「 朽ちないサクラ 」感想・考察レビュー、” サクラ “が意味するものとは

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骨太な警察サスペンスを、繊細さと大胆な構図と関係性で、桜吹雪のごとく叩きつけてくるこの作品。

所轄管内の糾弾は個々人の食い違いから始まり、その渦は小から大へと人も時も巻き込み、開花し散らしていく儚い思いの重責を知る。

サクラを桜とだけ捉えるか?

景色として捉えるか?

日本人にとっての桜の在り様を感じてみよう。

目次

朽ちないサクラ

©朽ちないサクラ

あらすじ

愛知県平井市在住の女子大生が、度重なるストーカー被害の末に、神社の長男に殺された。のちに、平井中央署生活安全課が女子大生からの被害届の受理を先延ばしにし、その間に慰安旅行に行っていたことが地元の米崎新聞に独占スクープされる。県警広報広聴課の森口泉は、親友の新聞記者・津村千佳が約束を破って記事にしたのではないかと疑い、千佳は身の潔白を証明するために調査を開始し、1週間後に変死体で発見される。自分が疑ったから、千佳は何者かに殺されたに違いない──。自責と後悔の念に突き動かされた泉は、親友の弔い合戦に身を投じる。そして彼女は、ストーカー殺人と警察の不祥事に、かつて大事件を起こしたカルト宗教団体が絡んでいることを知り……。

公式サイトより引用

公開日

2024年6月21日

上映時間

119分

予告編

キャスト

  • 原廣利(監督)
  • 杉咲花
  • 萩原利久
  • 森田想
  • 坂東巳之助
  • 駿河太郎
  • 遠藤雄弥
  • 和田聰宏
  • 藤田朋子
  • 豊原功補
  • 安田顕

公式サイト

朽ちないサクラ

作品評価

  • 映像 
  • 脚本 
  • キャスト 
  • 音楽(BGM) 
  • リピート度 
  • グロ度 
  • 総合評価 

感想・考察

©朽ちないサクラ

桜を背景に人や社会の闇を描くと、静謐な雰囲気に包まれるから不思議だ。

そういった意味で、横浜流星主演の映画「 ヴィレッジ 」にも通じる深淵を感じる。

ストーカー処理、リーク、新興宗教テロ、そしてサクラ…。

警察の紋章である旭日章は、昔からヤクザに” 桜の代紋 “と揶揄されてきた。

本来は、昇る朝日と陽光を象った五芒星(五角形)なのだが、それが桜の形状と似ているためだ。

旭日章は昭和23年(1948)に正章として採用された。

警察官の服制に関する規則(昭和三十一年国家公安委員会規則第四号)などの法令には、日章と規定される。

意味は、「 東天に昇る、かげりのない、朝日の清らかな光 」

サクラはこの光と陰を映し出す。

「 桜の木の下には屍体が埋まっているから美しい 」

上野、千鳥ヶ淵、神田川、青山墓地、目黒川…。

お江戸の桜の名所の美しさは関東大震災と東京大空襲ゆえの美しさと語られる。

桜は美しく人心に歓喜を与え。

桜は美しく散り際を人々に魅せ。

地に落ち、溜まり、隠す。

それは、人の思い。

後悔、疑念、信念、絶望、希望、正義、正当…誰しもが嘆感する経験を担っている。

貴方の正当は?

貴方の正義は?

それは貴方の真意ですか?

人としての信念ですか?

組織人としての信念ですか?

それとも我欲ですか?

人は取り戻せない失敗。人は捨て難い功績評価する者と評価される者。

自らを呑み込んでいく渦は、前に前にと進む程に大きく激しく抗えない支配を纏わせてくる。

凜と咲き、儚く散る宿命を覚悟として人は克己し得るのか?

その答えは潤み真っ直ぐに見つめ返す瞳の奥に烈火する蕾を魅せてくれる。

その蕾は大樹となるか。踏み千切られ刈られるのか。

桜をより刹那く輝かす月下に思いを馳せて。

僕らは真実を前に穢れなき花弁で在りたいものだ。

まとめ

Wer mit Ungeheuern kämpft, mag zusehn, dass er nicht dabei zum Ungeheuer wird.Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, blickt der Abgrund auch in dich hinein.

(怪物と戦うものはその過程で自らが怪物とならぬよう気を付けよ。深淵を覗く時、深淵もまたこちらを覗いているのだ)

桜、咲く。

サクラは裂く。

執筆者

文・ライター:@LEDMAXI

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