ハドソン川の奇跡(2016)

原題(英題)
Sully
公開日
2016年9月24日
上映時間
96分
キャスト
- クリント・イーストウッド(監督)
- トム・ハンクス
- アーロン・エッカート
- ローラ・リニー
- クリス・バウアー
- マイク・オマリー
- アンナ・ガン
- ジェイミー・シェリダン
コメント
イーストウッドがトム・ハンクスを主演に迎え、
2009年1月15日にアメリカで起こった実際の航空機事故をモデルに映画化した本作。
ハドソン川に不時着し、乗客乗員155人を全員無事に生還させた奇跡の出来事を、
機長の手記をもとにイーストウッドが映像へと落とし込んだ。
物語は、乗客乗員を無事に生還させた機長のサリーが、国家運輸安全委員会によって追求されるシーンから始まる。
一時は国民的英雄として賛辞を集めたものの、やがて機長サリーの判断が正しかったのか、疑惑をかけられてしまう。
英雄譚として終わるはずだった奇跡の不時着事故は、思わぬ方向へと進路を変え、怪しげにうごめく暗雲の空へと向かうのであった。
人々の命を救い、英雄であるはずの機長にかけられた疑惑が真実かのように思えてしまう緊迫したストーリーは、
深海に沈んでしまったのではないかと思うほど息が詰まる。
機長が記憶を思い起こすことで事故の全貌が明らかになっていく96分間。濃縮された人間ドラマに釘付けとなるだろう。
ちなみに、実際に行われた国家運輸安全委員会からの追求は、機長のサリーを問い詰めるのではなく、
再発防止に向けたシミュレーションだったとも言われている。
15時17分、パリ行き(2018)

原題(英題)
The 15:17 to Paris
公開日
2018年3月1日
上映時間
94分
キャスト
- クリント・イーストウッド(監督)
- アンソニー・サドラー
- アレク・スカラトス
- スペンサー・ストーン
- ジェナ・フィッシャー
- ジュディ・グリア
- レイ・コラサニ
- P・J・バーン
- トニー・ヘイル
- トーマス・レノン
- ポール=ミケル・ウィリアムズ
- ブライス・ガイザー
- ウィリアム・ジェニングス
コメント
一般人3人が、銃を持ったテロリストを取り押さえた衝撃の実話を映画化した本作。
キャストにはプロの俳優ではなく、実際に犯人を取り押さえた本人たちを起用し、
その徹底したリアリティで映画作りに新しい風を吹かせたイーストウッド。
本作の実際の事件を描いたシーンでは、観客もその場に居合わせたかのような臨場感と緊張感を味わうことができる。
スペンサー、アレク、アンソニーの3人の決断は、誰しもが簡単に真似できるものではなく、
まさに英雄の名にふさわしい勇気ある行動だ。
しかし、この映画で注目したいのは、単に乱射事件の犯人を取り押さえ、大規模なテロ行為を防いだ英雄譚だけではない。
普通の一般人が突如として日常を奪われるという圧倒的な恐怖こそが、本作の肝である。
劇中で実際の事件が起こるのは映画開始から1時間後だが、それまでに描かれるごく普通の暮らしが、
事件当日の衝撃の布石となっている。
彼らが事件に巻き込まれた事実は、僕たちが明日、同じように事件に巻き込まれるかもしれないという警告でもあるのだろう。
だからこそイーストウッドは、彼らの人生を丁寧に描いたのだろう。
運び屋(2018)

原題(英題)
The Mule
公開日
2019年3月8日
上映時間
116分
キャスト
- クリント・イーストウッド(監督・出演ともに)
- ニック・シェンク(脚本)
- ブラッドリー・クーパー
- ローレンス・フィッシュバーン
- マイケル・ペーニャ
- ダイアン・ウィースト
- アンディ・ガルシア
- イグナシオ・セリッチオ
- アリソン・イーストウッド
- タイッサ・ファーミガ
- ユージン・コルデロ
- ローレン・ディーン
- グラント・ロバーツ
- ピート・バリス
- ロバート・ラサード
- ソウル・ウエソ
- リー・コック
- ノエル・G
- クリフトン・コリンズ・Jr.
- ダニエル・モンカダ
- ポール・リンカーン・アラヨ
コメント
38作品目の脚本を担当したのは、ニック・シェンク。
イーストウッド最高傑作との呼び声も高い「 グラン・トリノ 」の脚本を担当した人物だ。
仕事一筋で家族を蔑ろにしてきたアール・ストーンは、今や職も金もないシワくちゃの老人。
そんな彼に「 車を運転するだけの仕事 」が舞い込む。
彼は高額な報酬につられて仕事を引き受けるが、その実は麻薬を運ぶ、運び屋の仕事であった。
次第に危険度が増していく任務を平然とこなすアールだったが、すぐ後ろには麻薬取締局の捜査の手が迫っていた。
90歳で運び屋となったアールを88歳のイーストウッドが自ら演じ、
麻薬捜査官のコリンを「 アメリカン・スナイパー 」で共演を果たしたブラッドリー・クーパーが演じた。
老齢ながらもハマり役なイーストウッドの演技が、物語に現実味を与えている。
リチャード・ジュエル(2019)

原題(英題)
Richard Jewell
公開日
2020年1月17日
上映時間
131分
キャスト
- クリント・イーストウッド(監督)
- ポール・ウォルター・ハウザー
- サム・ロックウェル
- キャシー・ベイツ
- ジョン・ハム
- オリビア・ワイルド
- ニナ・アリアンダ
- イアン・ゴメス
コメント
イーストウッドの39作品目は、実在の事件をモデルにした作品だ。
イーストウッドは、本作のモデルとなったリチャード・ジュエルの物語について
「 とても心を惹かれる話で、ぜひこれを映画にしようと私はすぐに決めたよ 」と映画.comの取材で語っている。
即決で映画化を決めただけあって、イーストウッドの興味からくる物語の再現度は非常に高い。
ストーリーは、爆弾を偶然見つけて多くの人を救ったはずのリチャード・ジュエルが、容疑者にされてしまうという筋書き。
実際に起こった“ 世界一不幸な一般人 ”の物語を、現代におけるメディアやSNSの恐ろしさに警鐘を鳴らしながら、精巧に描いている。
リチャード・ジュエル役には、本作が初主演となるポール・ウォルター・ハウザーが起用され、
母親役には「 ミザリー 」(1990)や「 タイタニック 」(1997)で知られるキャシー・ベイツが出演。
彼女は本作で民衆の心を掴む演説を披露し、第92回アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた。