スペイン・マドリードにある「 プラド美術館 」
本作は、2019年に開館200周年を迎え、それを記念して制作されたドキュメンタリー作品です。
美術や絵画に疎くても、名前は聞いたことがある「 プラド美術館 」
その魅力を徹底的に掘り下げています。
私も美術に関しては詳しくないのですが、そんな初心者の人にも楽しめる要素が多くありました。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
プラド美術館 驚異のコレクション
公開日
2020年7月24日
上映時間
92分
キャスト
- バレリア・パリシ(監督)
- ジェレミー・アイアンズ(ナレーション)
予告編
感想レビュー
好きだった点
名俳優、ジェレミー・アイアンズによるナレーションがいい。
本作は、イギリスの名優ジェレミー・アイアンズがナレーションを担当しています。
ナレーションというより、ホスト役と表現したほうが適切かもしれません。
ただ淡々とプラド美術館のことを説明するのではなく、豪華なプラド美術館の中で時にアツく、時に身振り手振り加えて説明する姿が、ファンにはたまりません。
ちなみにジェレミー・アイアンズはイギリス出身なので、スペインのプラド美術館には縁(ゆかり)ないように思えます。
しかし、実は長い間放棄されていたお城を修復して住むという、芸術肌な一面もあるのです。
知識よりも絵画が好きという情熱が伝わる!
本作には、さまざまな文化人によるインタビューが収録されています。
インタビューの内容も面白く、単に絵画や美術の知識をひけらかすのではなく、「 私はこの絵画のこんなところが好き!」という絵画愛を存分に語る内容となっていました。
美術に限ったことではなく、映画でも漫画でも、やはりそのジャンル愛を語る人はイキイキとしています。
美術のことに詳しくなくても、インタビューを聞いているとなんだか元気がもらえます!(笑)
私は彼らのインタビューを聞いているだけで、絵画についてもっと知りたいと思うようになっていました。
またプラド美術館に限らず、スペインそのものの魅力も語られているので、美術館に限らず色々な観光地に訪れたくなるかもしれません。
嫌いだった点
絵画や美術館をテーマにした作品なので、ゆったりとその魅力を伝える作品かと思いきや、かなりハイスペースで物語は進んでいきます。
美術に詳しい人は楽しいかもしれませんが、「 ちょっと興味がある 」くらいの初心者だと、全部の話に追いつくのはしんどいかもしれません。
ただ雰囲気のよさは伝わってくるので、美術に対して初心者の人は力まずに見た方が楽しめると思います。
見どころ
本作は開館200周年を記念した作品なので、通常カメラが入れない場所も撮影しているとのこと。
つまり、日本のテレビ番組などで取り上げているよりも、より詳しいプラド美術館を知ることができるのです。
また、海外のドキュメンタリー映画としては、異例の日本語吹き替えも公開されています。
ジェレミー・アイアンズの吹き替えは、今井翼さんが担当。
かなり情報量が多いので、字幕を追うのが大変という人にとってはありがたいです。
インタビューも美術館の関係者だけでなく、ダンサー、建築家など多岐に渡る職業の人に聞いているので、小難しく考えずに美術の魅力に浸ることができます。
いろんな「 絵画愛 」を聞けるという意味では、かなりの良作だと思いました。
考察・疑問点
作品に直接関係することではありませんが、公開の1ヶ月前にスペインのコレクターが持っていた絵画が、修復に失敗したとのニュースが流れてきました。
これに限らず、スペインでは2012年のキリストの壁画や、2018年には教会にある木彫りの聖ジョージ像が素人の手によって修復され、失敗に終わっています。
美術にゆかりあるスペインで、なぜこのような事態が起きるのでしょうか?
どうやらスペインには専門家以外が絵画などを修復することを禁止する法律はなく、素人が修復しても問題ない状態となっています。
本作はあくまで開館200周年を記念した作品なので、こうした問題は一切描かれていません。
機会があれば、スペインの美術界における問題点なども捉えたドキュメンタリーがあったらなと思いました。
まとめ
最初は美術に関心のない私でも、本作を楽しめるか不安がありました。
しかし、美術に詳しくなるというよりは、美術愛に触れることのできる親しみやすいドキュメンタリーだと思います。
情報量は多いのですが、ちょっと速いと思うくらいにテンポよく進んでいくので、退屈することなく見られました。
美術だけでなく、スペインという国に興味のある人にもおすすめですよ。