「 病院坂の首縊りの家 」解説・考察レビュー【 金田一耕助シリーズ 】

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文・ライター:@キングギドラ

目次

病院坂の首縊りの家(1979)

©︎病院坂の首縊りの家

金田一耕助最後の事件として知られる、

当時新刊であった原作をシリーズの完結作として制作。

前作に引き続き、市川崑監督と石坂浩二のタッグで送る集大成です。

曰くつきの家から始まる連続殺人には、哀しく残酷な真相があった。

観る者の心をえぐる怪奇なミステリーに名探偵・金田一が挑みます。

主要な登場人物&キャスト

  • 市川崑(監督)
  • 石坂浩二(主人公:金田一耕助)
  • 加藤武(警部:等々力)
  • 佐久間良子(法眼家・五十嵐家の当主:法眼弥生)
  • 草刈正雄(写真館の下働き:日夏黙太郎)
  • あおい輝彦(バンドのトランペット奏者:山内敏男)
  • 桜田淳子(法眼家の娘:法眼由香利)
  • 菊地勇一(法眼由香利の父:法眼琢也)

作品評価

  • 映像
  • 脚本
  • キャスト
  • 音楽
  • リピート度
  • グロ度
  • 総合評価

考察レビュー

本作は当時の最新刊であった原作を実写化しているということもあり、やや現代風の時代設定。

洋風のバンドが事件の鍵を握る為、たびたび彼らの曲が差し込まれます。

これまでになかったアメリカンな雰囲気のある現代的な金田一作品となっています。

シリーズの集大成として、メタ的な視点もあります。

例えば、劇中で原作者の横溝正史が自身の小説について語る場面は興味深いです。

草刈正雄演じる黙太郎がまるで金田一のように、金田一本人に事件の説明をするシーンは、笑いを誘います。

この様にパロディ的なシーンや制作陣の遊び心のある作品ですが、しっかりと骨太な脚本は今回も健在です。

「 金田一耕助最大最後の事件 」というキャッチコピーの通り、本作の事件の真相は、石坂浩二版の金田一の中で最も残酷なものだと思います。

今回の金田一はアメリカへ渡るためのパスポート写真を撮る為に写真館へと赴きます。

写真撮影の後、金田一と入れ替わる様に、桜田淳子演じる法眼由香利が来店。

そして、結婚写真の依頼をし、料金だけを置いて出ていきました。

妖艶な美しさを纏う彼女に見惚れる写真館の店員ですが、この時点で金田一と写真館の人々は、悲劇への階段を上り始めていたのです。

この結婚写真を撮る場所というのが「 病院坂の首縊りの家 」です。

事件の真相が明かされた時、法眼家と五十嵐家の人間の禁忌を脅かす罪業に驚愕します。

とても家族の前では観れません。

ぜひ1人で御覧ください。

何故なら今回の金田一は、犯人が殺人するに至った過程が不幸で仕方がないからです。

娯楽大作として万人受けする域を超えた、探偵スリラー映画に仕上がっていると思います。

トリビア

本作の製作決定にあたり、東宝は「病院坂」のロケ地となる坂を募集した。

しかし最終的に東宝から約10分の場所にある岡本町の住宅地の坂が採用となった。

本作で桜田淳子は、法眼由香利と瓜二つの謎の美女・山内小雪の二役を演じている。

公開前までは、本作の企画の一環として行われた、桜田淳子のそっくりさん公募で選ばれた前野礼子が小雪役を演じると宣伝されていた。

桜田淳子自身も前野礼子を自分に似ていると歌番組で語っている。そして最終的に前野礼子は、吹き替えとして本作に出演した。

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