ディズニープラスで独占公開中の新ダーク・ヒーロー誕生物語。
これは今年見た新作の中でも飛び抜けた問題作だった!
新たな傑作となるか?
このままお蔵入りするのか?
アルテミスと妖精の身代金
公開日
2020年6月12日
原題
Artemis Fowl
上映時間
95分
キャスト
- ケネス・ブラナー(監督)
- フェルディア・ショウ
- ジョシュ・ギャッド
- ララ・マクドネル
- ジュディ・デンチ
- コリン・ファレル
- ノンソー・アノジー
予告編
公式サイト
感想レビュー
新たなディズニーの柱となるようなダークヒーローものが誕生か!
という期待を胸に鑑賞。
しかしながら、その期待はうやむやになることに。
スター・ウォーズ、ハリーポッター、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー級のポテンシャルを秘めているにもかかわらず、
未完の大器として、世に放り出されてしまっているのが非常に勿体ない。
お預け状態のような食い足らなさが残る。
先行して上映されたアメリカや、映画評価サイトでも低評価。
でも駄作かというと、そんなことはないのが問題点。
どこに問題があったのか?
好きだった点
原作ファン(アルテミス・ファウルシリーズ)の間では、10代の主人公が活躍するファンタジーなので悪のハリー・ポッターとも言われている。
そんな新境地に挑戦したディズニーらしくない主人公のダークヒーローさ。
その背景にあるがキングスマンのように、家柄が伝説的な犯罪一家の血統という設定。
また、ベイビードライバーのような天才だけれど、斜に構えているキャラクター造形もいい。
嫌いだった点
壮大な世界観なのに上映時間の短さから来るシーンの盛り上がりがイマイチ。
疾走感より駆け足に感じるクオリティーの低下。
シリーズ化を意識したような終わり方、オパール・コボイをもっと見たい。
見どころ
先に挙げた3作品が好きなら、雑多な種族と共生する世界観。
地球の地下深くにある妖精の国に、エルフ、ノーム、ゴブリン、ドワーフ、ケンタウロス、トロールなど多種族ワールドのごった煮感は心躍る。
考察・疑問点
ベストセラーシリーズ
原作は世界的ベストセラーのシリーズ。
その1巻である妖精の身代金の映画化。
全8巻で日本で翻訳されているのは5巻まで。
とっつきにくい天才キャラの主人公、とにかく可愛いい妖精ヒロインの2人は新人ながら文句なし。
そうそうたる顔ぶれのクレジットなので、少なくとも現場スタッフや、キャスト陣の力不足とは思えない(アイルランドを舞台にした画と音もいい)
そもそも企画段階に問題があるのでは。
上映時間の短さ
決定的なのが、95分という上映時間の短さ。
本来であれば2時間半、少なくとも2時間はないと難しい内容なのに、尺が短いためにあらゆる要素が寸足らず。
例えば、
- アルテミスが地下資料を漁る場面はキングスマン風にするなど
- トロールの逃亡の行動原因が不明
- ホリー・ショートが捕まるシーンの不自然さ(後で説明はあるけど最初は違和感があったし、捕まえ方もアナログ過ぎる)
- ボディーガードが強いという設定なのにその描写がない(なぜ名前ではいけないのかも不明)
- ジュリエット・バトラーの登場する必要性のなさ
- コリン・ファレルが何もしていないように感じる
- オリジナルのガジェットや乗り物をもっと見たい
特に、今作での盛上りポイントであるアキュロスを探すシーンがあっさり過ぎるのと、
キャラクターの掘り下げ不足により、サスペンスが足りずに単調な仕上がりになってしまっている。
倒したのか自滅なのかすら分からないカタルシスを感じないラストバトル。
ちなみに、先にあげた3作品の上映時間。
- スター・ウォーズ エピソード4 / 新たなる希望(121分)
- ハリー・ポッターと賢者の石(152分)
- ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(122分)
そもそも製作側の事情でこのような形にし、脚本もそれに合わせたように感じる。
劇場公開を遅らせたり、ディズニープラスでの配信になった経緯が関係しているのか真相は分からない。
原作未読なので詳細は不明だが、シリーズものなので続編があるように終わっているのもしょうがない。
けれど、素材が揃っているだけに作品としてはもっと面白く出来たはず。
まとめ
今作だけでは低評価なのは仕方がないが、嫌いにはなれない。
酷評が多く、シリーズ化は難しいのかもしれないけど個人的には続きを見たい。
新たな傑作シリーズとなる可能性は十分にあるし、まだまだこれから挽回可能!
このまま終わらせるにはあまりにも酷。
シリーズ化されないと、このモヤモヤをどうしてくれるんだ!
原作は全て翻訳されていないので読む気になれない。