角川映画第一弾「 犬神家の一族 」解説・考察レビュー【 金田一耕助シリーズ 】

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文・ライター:@キングギドラ

目次

犬神家の一族(1976)

©︎犬神家の一族

70~80年代にかけて社会現象を巻き起こした「 角川映画 」の初作品。

湖から突き出る足、スケキヨの白いマスク等、強烈なイメージは今だに色褪せることなく語り継がれています。

ミステリー映画の金字塔として東宝が世に送り出した傑作。

愛憎渦巻く一族の謎を名探偵・金田一耕助が解き明かします。

主要な登場人物&キャスト

  • 市川崑(監督)
  • 石坂浩二(主人公:金田一耕助)
  • 加藤武(警察署長:橘)
  • 高峰三枝子(犬神松子)
  • 草笛光子(犬神梅子)
  • 三条美紀(犬神竹子)
  • あおい輝彦(犬神佐清)
  • 島田陽子(犬神家の令嬢:野々宮珠世)

作品評価

  • 映像
  • 脚本
  • キャスト
  • 音楽
  • リピート度
  • グロ度
  • 総合評価

考察レビュー

帽子に袴、ボサボサ頭の風来坊の金田一像は、本作が初めて実写化作品で取り入れました。

欲望や愛憎渦まく犬神家の謎を解決するのは、ただ好奇心に任せて行動する金田一。

その対照的な構図の面白さも、本作はピカイチです。

中でも坂口良子演じる那須ホテルの女中・はると金田一のシーンは微笑ましく、シリアスな雰囲気が漂う本作の癒しとなっています。

また本作は、日本映画史における数々の常識を覆した作品としても知られています。

その1つが映画公開時に関連書籍やサウンドトラック等を販売し、収益の幅を拡げるメディアミックス戦略です。

今では主流となっていますが、当時としては画期的な事でした。

角川書店社長・角川春樹が本作の製作を務めたという事もあり、それまでの映画業界になかった新たな潮流が生み出されたのです。

本作のヒットを受け、角川春樹事務所による「 角川映画 」ブームが始まります。

これらの新しい試みが功を奏し、公開当時は劇場外まで長蛇の列が並ぶほどの大ヒットとなりました。同年に公開されたホラー映画の金字塔「 オーメン 」や大人気シリーズ「 男はつらいよ 」を抑え、本作の1976年度邦画興行収入は、第2位を記録。

音楽を手掛けたのは、後に「 ルパン三世 」のテーマを生み出す大野雄二です。

当時クールジャズの名手であった大野氏は、映画音楽を手掛けてませんでしたが、不気味で恐ろしい作風に水のような清明感を取り入れたいという角川の意向により、本作の作曲者として抜擢されました。

彼の不気味で繊細なメインテーマからは、犬神家一族の愛憎と悲哀が伝わってきます。

監督や俳優陣をはじめ、当時としては最高のコンディションで製作された本作は、後の創作物にも多大なる影響を与えており、今なお色褪せることなく輝いています。

トリビア

原作者・横溝正史は那須ホテルの主人役として特別出演している。

加藤武演じる橘警察署長の「 よし、分かった!」という口癖は、市川崑監督が撮影現場でとっさに思いついたアイデアである。

ラストで金田一が電車に乗る場面は、電車そのものの姿はなく、気笛の音だけが聞こえる。

その理由は、撮影現場の篠ノ井駅に蒸気機関車がなかったからだ。

舞台となった昭和20年代を忠実に再現する為、あたかも蒸気機関車に金田一が乗ったかのように見せるこだわりが施されている。

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