日
2023年10月6日
上映時間
116分
予告編
キャスト
- イ・チュンヒョン(監督)
- チョン・ジョンソ
- キム・ジフン
- パク・ユリム
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
第28回釜山国際映画祭プレミア上映作。
「 ザ・コール 」(以下、前作)での韓国ホラーと伏線が見事だったイ・チュンヒョン監督の2作目なので、否が応にも期待が高まる!
でもホラー苦手なので恐々、鑑賞。
主演は前作のサイコガールことチョン・ジョンソ。
前作のイメージが強過ぎるし、彼女の演技は凄みと迫力が半端ないので、ヴィジュアル的にやはり少し怖い(日本の貞子レベル)。
ジョンソ演じる元警護員のオクジュが傭兵Lvにバキバキに強い。
親友が「(ヤクザに)復讐出来るよね 」と、当然の如く置き手紙を残すほどなのだから、相当なのだろう。
今回はサイコではなく、生きる意味を失っていたオクジュに再び「 生きるのが楽しい 」と思わせてくれた亡き親友の為に戦うのだが、アクションシーンがとにかくスタイリッシュでカッコイイ。
前半のホテルバトルは、ビビッドカラーから暗闇に移行するタイミングで音楽が切り替わり、突然、ガンマンやチェンソーマンが突入してきたり、狭い空間で展開される素早いアクションといい、まるでゲームの世界のようだ。
クライマックスのガンアクションも最高。
何度もリピした。
同系統の「 魔女 」「 コインロッカーの女 」を超えてきた。
ジョンソのスレンダーな身体からは想像も出来ないくらい骨太でパワフルだし、常に顔が血みどろのヒロインは、見た目重視の韓国作品では珍しいのでは?
しかも、今作は前作のような伏線はなくシンプル一択なのかなと思わせておいて「 ここは両手に銃でしょう 」というシーンでなぜか片手のみ。
あと1丁あったのどうした?と不思議に思っていたら後からちゃんと回収。成程よくできている。
クールでミステリアスが売りのチョイが、最期に弱気になっちゃうのは幻滅。
無駄にイケメン&筋肉美溢れる悪役でうっかり惚れそうになっていたので「 オンマ~ 」とか叫び出しそうな空気感は出さないで欲しかった。
「 ドライブ・マイ・カー 」にも出ていた親友役のパク・ユリムは、彼女が出ているだけで画面がパッと華やぐし、チョン・ジョンソと陰と陽になっていて素敵。
本作はバレエがテーマで、恐らくイ監督はひとつの戯曲のような復讐劇にしたかった筈だが、主人公がゴリゴリの肉体派過ぎた結果、バレエの世界観とはかけ離れてしまったと感じた。
この手の作品は“客入り”という点において日本の劇場公開向きではないので、簡単に観やすいサブスク公開で正解。
「 ちょっと観てみようかな 」くらいの気持ちで観て、当たり作に出会えると嬉しくなる。