太田光海監督の知人と知り合うという縁があり、今作に出逢えました。
アマゾンの熱帯雨林で1年間の滞在と調査をしながら撮影したそうです。
今作は私たちを、どんな世界へいざなってくれるのでしょうか。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
カナルタ 螺旋状の夢
公開日
2021年10月2日
原題
Kanarta
上映時間
121分
キャスト
- 太田光海(監督)
- セバスティアン・ツァマライン
- パストーラ・タンチーマ
予告編
公式サイト
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
太田光海監督は、アマゾンの秘境で1年間の滞在と調査をしながら撮影したそうですが(「 世界の秘境 」シリーズを読んでいると、それ自体物凄いことだと分かります)、
かつては首狩り族と恐れられた、先住民たちとの距離感が絶妙でした。
説明せずに、細部を通して俯瞰する感じ。
まるで1つの夢を見ているような。
秘境といえば、「 ブータン 山の教室(2021)」のルナナ村の高地を思い出しますが、今回はアマゾンの熱帯雨林。
どちらも現代文明からかけ離れた場所です。
太田監督が彼らと寝食を共にし、映画の意図をきちんと話し伝え、親密な関係を築けたからこそ、首長のセバスティアンの饒舌で可笑しみのある語りや、
不自然さのない(ドキュメンタリーにありがちなヤラセがない)物語が、引き出されたのでしょう。
もし、監督自身の苦労体験や、アマゾン冒険譚のようなテイストで作られていたら、今作のような味わい深く、斬新な作品は生まれなかったかも知れません。
図らずとも起こった出来事が、作品にクライマックスと説得力をもたらしていました。
音楽がないのも良かったです。
森が日夜、音に溢れていて、それを楽しめたから。
シュアール族の伝統的な儀式として、アヤワスカという、幻覚をもたらす薬草を飲んだ監督が、どんな「 ヴィジョン(夢) 」を見たのか、気になりました。
いつか太田さんと巡り合える機会があれば、聞いてみたいですね。
その答えを、敢えてナレーションなどで説明しなかったのも良かったです。
谷崎潤一郎の文学などに表れる、フェティシズムの妙が、チラリと垣間みえるというか。
無国籍かつ地球規模の作品でありながら、失われつつある日本的な美学が、反映されているようにも思えました。
まとめ
今作は、邦画や洋画、ドキュメンタリーというジャンルを軽々と跳躍し、地球と人間は繋がっていることを教えてくれました。
シュアール語も、ひとつ学べました。
カナルタ。
よく眠ろう、そして夢を見よう、自分が何者かを知るために。