自分を変えたいマジメ女子のひと夏の恋物語かと思いきや、実は家族のトラウマ克服ストーリー。
キラキラした青春だけじゃないところが物語に深みを与えています。
君と一緒に過ごした夏

あらすじ
大学進学を控えた夏、真面目なオーデンは不思議な青年との出会いを果たす。彼との特別な夏の日々で、オーデンはこれまで経験したことのない多くの”初めて”を体験する。
原題
Along for the Ride
公開日
2022年5月6日
上映時間
107分
予告編
キャスト
- ソフィア・アルバレス(監督)
- エマ・パサロウ
- ベルモント・カメリ
- ケイト・ボスワース
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー

序盤は、アメリカで年頃女子が不眠症だからといって、真夜中に謎めいた男の子と毎晩過ごす犯罪の臭いしかしないけど大丈夫?
自分探しの男の子は、NYか発展途上国に行きがちだけど(もしくは日本一周)、女の子は連れてこられた避暑地とか家に帰れるテリトリー内で行動範囲がめっちゃ狭いのはなぜだろう?
やっぱり治安問題?とか雑念たっぷりに見始めましたが、物語の主軸が定まった辺りからコルビーという素朴な町の良さも相まって世界観に引き込まれる。
コルビーは原作者サラ・デッセンがよく使う架空の海沿いの町で、コニーアイランドのような古ぼけたパステルカラーが実にエモい。
オーデンはひと夏の間、継母の店でバイトすることになるのだが、この継母がハーレイ・クインのように、絶妙に絡みにくいテンションの女性(笑)
そのクインやバイト中にダンス休憩なるものを行う3人組女子とも上手くやろうとしている時点で、オーデン良い子!と応援一直線に。
物語が進むにつれ、継母がハーレイ・クインに見えた理由が発覚。
オーデンは幼少期のトラウマから周囲へ壁を作っており、母親は過干渉、父親と継母もかつてのオーデン一家と同じ道を辿ろうと負の連鎖から抜け出せなくなっているのが分かってくる。
オーデンの抱える問題は、自分が変わるだけではどうにもならず、自分が離れるか周囲ごと変わらないと良くならない。
オーデンは大人が完璧じゃないことに気付いていて、それでも継母の為にある行動をとる。
このエピソードから、子どもは親に依存されたらキツイけれど、正しく頼られたら一緒に悩み応えることで壁をひとつ破り、成長するものだと学ばされた。
自分が周囲を救い、周囲が彼女を変える理想的な関係性だ。
現実はここまで完璧じゃないし、ご都合主義といってしまえばそれまでだけれど、こういう映画にありがちな長々と自分語りするシーンがないから嫌味がないし、誰もがぶつかる青春の成長痛ストーリーは爽やかな余韻が心地良い。
良い影響というのは波及していく。
自分もその流れを受け取ったり、作ったりできるよう、アンテナを外側に向けておかなければと前向きな気持ちになれる作品だ。
キラキラしたサマービーチと音楽も物語をかなり助けているので映像化は大正解といえるだろう。