Netflix「 グレイト・ナショナルパーク 驚きに満ちた世界 」世界の国立公園を知る

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エメラルドグリーンのハナウマ湾を歩く一人の男性。

自然を愛する元大統領バラク・オバマにとっては庭のような場所。

次世代たちのために、地球の自然を守りたい、と熱弁するオバマ氏のナレーションとともに、

世界の素晴らしい国立公園(ナショナルパーク)を巡り、自然の美しさに触れる旅に出ましょう。

目次

グレイト・ナショナルパーク 驚きに満ちた世界

©Our Great National Parks

あらすじ

元アメリカ大統領のバラク・オバマの案内で、世界各地の美しく広大な国立公園にスポットライトを当て、自然の素晴らしさを伝えるドキュメンタリーシリーズ。
(公式サイトより引用)

原題

Our Great National Parks

公開日

2022年

上映時間

51分

予告編

キャスト

  • バラク・オバマ

公式サイト

グレイト・ナショナルパーク 驚きに満ちた世界

グレイト・ナショナルパーク 驚きに満ちた世界(第1話)

©︎Our Great National Parks

副題の「 ワールド・オブ・ワンダー 」とは、環境問題に警鐘を鳴らしたレイチェル・カーソンの

「 センス・オブ・ワンダー 」に敬意を払っているのでしょう(余談ですが、同作は中国SF「 三体 」の原作中にも登場します)。

世界各地の国立公園を題材に全5話で展開される本作は、オバマ氏がエミー賞において「 ナレーター賞 」を受賞しています。

オバマ氏は8年の大統領任期中に環境保護を推し進め、総面積5億5,000万エーカー(1エーカー=12坪=サッカーグランド1つ分)の

土地と海を公有化し、自然保護化を実現させました。

第1話のレビューを見る

ここでは、第1話で登場した国立公園を紹介します。

ハワイ州 – ハナウマ湾 

オバマ氏の母は妊娠中、よく浜辺に座って海の音を聞き、打ち寄せる波を眺めていたそうです。

オバマ氏が6歳のとき、ハナウマ湾は自然保護区に指定され、未来の子どもたちのために自然を守りたいという動きが世界中に広がります。

保護区は日々の疲れを癒し、子どもたちにひらめきを与え、絶滅危惧種を守り、科学的調査の場となります。

また、気候を調整し、空気を浄化させ、水を綺麗にします。

現在、保護区は自然と野生動物にとって、最後の「 砦 」と言えるでしょう。

ハナウマ湾〜ハワイのオアフ島にある自然保護区で、美しいサンゴ礁と豊かな海洋生物が特徴。スノーケリングやダイビングで有名。

ガボン – ロアンゴ国立公園

ガボンのロアンゴ国立公園は、熱帯雨林に住む動物たちの楽園。

砂浜ではバッファローが海塩のついた草を食べ、アカイワイノシシが新鮮な海産物を探し、マルミミゾウは巨大なオサガメと戯れています。

見どころは、昼間、日光を避けるため沼にいる体重3tのカバが海を泳ぐシーン。

ここは、大西洋でカバが見られる唯一の場所。

乗れる波を待ち、うねりに乗って、夜の採食場に到着。

きちんと保護すれば、このように自然はまだまだ我々を驚かせてくれるのですね。

ロアンゴ国立公園〜中央アフリカに位置し、密林、サバンナ、河川が広がる豊かな自然保護区。象やゴリラなど多様な野生動物が生息し、世界最大のサルの群れも見られる。地球最古の生態系の1つとされ、生物多様性の宝庫として重要視されている。

アフリカ東部 – マダガスカル島

間にある林(ツィンギー)は、希少な生物の宝庫。

絶滅寸前のキツネザル、デッケンシファカは、他の霊長類同様、主に樹上に暮らしますが、

乾季の真っ只中、食料がなくなると新鮮な食べ物がある岩と岩の間の林に移動します。

岩から岩へとジャンプを繰り返すシファカ、母親にしがみつく赤ちゃん、彼らを狙う猛禽類。

見事な映像に目が釘付けになりますよ。

マダガスカル島〜世界でも類まれなる生物多様性を誇る島。固有の植物や動物が多数生息し、絶滅の危機に瀕する種も存在する。マダガスカルは自然保護の重要性が高く、独自の生態系や文化が観光客を魅了している。

日本 – 屋久島国立公園

古代の森が広がり、地面はコケに覆われ、アコウなどの根が張り巡らされ、樹齢千年以上の巨大な杉が高くそびえている屋久島国立公園。

離島の生き物は独自に進化し、多くは本土の近隣種より小さくなります。

ニホンジカは、体長わずか90cm。

猿の群れとの共生。猿が樹上から取りこぼした果実を、鹿たちが食べます。

そのお返しに、猿は背中に乗って、しばし戯れるのでした。

屋久島国立公園〜屋久島を中心に広がる自然保護区であり、世界自然遺産に登録されている。古代の森や巨大なヤクスギが特徴であり、豊かな生態系が息づく。ハイキングやトレッキングのメッカとして知られ、自然愛好家や登山家に人気が高い。

コスタリカ – マヌエル・アントニオ国立公園

ミユビナマケモノ(ズートピアでもおなじみ)は、哺乳類の中で最も代謝が遅く、エネルギーを無駄にしません。

彼らは雨のあと、驚くべき魔法のように体毛が緑色に変化します。ナマケモノにしか生えない藻です。

体毛のミクロの世界では、80種類以上の生物が暮らしているのです。

マヌエル・アントニオ国立公園〜太平洋岸に位置し、美しいビーチと密林が融合する自然保護区。多様な生物が生息し、特に多くの種類のサルや鳥類が観察される。トレッキングやカヌー、サーフィンなどのアクティビティが楽しめ、自然愛好家やアドベンチャー好きに人気が高い。

オーストラリア – カカドゥ国立公園

オーストラリアの北岸を25万羽ほどのカササギガンがカカドゥ国立公園へ移動し、浅瀬のシログワイを食べます。

一方、世界最大の爬虫類・イリエワニは、海と川の繋がるカーヒルズクロッシングへ移動します。

川の水位が上昇し、海からやってきた大量のボラが川を上り産卵場所へ向かうために横断路を飛び越え、

それを全身をセンサーにしたワニが捕食するのです。

必見のシーン。

カカドゥ国立公園〜ノーザンテリトリー州に位置し、世界遺産に登録された自然保護区。広大な砂岩地形や湿地、川が特徴であり、多様な動植物が生息している。アボリジニ文化の遺産も豊富で、岩絵や遺跡が点在し、歴史と自然が調和した美しい景観が魅力。

グレートバリアリーフ

全長2300kmに渡って暗礁や島々が連なる、世界最大のサンゴ礁。

絶滅危惧種のアオウミガメの9割が、毎夏何千匹ものカメが太平洋を長距離移動し、この島へやってきます。

ここでは、毎年100万個近い卵が産み落とされます。

1,000年前からずっと。

しかし、気候変動の加速が、重大な影響を及ぼしています。

アオウミガメの性別は巣の中の温度で決まるのですが、砂の温度が上昇したため、ここで生まれた99%が雌なのでした。

グレート・バリア・リーフ 〜 世界最大のサンゴ礁であり、オーストラリアの東海岸沿いに広がる自然遺産。豊かな海洋生物が生息し、数多くの種類のサンゴや魚、ウミガメなどが見られる。スノーケリングやダイビングで世界的に有名。美しい珊瑚とクリアな海水を楽しむことができる。

ルワンダ – ヴォルカン国立公園

虐殺によって傷付いた国は立て直されました。

国が安定すると、自然保護を最優先に。境界の向こう側には、絶滅危惧種のマウンテンゴリラが生息。

森の中だけはなく、人間たちに見守られながら森の外にも出られます。

お互いが傷付けられることはありません。

農家の人たちも損をすることはなく、野生動物たちによって食べられた農作物も観光事業の収益で補填され、地域事業に還元されます。

人と自然が共存できるという好例です。

ヴォルカン国立公園〜ウガンダやコンゴとの国境地帯に広がる保護区。特にゴリラの保護活動が知られ、野生のゴリラを観察することができる。他にも絶滅の危機に瀕するゴールデン・モンキーや多くの鳥類が生息している。

まとめ

国立公園と生物たちを守るためには、積極的な保護活動が大切です。

私たちは様々な形で自然と繋がっています。

驚きに満ちた世界の国立公園を、ぜひ一緒に巡って行きましょう。

グレイト・ナショナルパーク 驚きに満ちた世界(第2話)

南米大陸の西沿岸にあるチリは世界一細長い国(南北の長さは4,000km以上)で、

南部にチリ領パタゴニアがあり、広大な土地が24の国立公園に分かれています。

世界最長の山であるアンデス山脈は、まるでこの地域の背骨のよう。

沿岸には、荒々しい太平洋の波。

パタゴニアは国立公園のあり方を再定義しているのです。

第2話のレビューを見る

トーレス・デル・パイネ

有名なのは、トーレス・デル・パイネ。

公園を象徴する三本の塔がそびえ立っています。

公園には、チリ最大の捕食者ピューマが多数生息しています。

リャマの先祖であるグアナコ(ラクダ科)が一番の獲物。

アルパカによく似ています。

見どころは、グアナコ対ピューマのシーン。

保護区のおかげで、この公園は世界一ピューマが密集する場所になりました。

チリ南部では、威厳のあるこの動物の数が、徐々に回復しているのでした。

パタゴニア国立公園

この公園は最近国立公園になったばかりで、それまでは羊の放牧場でした。

ピューマなどは迫害されていましたが、家畜は他に移され保護されたことで、自然のバランスが戻り始めています。

ピューマが少ないためグアナコの数がすぐに増えました。

農業用の柵が取り払われたことで、グアナコは自由に行動でき遺伝的多様性が保たれるのです。

母グアナコは妊娠期間を経て、群れの安全性を保つため、同じ時期に出産。約2週間のうちに約1,000頭の赤ちゃんが生まれます。

グアナコの数が増えることで、ピューマの個体も増え、自然が回復するのです。

セロ・カスティージョ国立公園

チリでは、2017年から自然豊かな土地を結ぶ計画が開始。

国立公園を他の保護区や海洋公園と繋ぎ、野生生物保護の大きな回廊を作り、12万平方kmにも及ぶ区域を結ぶのです。

その中心にあるのは、セロ・カスティージョ国立公園。

コンドルは、ここで絶滅の危機から回復しました。彼らは木に覆われた崖に巣を作り、毎日、餌を求めて何百kmも飛びます。

昔は家畜を守るため、狩られたり毒殺されたりしましたが、今この立派な鳥の個体数は、回復しているのです。

コンギジオ国立公園

1,000kmほど北上すると、火山の多い地域に。

その最北端にあるのがコンギジオ国立公園です。

絶滅危惧種のチリマツ(別名モンキー・パズル)の最後の自生地。

高さ50mにもなる木で、かつてはパタゴニア北部でよく見られましたが、今では限られた場所にしか生えていません。

世界最小の鹿プーズや、チリクワガタ(スタッグ・ビートル)は、ここだけに生息しています。

保護区の空は、晴れた日には太陽系の惑星も見えます。

天の川の星々も、銀河系から最も近い銀河の光も、肉眼で見えます。

夜行生物、チロエオポッサム(スペイン語でモニート・デル・モンテ=山の小猿)※有袋類

彼らは毎晩、自分の体重くらい食べることで種を木の下にまき散らし、一生の間に最低20種類以上の植物を繁殖を助けるのです。

この小猿たちの助けを借りて、バルディビアン湿帯雨林が、再びアンデス山脈から太平洋まで広がるかも知れません。

サン・ラファエル氷河

チリの海岸線の長さは6,400km以上。

最終氷期に氷河は山頂から海へと流れ、迷路のようなフィヨルドが形成されました。

氷河は、もうあまり残っていません。

サン・ラファエル氷河では、春になると美しい歌声がフィヨルドに響き渡ります。ヒョウアザラシの鳴き声です。

様々な音域やピッチでラブソングを巧みに奏でながら、昼も夜も歌い続けて、パートナーを探しているのです。

ディエゴ・ラミレス諸島

チリ本土の最南端から約100km。

亜南極地帯にあるディエゴ・ラミレス諸島。

パタゴニアの数少ない海洋保護区の一つ。

沖合では3つの海(太平洋、大西洋、南極海)が衝突しています。

島々には200万羽以上の海鳥アルバトロスや、ミナミイワトビペンギンが住民です。

そして、海のライオン、オタリアが、餌を求めて海を泳ぐペンギンたちを、3倍のスピードで追いかけます。

この海洋公園によって約14万平方kmが保護され、チリ領パタゴニアの野生生物保護の回廊が、南極の保護区の手前まで拡大しました。

この公園のネットワークでは、200種以上の鳥類や哺乳類を驚くほどさまざまな風景の中、守っているのです。

まとめ

野生生物に限りません。

国立公園の土地と植物はスポンジのように、二酸化炭素を吸収し、気候変動を抑制することで、地球上の全生物が大きな恩恵を受けるのです。

チリ領パタゴニアは、我々が自然と協力し、国立公園の真価を信じたときに何が実現できるかを示す、素晴らしい例なのです。

グレイト・ナショナルパーク 驚きに満ちた世界(第3話)

夕日がアフリカ大陸最高峰のキリマンジャロに沈みます。

溶岩でできた太古の大地に、火山丘陵、そして煌めくオアシス、東にはトゲだらけの低木たちが生い茂っています。

生命を与える川が流れ、傍には世界最長の溶岩流ヤッタ台地の壁がそびえています。

どこを見ても真っ赤な土が地面を覆い、大自然で生きる生物たちを彩っているのです。

第3話のレビューを見る

ツァボ国立公園

ケニアは東アフリカにあり、野生動物が多く生息し、景色の素晴らしい国です。

南には、面積2万平方km以上の小さな国ぐらいの広さを持つケニア最大のツァボ国立公園があります。

ケニアの国宝の象

ツァボはケニアでも象が最も住むところです(1万3,000頭以上)

4月は水飲み場が賑わいますが、乾季は半年以上雨が降りません。雄たちは成熟すると、群れを出ます。

最大級の牙を持つ象のルガードは、巨大な牙を持つ50歳でケニアの国宝の一つ。

片方の牙だけで45kg。

彼のようなスーパータスカー(巨大な牙の象)は、現在アフリカに30頭のみで、その3分の1がツァボに住んでいます。

彼らの保護に国立公園は不可欠なのです。

サイチョウとマングースは名コンビ

サイチョウとコビトマングースは、まるでバディ映画のように協力関係を結んで餌を取ります。

サイチョウは見張り役を務め、マングースが草の中の虫をかき出し、逃れた虫をサイチョウが確保するのです。

絶滅寸前のクロサイ

絶滅寸前のクロサイ。

ツァボには一時期約8,000頭が生息していましたが、1970年からの10年間の角の密猟のため、10頭に減少。

そのあとの繁殖計画で100頭に増えました。

暗視カメラで撮影された、水飲み場での夜のクロサイの一幕をお楽しみください。

ムジマの泉のカバ

北にはオアシス。西ツァボの平原を見下ろすチユル丘陵の雲霧林。

穴だらけの火山岩は雨水がよく浸透し、水が地下に貯まります。

ムジマ(スワヒリ語で生命)の泉では、推定2億kLの水が、毎日湧き出ています。

この泉は14頭のカバの群れに占領されています。

一生の半分を水中で暮らす彼らの生活を見られるのは、とてもレアです。

泉に多様な生物がいるのは、天然の肥料をもたらすカバのおかげなのでした。

サケイの子育て

7月の乾季、東の乾燥した平原では、雄のサケイが雌とともに家族を養います。

地上営巣の鳥のヒナが卵からかえると、父は群れに加わり30kmを飛び、雄大なガラナ川まで水を探します。

喉に貯められる水は、小さじ2杯分。

体を上下に揺すり、胸の羽毛にスポンジのように、水を染み込ませます。

たっぷりの水を抱え、帰路に。

雌が伴侶を呼び、ヒナの場所へ案内します。

雄は毎日2ヶ月間、この大変な仕事をするのです。

人食いライオンの伝説

近年、ケニアの気候は大きく偏っていて、予測不能に。

古い鉄道が造られた120年以上前、この地域はモヒカンのような短いたてがみを持った、2頭の人食いライオンに脅かされていたそうです。

言い伝えでは、鉄道建設者の135人が犠牲に。

日本では100年前、ヒグマによって10人が犠牲になるという史上最悪の獣害事件がありました(吉村昭「 羆嵐 」)

ティバ川とビサディ滝

公園の北部を目指し、東ツァボの乾いた平原を群像たちが歩いています。

命懸けで辿り着いたティバ川は干上がっていました。

しかし、象は嗅覚が優れていて、鼻孔に無数の受容体があり、数km先の水も嗅ぎつけ砂の中の水を求めて穴を掘ります。

鼻のストローで砂混じりの水を吸い上げ、濾過した水を飲むことができるのです。

ティバ川を下ったところに、ビサディ滝があります。

10月の雨期になり、西ツァボの山や丘に雨雲がかかり、東ツァボの平原に半年ぶりの雨が降ると、ティバ川に水が戻ります。

数百万のコウヨウチョウの水場でもある、ビサディ渓谷に再び滝が現れました。

不毛の砂漠は、色鮮やかな楽園に。

赤土が洗い流され、朝顔の花が公園を埋め尽くし、アフリカスジグロシロチョウの大群が海岸を目指す旅を始めます。

花から花へと舞う雨期の蝶の群れは、公園の活性化にも不可欠です。

ノルウェーの昆虫学者が著した「 昆虫の惑星 」に詳しいですが、この地球は昆虫が活性化することで、正常に機能を果たしているのです。

まとめ

自然を守るには、土地の広さが必要だと教えられます。

広ければ広いほど多くの生物が暮らせます。

近年、ツァボ公園の周辺の土地所有者たちが、力を合わせ保護区を拡大しようとする動きがあります。

ツァボのように広大な区域を守り、そういう場所を増やすことでしか、この地球上の自然の未来は守れないのです。

執筆者

文・ライター:ジョナさん

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