「 悪魔の手毬歌 」解説・考察レビュー【 金田一耕助シリーズ 】

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文・ライター:@キングギドラ

目次

悪魔の手毬歌(1977)

©︎悪魔の手毬唄

文明社会から遠く離れた鬼首村では、独自の因習が根強く残る。

金田一は、その村で過去に迷宮入りとなった、とある事件の調査を依頼される。

その最中、村に伝わる手毬唄になぞらえた連続殺人が巻き起こる。

巨大な底なし沼、謎めいた老婆。

数々の不気味な名所の真実を目撃せよ。

主要な登場人物&キャスト

  • 市川崑(監督)
  • 石坂浩二(主人公:金田一耕助)
  • 加藤武(捜査主任:立花)
  • 若山富三郎(岡山県警の警部:磯川)
  • 岸恵子(「亀の湯」女将:青池リカ)
  • 中村伸郎(庄屋の末裔:多々良放菴)
  • 頭師孝雄(由良家の当主:由良敏郎)
  • 辰巳柳太郎(仁礼家の当主:仁礼嘉平)

作品評価

  • 映像
  • 脚本
  • キャスト
  • 音楽
  • リピート度
  • グロ度
  • 総合評価

考察レビュー

石坂浩二演じる金田一シリーズは、本作から角川春樹事務所の手を離れ、東宝主体による制作となります。

前作「 犬神家の一族 」とは違った作風の映画にしたいという市川崑監督の要望により、文明社会から隔離された村が本作の舞台となりました。

季節も冬という設定の為、今回の金田一は黒いロングコートを羽織っており、少しカジュアルな雰囲気を纏わせています。

村に伝わる手毬唄に則った殺人を現在進行形で阻止しなければならないという、大筋の展開は前作と似ています。

しかし、今回は村に伝わる因習に加え、底なし沼にまつわる過去の事件といった様々な要素が複雑に絡み合います。

本作のキーパーソンとなる正体不明の謎めいた老婆は、前作でいえば白いゴムマスクを被ったスケキヨのポジションです。

この老婆の真相を明らかにしない限り、村の陰謀は阻止できません。

そして、その正体は意外な人物となっています。

鬼首村を代表する家系の仁礼家と由良家は、かつて勢力争いをしていました。

現在は由良家が経済的に衰退した事で決着がつきましたが、両家の間にはまだ溝が残っており、特に由良家は仁礼家を煙たがっています。

一方で、互いの子ども同士は派閥争いといった大人の事情は気にせず、仲良く交流し交際関係にある者もいます。

その状況が面白くない大人もいれば、逆に利用し、結婚させて財産を得ようとする親族もおり、この陰謀めいた水面下での派閥争いも見どころの1つです。

つまり、本作で金田一は手毬唄の連続殺人を阻止する為に、「 二大家系の関係 」と「 底なし沼で起きた過去の事件 」の両方を調査する必要があります。

この過去と現在の事象がどう事件の解明に繋がるのか、ぜひ楽しんで頂きたいと思います。

トリビア

ラストで金田一は、犯人について「 愛してらしたんですね 」と磯川に問いかけるが、気笛の音でかき消されて伝わらず、そのまま電車で帰るシーンがある。

その際、駅名を表す「 そうじゃ 」の看板が映り、まるで肯定の返事と引っ掛けているかの様な演出がされている。

しかし、これは意図的なものではなく、市川崑監督はライターの森遊机に指摘されるまで気がつかなかった。

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