文・ライター:@キングギドラ
獄門島(1977)
舞台はさらにスケールアップし、怪奇なミステリーに加え、アドベンチャー要素も含んでいます。
金田一シリーズのみならず日本産ミステリーの最高峰と呼ばれる原作を、市川崑監督と石坂浩二のタッグで映画化。
3人の娘を標的に、俳句に見立てた連続殺人が行われる。
主要な登場人物&キャスト
- 市川崑(監督)
- 石坂浩二(主人公:金田一耕助)
- 加藤武(警部:等々力)
- 大原麗子(鬼頭一の妹:鬼頭早苗)
- 大滝秀治(分鬼頭の当主:分鬼頭儀兵衛)
- 佐分利信(和尚:了然)
- 太地喜和子(分鬼頭の側室:分鬼頭巴)
- 草笛光子(鬼頭与三松の妾:お小夜)
作品評価
- 映像
- 脚本
- キャスト
- 音楽
- リピート度
- グロ度
- 総合評価
考察レビュー
「 週刊文春 」が行った「 東西ミステリーベスト100 」の国内編で1985年と2012年版の両方で1位を獲得した「 獄門島 」を東宝が映画化。
石坂浩二演じる金田一はこれで3度目となります。
当時テレビ放送されていた、古谷一行演じる金田一の「 横溝正史シリーズ 」と公開時期が重なった為、本作は犯人が原作と変更されています。
大筋のストーリーについては同じです。
その為、同じ物語がテレビと映画館それぞれ違った役者で同時期に鑑賞できるという珍しい状態になりました。
つまり、本作は原作を読んだ後に観ても、初見時の様に犯人を予想しながら楽しむことができます。
そして、今回は島が舞台ということで、鬼頭家の跡継ぎを巡る陰謀に加え、海賊の襲撃シーンもあり、島全体を活かした冒険要素も見所です。
また、復員詐欺といった社会問題も、怪奇な事件を構成する要素として盛り込むことで、反戦的なメッセージも漂わせています。金田一は、終戦後の船の中で死亡した鬼頭千万太の遺書を島に届けに行きます。
ここから物語が始まります。
彼が初めて船から見た獄門島は、濃い霧の中で不気味に佇んでいました。
島の名家である鬼頭家は、本家と分家で派閥争いをしています。
本鬼頭を切り盛りしている鬼頭早苗は、封建的な風習が色濃く残る島に嫌気が差し、よそ者である金田一に心を開きます。
この展開が「 ルパン三世 カリオストロの城 」のルパンとクラリスの関係を想起させます。
このささやかなロマンスが本作に娯楽大作らしい哀愁を感じさせます。
トリビア
獄門島の全体像が映るカットは、鹿児島県に位置する屋久島を撮影したものである。
本作は原作と犯人を変えた事に伴い、公開時に映画館で「 テレビとは犯人が違います 」との看板が立てられた。
また、予告編では原作者・横溝正史による「 金田一さん、私も映画の中の犯人を知らないんですよ 」という語りが入った。
本作は冒頭で獄門島の伝説が語られる。
舞台の説明がタイトルの前に差し込まれるのは、石坂浩二演じる金田一シリーズの中で本作のみの演出である。