文・ライター:ayahhi
とにかく興奮・感動、そして、勇気づけられる熱狂の音楽フェスティバル。
人種や指向などの分断が進む今だからこそ、多くの人に鑑賞してほしい1本。
ほとばしるエネルギーに涙する、50年前の衝撃音楽ドキュメンタリーです。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
サマー・オブ・ソウル

公開日
2021年8月27日
原題
Summer of Soul (…Or, When the Revolution Could Not Be Televised)
上映時間
118分
キャスト
- アミール・“クエストラブ”・トンプソン(監督)
- スティービー・ワンダー
- B・B・キング
予告編
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽(BGM)
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

50年以上を経て現代に蘇る。
奇跡のような熱狂の音楽映像に身震いがします。
熱狂のステージを繰り広げるミュージシャンが素晴らしいのは言うまでもありませんが、
やはり音楽フェスの醍醐味である「 お客さんが作り出す空気 」も必見です。
そこに演者や客や人種という区別や階級などはありません。
その場にいる1人ひとりが熱狂や興奮を作り出しています。
コロナ禍や人種差別など、世界が様々な方向性で分断を深めているこのタイミングでこの映像が蘇ったことに不思議な偶然を感じ、感慨深く思います。
監督である優れたミュージシャン、ザ・ルーツのドラマー、クエストラブの感性がとびきり洗練されているのも大きな魅力です。
音楽も映像も語りもすべてが気持ちよく流れるようで映画の中に入り込んで踊るような感覚になります。
そんな音楽ファンが喜ぶ演出に加え、サブタイトルである「 あるいは、革命がテレビ放映されなかった時 」というのも気が利いています。
反体制の有名ミュージシャンの曲名に由来していますが、それが、この映画で描いた「 50年以上もなかったことにされていた 」
「 革命ともいえる音楽体験 」そのものを表すと感じました。
「 明確なメッセージは出さない 」というのは意外でした。
各々が気付き、察して、考えることを促しているのかもしれません。
恐らく、監督としてはこの映像が良好な状態にありながら、50年以上も無視され続けてきたことに対する違和感や疑惑、
何よりも黒人に対する差別感情や、黒人のエネルギーやパワーを認めなかったという国や歴史に対し、明確な意思があるはずなのですが、
分かりやすい抗議として盛り込んではいませんでした。
まとめ

単なるエンターテイメントで終わる作品ではありません。
ここまで素晴らしいものが葬られていたということの意味を
見る人すべてに投げかける、意義深い作品でした。