1999年ロンドンで起こった、黒人、ベンガル、ゲイコミュニティーを狙った釘爆弾事件。
当時の関係者、被害者のインタビューを織り交ぜながら、事件の真相に迫るドキュメンタリーです。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ロンドン釘爆弾事件

公開日
2021年5月26日
原題
Nail Bomber Manhunt
上映時間
72分
キャスト
ダニエル・バーノン(監督)
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
感想レビュー

1999年ロンドンで立て続けに起こった衝撃的な事件の全容と、犯人及び当時その場にいた目撃者や被害者、警察側の証言をまとめたのが今作です。
黒人・ベンガル・ゲイといった3箇所のコミュニティーをターゲットにし、妊婦と胎児含む死傷者3名、負傷者150名余りを出した最悪の事件を起こした犯人の目的とは何だったのか?
様々な証言から明らかにしていきます。
好きだった点
裁判で犯人は姑息にも精神疾患を装おうとしたらしいのですが、犯人と手紙のやり取りをしていた女性は、彼の心を開かせるのに成功。
犯人が「 医者たちも全て丸め込んでやった 」と手紙に記したのが最後、終身刑を言い渡されました。
しかも、彼の文通相手が実はおっさんだったという事実を、当のおっさん本人がしてやったり顔で話すシーンはあっぱれでした。
見どころ
この事件の犯人を追っていた警察関係者、新聞社、民間の情報収集機関「 サーチライト 」
犯人を追うためファシズム団体に潜入していたスパイの証言は鬼気迫るものがあります。
事件から数十年も経過した今でもあの事件を食い止められず犠牲者を出してしまったという憤りを感じながら生きている、という後悔の念がヒシヒシと伝わってきます。
当時の映像とこれらのインタビューは必見です。
当時の警察側のやり方は市民から反発を受けていたという事実を知り妙に納得してしまいました。
黒人コミュニティーへの犯行が起こった際、犯人は黒人を毛嫌いする白人至上主義団体に属しているのではといった話があったにもかかわらず、十分な捜査がされなかったというのです。
白人警察の黒人への差別は今でも残念ながら残っています。
結局はこの犯人も同じでした。
自分とは異なった人種を狙う。
「 理解できないから。許せないから 」という理由だけで同性愛者を差別し傷つける。
自分とは異なる者に対しての嫌悪感と恐怖感は、ときに人をここまで狂わせるものなのだと恐ろしくなります。
まとめ

裁判で犯人に終身刑が言い渡されたとしても、大切な人を失い傷つけられた人の心と体の傷は一生消えません。
ラストで足を失った被害者が「(裁判で犯人に刑が言い渡されて)乾杯したけど嬉しさは微塵もなかった 」と言うように。
私たちはいつの時代でも、このような悲劇を生み出す差別と戦い続けなければいけないのだと思います。