2018年にタイで起きた少年サッカーチーム13人が水没したタムルアン洞窟内に閉じ込められてしまった遭難事故の驚愕の救出劇!
山の神が起こしたと言われた自然災害に挑むプロフェッショナルたちの姿が胸アツな骨太実話です。
13人の命
あらすじ
物語の舞台は、2018年6月 – タイ北部のタムルアン洞窟。豪雨によって洞窟に地元サッカーチームの少年とコーチ計13人が閉じ込められた。 彼らを救出するべく、世界最高峰の技術と経験を持つダイバーチームが立ち上がる。
原題
Thirteen Lives
公開日
2022年8月5日
上映時間
149分
予告編
キャスト
- ロン・ハワード(監督)
- ヴィゴ・モーテンセン
- コリン・ファレル
- ジョエル・エドガートン
- トム・ベイトマン
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
18日間!半月以上、食べ物のない真っ暗な洞窟に閉じ込められた子どもたちが生還って…想像できる?
2020年の「 THE CAVE~ 」2022年の「 THE RESCUE~ 」に続いて3度目の映画化。
それだけ世界からの注目度が高く、感動を与えた救出劇だということだ。
この救出劇には17か国5000人以上の人々が携わっており、日本からも農水省職員とJICA(国際協力機構)が参加し、後にタイから表彰されている。
まさに世界中の叡智と勇気が結集した結果である。
ダイバーたちが選択した「 麻酔で眠らせて運ぶ 」方法はタイの法律的にはアウト。
大統領の許可が下りても、外部には極力隠そうということになる。
親は救助された子どもが見えるのに近寄ることすら許されない。
近づいたら麻酔のことが露呈するから、病院で安否確認するまでは合わせられないというトップの判断なのだろう。
これには命を前に法を守ることの難しさを痛感した。
助かれば美談として語られ、失敗すれば親を死に目に会わせなかった犯罪扱いされるということだ。
本作のように様々な人々の後の人生が懸かった命の判断ほど難しいものはない。
どこをボーダーラインにするか、それが命の裁量なのかも知れない。
ところで洞窟に閉じ込められた13人は最初に食べ物が届いた11日目までの間、どうやって生き延びたのだろう?
本作では触れられないので最後まで気になった。
この場面において「 危険にさらしてごめんなさい 」と謝るコーチに子どもたちが「 違うよ、助けてくれた。コーチが大好き。コーチがいるから強くいられる。瞑想も祈りも教えてくれた 」と口々に訴える。
極限状態なのに、子どもとはなんと優しい人間なのだろうと涙がブワッと溢れてしまった。
「 祈り 」というのは、これほどまでに人の心を救うのだろうか?
その立場になってみないとわからないことだが、ただ、「 祈り 」は人を救うこともあれば、殺すこともある強烈なモノだということは事実だ。
水難救助のプロたちの仕事ぶりに感服。救助後のクリスの台詞に涙腺決壊。
大作を撮ることの多いロン・ハワード監督だが、遭難事故に関わる様々な立場の人々の想いを浅過ぎず深すぎず、印象的な台詞でバシッと決めていて、全体のバランスが秀逸な作品だ。