【 ディズニープラス 】「 ブラック・イズ・キング 」考察レビュー、ライオンキングにインスパイアされた作品
映画ライフ楽しんでますか?
今回は、ペンネーム(@D)さんからの投稿レビューです。
Disney+ (ディズニープラス)独占配信「 ブラック・イズ・キング 」は、ビヨンセが製作総指揮・監督・脚本を担当。
現在問題となっている黒人差別問題に反旗を翻すような勇気をくれる作品です。
今回は、今作の概要と裏側に隠された意図に迫ってみたい。
画像の引用元:IMDb公式サイトより
(アイキャッチ画像含む)
ブラック・イズ・キング
公開日
2020年7月31日
原題
Black is king
上映時間
86分
キャスト
ブリッツ・バザウレ、ビヨンセ(監督)
予告編
公式サイト
感想レビュー
映画の骨子(こっし)は、ライオンキングになぞり、現代の黒人社会、文化、歴史の継承・発展をつむぐ物語。
しかし、ハッキリとしたストーリー、キャラクターによるセリフでの説明はごくわずか。
ライオンキングにインスパイアされ、ビヨンセが作り上げた世界観の中で、映画内で17曲ほど使用される「 ビジュアル・アルバム 」と呼ばれる雰囲気ムービー。
好きだった点
個人的にはライオンキングが好きなので、ビヨンセのセンスで動物が黒人社会の王へと成長する過程で、
全部ではないものの、この作品内ではオリジナルから、どう置き変わったのかがわかるシーンが楽しめた。
人間賛歌でもあるので、生きるエネルギーに溢れていて、音楽と映像で元気になる。
黒人を祝福する内容も多く含まれるので、黒人の歴史的背景に触れることで、新たな価値観の発見にもつながった。
嫌いだった点
楽曲がメインなのに字幕が出ない点がこの今作の最大の問題点。
今作は、歌唱シーンは英語音声のみ、歌の間のセリフ部分のみ日本語字幕がつく。
なので、セリフ部分が終わると、置いてけぼり感をくらう。
以前どこかで、曲に字幕を出すと、その部分にも著作権を取らないといけないというのを聞いた事があるので、それならしょうがないと思えるが、それにしても残念。
字幕がなくても楽しめるが、あったら一層メッセージ性が伝わるし、体感感があがるので、これからでも改善してくれたらいいのにと思う。
見どころ
作品のテーマは森羅万象。
全ての生き物はバランスを取っていて、敬意を払い、つながっているという説明があり、アイデンティティーを問われる部分や成長物語が描かれる。
ビヨンセの解釈により、世界規模のスケールの大きい美しい大自然(河・海・砂漠・森・宇宙など)の画が展開される中で、
シーン毎に異なる原色を使ったド派手な衣装を身にまとったアーティストたちによる音とダンスの融合が最大の見所。
細部にまで作り込まれたセットや、小道具などにも注目。
考察・疑問点
今作は「 黒人プロパガンダ 」という側面も持っているように感じたのが、新たな価値観の発見。
少ないセリフに込められた「 匂い 」(解放・革命・コミュニティー強化・祖先へのリスペクト・王の意味など)がする啓蒙的なメッセージの数々。
例えば、物語が始まった冒頭。
「 暗黒の世界に美しく輝くブラックは私が愛する者の肌の色 」
「 いつでも本来の自分に戻っていい 」
「 ブラックの意味を誇りとする 」など。
これらが楽曲に挿入され「 サブリミナル効果 」的に強烈に作用する。
かつて、チャールズ・マンソンがビートルズの楽曲から影響を受けた「 へルター・スケルター 」と受け取ったように、これは希代のカリスマによる現代のヘルタースケルターへの呼掛けなのか。
だから、わかる層にしか伝わらなくていいように、字幕が出ない設定なのかもしれない。
そんな見方は陰謀論的過ぎるかも知れないが。
まとめ
やや偏った見方をしてしまったものの、今作は全然難しい内容ではない。
確かに極端にセリフや字幕が少ないし、論理的な作品でもない。
でも、感情や感覚重視の映画もたまにはいいと思う。
元気がでるし、勇気をもらえるし、生きていることに感謝もしたくなる。
今アメリカで問題になっている黒人差別。
ディズニーでもスプラッシュマウンテンのテーマの作品「 南部の唄 」が「 プリンセスと魔法のキス 」に変更。
HBOでは「 風と共に去りぬ 」の配信停止など。
抗議デモが取り沙汰されている今だからこそ、この作品を紹介したい。